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今なお人気の高い市川雷蔵。その代表作のひとつ「眠狂四郎」シリーズは第一作の監督・田中徳三の熱意があって実現した企画だった。私は先ごろ、世を去った田中監督ご自身に当時のエピソードを取材したことがある。 歌舞伎界から映画界へ転身した雷蔵は、生後まもなく養子になるなど私生活では苦労が多く、気さくな人柄の中にどこかシニカルでいたずらっぽいところがあった。田中監督は、助監督時代、雷蔵が初めて京都の撮影所に来たとき、たまたま所内を案内した縁で親しくなった。初監督した小作品「化け猫御用だ」に雷蔵が例のいたずら心からこっそり出演し、大映の幹部ににらまれたこともあったという。その監督が気合を入れた「眠狂四郎」だが、原作者の柴田錬三郎は当初、雷蔵の配役が気に入らず、「円月殺法を見せろ」と迫る。とっさに刀をくるくる回すと、原作者は厳しい顔で「とんぼとりじゃないか」。しかし、雷蔵は「勉強してきます」と次に面会したときには、しっかり技を工夫していた。田中監督との縁があったからこその熱意だったに違いない。 伊賀忍者に襲われた狂四郎が、加賀前田藩の奥女中(中村玉緒)と関わり、少林寺拳法を操る唐人(若山富三郎)と戦うというストーリー。残念ながら、まだ練りが足りなかったと監督ご本人も笑っていたが、これが記念すべき雷蔵狂四郎第一弾なのは間違いない。 ⇒『眠狂四郎殺法帖』放送スケジュール ( 書き下ろし ) |
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