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日本の夏といえば、怪談。その中でも最も有名な鶴屋南北原作の「東海道四谷怪談」を、ぜいたくなキャスト、スタッフが制作したのがこの作品。 備前岡山の浪人・民谷伊右衛門は、素行の悪さから、お岩との仲を裂かれる。その恨みから、お岩の父を殺し、江戸に逃げて所帯を持つが、暮らしは貧しい。ある時、裕福な伊藤家の娘・お梅を助けた伊右衛門は、お梅に見初められてしまう。養子縁組と仕官の野心から、邪魔になったお岩を殺し、お梅と祝言をあげようとするが...。 監督は、怪奇映画の名人・中川信夫。昨年、若い世代からの声に応えて、作品がリバイバル上映されるなど、その評価は今も高まっている。その名人が自ら代表作と認めた本作は、人間の醜さ、浅はかさ、女の悲しみ、恨みをひたひたと描きつつ、斬新な音楽や明暗の使い分けで見事に表現している。毒を盛られ、顔が崩れ果てたお岩の顔、泥の水のおどろおどろしさ、戸板返し、按摩宅悦の恐ろしい形相...こうして文章にしているだけでも恐ろしい!! 主演は天知茂。苦み走った顔が、恐怖と苦悶でゆがむ様は、この人にしか出せない。この人を伊右衛門に選んだことが、監督の眼力であった。お岩役の若杉嘉津子も、一途で哀れな女を情感たっぷりに見せ、怖さを増している。可憐な娘・お梅に池内淳子が扮しているのにも注目。日本の怪談の最高傑作で、涼しいひと夜を! ( 書き下ろし ) |
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