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1999年第56回ヴェネチア国際映画祭において、“未来を担う映画”緑の獅子賞を受賞。 さらに第24回日本アカデミー賞で驚異の8冠獲得。国内外問わず評価された作品として記憶に新しい。 剣の腕は立つが、世渡りの巧くない三沢伊兵衛(寺尾聰)とその妻たよ(宮崎美子)の物語。夫は貧しい生活が妻を不幸にしていると思い、出世してもっと楽な生活を送らせてあげたいと齷齪する。妻はそのままの生活に満足しており、むしろ無理をする夫を見ていることのほうが辛い。仕官の口を求める旅の途中、雨に降られ川が氾濫したために木賃宿に逗留することになる。宿は、やはり雨に降りこめられた貧しい旅人でいっぱいであった。長雨のため、逗留費がかさみ、次第に心が荒んでゆく旅人達を元気づけようと、伊兵衛は禁じられた賭け試合をして得たお金で皆に振舞う。翌日、とある喧嘩を仲裁したことから、それを見ていた和泉守に呼ばれ、御前試合をすることになる。伊兵衛、念願の仕官は果たして成就するのか。 原作は山本周五郎の同名短編小説。伊兵衛はじめ妻のたよの凛とした生き方、素朴でひたむきな旅人たちなど、人物造形は山本周五郎ならでは。また、久々の晴れ間に解き放たれた人々の開放感は見ているものにも伝わってくるようであった。黒澤監督が遺した未完のシナリオを、その遺志を継いだ黒澤組が総力をあげ監督の創作ノートをもとに完成させた。「見終わって、晴々とした気持ちになるような作品にすること。」という巨匠の遺した言葉どおり、見ているものを幸せにする近年まれに見る秀作。 ( 書き下ろし ) |
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