時代劇ならではの痛快さ、真剣勝負の緊迫感。これぞ、まさにチャンバラヒーローという作品の、颯爽の登場だ。妻の弟を惨殺したのが無二の親友だと知った、剣の達人、又右衛門。友情と義理人情に悩みながらも、職を辞し、家名を捨てて敵討ちの助太刀を決意する。やがて舞台は伊賀上野の鍵屋の辻。決闘の時刻が迫る…。主演は平次親分で親しまれた大川橋蔵。町人役とはひと味ちがった橋蔵の魅力があふれる。共演は高橋恵子、志垣太郎、田村高廣ほか。講談でも有名な決闘シーンでの熱演に注目してほしい。 今作で又右衛門を演じる大川橋蔵はどんな役でもキリッとした二枚目。82年のこの作品は数少ないテレビ長編である(このニ年後に五十代半ばで他界)。「荒木又右衛門」はテレビではほかに坂東好太郎(60年)、原田芳雄(73年)、高橋英樹(93年)が演じている。ということは、又右衛門は十年に一度はテレビ化される人気キャラクターなのだ。人気の秘密はわかりやすいストーリー展開と決闘の豪快さ、友情と義理人情に悩む男の生き方に共感を呼ぶためか。いずれにしても“大チャンバラ”として長く愛される物語だ。このチャンネルでほかの三作を放送する機会があったら見比べてみるのも一興かも。
( 2000年07月25日 産経新聞掲載分に加筆 ) |