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「円空」といえば、全国で仏像を作っていた人、というくらいの知識しかない人も多いと思うが、その生涯はなかなかすさまじい。寛文8年(1668年)に苦しい旅路の末、母と慕う陀羅尼(樹木希林)の住む美濃の尼寺に帰ってきた円空だったが、現地は悲惨。日照りで田畑は枯れ、飢える人々がさまよい歩く。円空は、雨乞い仏善女竜王を彫り、川に投げ込む。すると、激しい稲妻とともに大粒の雨が。大喜びする村人と対照的に深く憂いの表情の円空。彼の母は、洪水に巻き込まれて命を落とした。12万もの造仏を決心したのは、その供養のためなのだった。 脚本は、早坂暁。人生の過酷さを鋭く描く脚本家の作らしい人間ドラマだ。 一方、どんなに悩んでいようとも堂々とした丹波哲郎円空は、ボロボロの山伏のようなスタイルに、坊主頭とヒゲで、一見、暴れん坊の僧といったイメージ。なた一丁のみ一丁で全国を歩いたといわれる円空だが、どこか神掛かってさえ見える。(ちなみにこの作品の翌年に映画「丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる」が公開。ますます霊界の宣伝マンとして脚光をあびることに) 蝦夷地から女(倍賞美津子)が追いかけてきても、腰を落ちつけず長い旅に出てしまった円空。その浮世離れした雰囲気は、やはり丹波哲郎だからこそ、できた役に違いない。 ( 書き下ろし ) |
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