江戸の裏長屋に暮らす、お勝(市原悦子)と、五人のこどもたち。この一家は、粗末な衣服を身につけ、全員がなにかかしらで稼いでいた。親密な近所づきあいが当たり前の長屋生活だが、お勝一家だけは、つきあいが悪い。おかげで、「けちんぼ家族」と陰口をたたかれている。 ある日、お勝が小金をためていると聞いて、盗みに入った勇吉(堤大二郎)。しかし、しっかり者のお勝から、必死に金をためている理由を聞かされ、心が変わるのだった。
サスペンスドラマの家政婦など、クセのある役の多い市原悦子。意外に肝っ玉かあちゃんの役は珍しい。が、そこはただののんびりかあちゃんではない。こどもたちを叱咤激励。こそ泥青年を吹き飛ばす勢いだ。人からなんと言われようと、自分の義理を貫くかあちゃんとそのこどもたちのタフな生き方が心地いい。また、彼らをとりまくのが、殿山泰司、コント山口君と竹田君、芦屋小雁、あき竹城など、長屋時代劇にはぴったりの面々であるというのも楽しい。山本周五郎の原作にはファンが多く、後にこの作品を市川崑監督が岸恵子主演で映画化。同じ「かあちゃん」でも、パワフルな悦子かあちゃんと、ちらりと視線で威圧する恵子かあちゃん、味が違うのが面白い。
( 書き下ろし ) |