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時代劇の岡っ引きというと、たいてい「品行方正」「庶民の味方」「美人にモテモテ」である。銭形平次、人形佐七、半七・・・みんなこの条件にぴったりだ。 しかし、「眠狂四郎」で希代のアウトローヒーローを生み出した柴田練三郎の岡っ引きとなると、ちと味が違う。岡っ引きどぶは、飲む、打つ、買うの三拍子。ひとつ間違えば、どっちが捕まる側だかわからないような男だ。しかし、悪に対する爆発力は人一倍。反抗心旺盛、長いモノに巻かれる感覚などサラサラ持ち合わせないパワフルな男なのだ。 ユニークなのは、その岡っ引きを田中邦衛が演じていること。田中邦衛といえば、その独特なボソボソしゃべりを聞いただけで、バックに「あ〜あああああ〜♪」とさだまさしの主題歌が流れているような気分になる、「北の国から」の親父役でおなじみだ。「岡っ引きどぶ」は「北の国から」とはうってかわって、江戸の町をとにかく走り回り、仕込み十手で大立ち回りを演ずる邦衛どぶ。当時五十代後半だと思うと、元気いっぱいぶりに感心する。美女にはモテないが、樹木希林からは熱烈ラブコールを送られ、芸達者同士のアドリブっぽいやりとりは可笑しい。 それにしても、「もう許せねえ!」と啖呵を切るセリフもやっぱり、田中邦衛オリジナルの独特な口調なんだよなあ。モノマネ心をくすぐる人だ。つくづく。 ( 書き下ろし ) |
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