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岡っ引きの親分というと、たいていは品行方正、愛妻家でまじめなイメージ(この元祖はかの「銭形平次」かも?)だが、この地獄の辰はちょっと違う。 なんてったって、名前に「地獄」がつく岡っ引き。今でこそ、「堀川町の親分」などと言われるが、世間の裏街道を歩き、地獄を見てきたからこそのニックネームだ。その風貌も着流しに雪駄履き、頭もボサボサっとして、目つきも鋭い。しかし、だからこそ、悪の道を探りやすく、事件探索には腕っぷしがモノをいうのである。 原作は「木枯らし紋次郎」という素晴らしいアウトローヒーローを生み出した笹沢左保。物語では、ただでさえ辛い境遇の辰に、「新妻失踪」という重たい荷物を背負わせる。新婚3日目の晩、突然、姿を消した恋女房お玉(大原麗子)はいったいどこへ…。 主演の辰には、北大路欣也。欣也は、近年は、テレビ3代目の「銭形平次」としてシブメの演技を見せたり、父・市川右太衛門の跡をついだ「旗本退屈男」であでやかな姿を見せている(今月は東京明治座で退屈男を公演中)が、この当時(72年)は、まだまだ若手のアクション系。正義感はあるが、捜査は脅迫スレスレ。体当たり岡っ引きを熱演している。暴れん坊欣也の魅力を再認識させてくれる作品。共演が田中邦衛、五十嵐じゅん(淳子)というのも通にはうれしい。 ( 書き下ろし ) |
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