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あるとき、仏師の師匠と弟子の与作(石浜朗)が、雪深い山で道に迷ってしまう。その前に現れた美しい雪女郎。透き通るような白い肌と金色の目を持つ雪女郎は、師匠にそっと白い息を吹きかけ、凍てつかせてしまう。しかし、与作を見つめた雪女郎は、「お前は若く美しい。お前を殺さないかわりに、今日見たことはただの一言ももらしてはならぬ…」 時を経て、ゆき(藤村志保)という女と夫婦になり、太郎というひとり息子も得て、幸せに暮らす与作。だが、ゆきの美貌に目をつけた悪地頭が、与作に無理難題を押し付ける。やがてそれが恐ろしく悲しい結末に…。 有名な「雪女伝説」を題材にしながら、人間の欲望と純粋な愛をテーマにした作品。光と影、吹雪のすさまじさ、金色に光る目など、CGのない時代にていねいに撮られた映像は美しい。市川雷蔵の「眠狂四郎」シリーズを手がけた田中徳三大映映画の特撮技術を駆使して、怪しく悲しい雪女郎の姿を描いている。 清純な美人役が多かった藤村志保は、独特の低音で「命はないぞえ」と凄みを出す。「ぞえ」の「え」が怖い。さらにベテラン女優原泉が巫女役で出演。ゆきが恐れる「炎」を前に一心不乱に祈祷する原泉巫女は、人間なのに雪女郎よりも迫力あるかも。「都で女を漁りつくしたが、ゆきほどの女はいない」という悪地頭(須賀不二男)の悪人ぶりにも注目。 役・市川かつじがいい表情を見せる。ラストシーンの余韻は、股旅ものならでは。 ⇒『怪談雪女郎』放送スケジュール ( 書き下ろし ) |
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旅がらす三日月直次郎(池部良)は、義理のために見殺しにしてしまった代貸政吉の妻おたか(岡田 莉子)と金之助(市川かつじ)を故郷に送り届けようとする。しかし、やくざと駆け落ちしたおたかを実家は受け入れてくれない。仕方なく、直次郎の故郷・信州に向う三人。そのうち、金之助は「おじちゃん」と直次郎を慕うようになり、直次郎もおたかに惹かれていく。そんな折、金之助が思い病にかかり、金がいる。直次郎は、自分の体を喧嘩場に売るしか、金を得る方法を思いつかなかった…。 「直次郎というバカ野郎は、唄と博打と喧嘩のほかは何もできねえ」 原案は長谷川伸。得意のやくざと母子ものだが、脚本・監督の稲垣浩は、べたべたした書き方はせず、さらりと男の心情を描いてみせた。 主演の池部良は、これが股旅映画初挑戦。すらりとした長い足で実に姿のいい渡り鳥ぶりを見せている。また、お調子者のちんぴらだんどり三太を加東大介が好演。「そばへ寄るな、油虫め!」と直次郎にののしられても、「そらひどい」とめげずについていく。親子を見守る居酒屋の親父・藤原鎌足、零落した親分・小沢栄も味がある。また、稲垣監督に見出された子役・市川かつじがいい表情を見せる。ラストシーンの余韻は、股旅ものならでは。 ⇒『旅路』放送スケジュール ( 書き下ろし ) |
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世界で始めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた江戸後期の名医・華岡青洲。しかし、その影には、彼を巡る壮絶な嫁姑バトルが繰り広げられていた。 代々医者として地域に慕われている華岡家。家を切り盛りする姑・於継(田中好子)は若々しく美貌の持ち主。その息子青洲(谷原章介)は二枚目で、彼の嫁になった加恵(和久井映見)は、幸せだった。が、やがて青洲の関心を得るために、嫁と姑が対立。青洲が麻酔薬の研究に没頭すると、於継と加恵は、「自分を実験台に」と申し出る。田中好子は、元アイドルキャンディーズの一員だったとは、とても思えぬ強烈な姑に。加恵に浴びせる冷凍目線には、恐ろしささえ感じる。一方、受けてたつ和久井映見もかなりのもの。このふたりに囲まれて、おろおろしたり、へらへらしている青洲は谷原章介にぴったりなイメージだ。 終盤、於継は亡くなり、加恵は実験のために失明。バトルは終息したかに見えたが、病に倒れた青洲の妹小陸(小田茜)の言葉はすさまじい。「恐ろしい。私はお母さはんと姉さんのことをよう見てましたのよし」「私の幸せは嫁にいかんかったことや」それでも、加恵は「私はここがええのやしてよし」と微笑む。小陸は「それは姉さんが勝ったからやわ」作家有吉佐和子ならではの視点で描かれる家族の物語。女のバトルに終わりはありません。 ⇒『華岡青洲の妻』放送スケジュール ( 書き下ろし ) |
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1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 最近の仕事「anan」 「ひよこクラブ」で女性向けのエッセイ、毎日新聞、産経新聞ビデオサロン、「じゃらん」等では時代劇コラムを連載中。 また、各テレビ誌、週刊誌、「レタスクラブ」「サイゾー」「ブルータス」などでも健筆を振う。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」 (ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。TBSラジオにもレギュラー番組を持つなど時代劇ブームの仕掛け人となる。 映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。フリーペーパー「カエルブンゲイ」には日本初(?)の座長公演コラム「ビバ!座長公演」連載中。 今年は歌舞伎についても書く時代劇をテーマにした、各界著名人との対談集執筆の予定あり。もちろん“ペリーテイスト”を効かせた、笑える内容。 ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。 「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。最新刊は月刊誌「ビデオサロン」(玄光社)に連載中のエッセイ"ちょんまげ漫遊記"を加筆した。 「ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)。当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。 |

