江戸の町角で「一見十六文」で手相観相を観る“からす堂”(天知茂)は、町の人気者。亭主に怒る女房には、「仲良くすれば、子も授かりますぞ」などと夫婦喧嘩の仲裁(?)までして見せるが、それが案外いい加減なものでなく、どうやら霊感などは本物っぽいのが興味深いところ。しかし、お客がちゃんと見料を払っていかないのが悩みの種だ。そんなからす堂は、浪人者に斬られた町人の金を預かった浪人・豊作(金田賢一)と知り合う。豊作自身にもなにやら秘密がありそうなのだが、その金をめぐって、なにやら巨悪がうごめいている様子。しかし、うっかり動くと、からす堂の実家(実は唐津家というりっぱな武家の跡取りなのだ)にも圧力がかかるというすさまじさ。さて、からす堂はどう動く?
ニヒルなイメージの天知茂が、自ら明るい三枚目を志願して実現したというこの作品。悪人相手には、「死相が出ています」「そういう人相です、この人は」などととぼけた「ですます調」で味を出す。が、いったん黒い着流しで笠をかぶればムードも満点。独自の推理と剣の力で、悪に挑む。山手樹一郎の隠れた名作と呼びたいシリーズ。続編の「十六文からす堂2初夜は死の匂い」とともにお楽しみに。
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