10世紀中頃、華やかな藤原権勢の世に弓を引いた坂東の風雲児・平将門と西海の雄・藤原純友。律令制度の崩壊、武士の台頭という歴史の十字路を背景にして、二人が抱いた夢とロマンを壮大なスケールで描いた秀作「風と雲と虹と」。
1976年に放送された伝説の大河ドラマ「風と雲と虹と」の放送開始を記念して、主演の加藤剛さんをお迎えしてのトークショーと全52話の中から加藤さんご本人が選んだベストエピソードの上映を行うイベントが、3/29(土)に東京・時事通信ホールで開催されました。
ホールは加藤剛さんファンや時代劇ファンで満員!将門を演じた主演の加藤剛さんが選んだ第22話「修羅の旋風」の上映でイベントはスタート。大きなスクリーンでじっくりと作品を鑑賞した後、「風と雲と虹と」主題曲が厳かに流れるなか、加藤剛さん登場!司会進行役は当ホームページの連載コラム「ペリーのちょんまげ」でお馴染みペリー荻野さん。ペリーさんの「大きな拍手でお迎えください」の言葉に促され会場には大きな拍手が湧きあがり、加藤さんの優雅な身のこなしに会場中がうっとりする中、いよいよトークが始まりました。
- ペリー荻野さん:
(以下、敬称略) - みなさま、第22話「修羅の旋風」いかがでしたでしょうか。
この「風と雲と虹と」をドラマ化するようにNHKに提案したのは加藤さんご自身だったとか…? - 加藤剛さん:
(以下、敬称略)
提案なんて、そんな大胆なことでは…。大河ドラマのチーフプロデューサーとお目に掛った際、「大河ドラマをやってみる気はあるか?」と聞かれまして。そのとき38歳で、気力も体力も充実していましたから、ぜひやりたいと。「どんな役がやりたいか」と聞かれて、思わず私が好きだった「平小次郎将門」と言ったんですよ。たぶんこの役は実現しないだろうと思いましたから。「平将門」という人物は、明治以降の日本の歴史の中で“逆賊” “謀反人” “大悪人”というイメージで教えられていたので、大河の主人公として復権することはまずないと思ったのです。
するとプロデューサーは「実は武田信玄のお話をすすめたいと思っている」とおっしゃるんですね、「私もやりたい役でした」と、武田信玄について一生懸命勉強しました。そうしたら、後から将門をやってもらいたいと言われて…これにはびっくりしました。まさかそんなことが実現するとは思いもよらなかったです。- ペリー:
- 「風と雲と虹と」は、海音寺潮五郎の「平将門」と「海と風と虹と」という二つの原作をあわせたドラマなんですよね。緒形拳さん演じる藤原純友は「海と風と虹と」の方に出てくるキャラクターで。
- 加藤:
- そうですね。純友と将門、この二人の友情がいちばんのテーマとして描かれた作品ですね。
- ペリー:
- 一方は坂東という荒野から、もう一方は瀬戸内海という海の方から朝廷に盾突くという、すごくユニークな構成ですよね。そしてこの作品の将門は戦っているだけでなく、恋をしたり、しょんぼりしたり…いろんな人間像が出てくるのが面白かったですね。
- 加藤:
- 将門像を、心優しい一人の若者として作り上げました。愛に対しては純情で一途で…。
- ペリー:
- 荒々しさの中に愛を感じさせる表現ということですよね。
- 加藤:
- そういえば都の仕官生活に絶望し、恋に破れて坂東に帰ろうと決意するシーンで、音楽を担当した作曲家の先生(山本直純氏)が、「坂東に帰るのは、映画『風と共に去りぬ』で主人公がタラに帰るときの心境。だからこのシーンでは♪タラのテーマを思いきり鳴らすよ。」とおっしゃって。そのときだけは「風と雲と虹と」ならぬ「風と共に去りぬ」になりましたね。(笑)
- ペリー:
- 撮影中も茨城に行かれたんですか?
- 加藤:
- 何回も行きました。
- ペリー:
- 地元の方は将門について、どう思われているんですか?
- 加藤:
- もちろん世直しの大明神、神様ですよ。千年の歴史を超えてあんなに民衆に支持されているということは、よほどのことだと思います。
- ペリー:
- 先日、茨城に行って来まして、「将門」という日本酒を買ってまいりました。「将門」という名を付けるからには、みなさんに愛される酒を造りたいということでしたよ。
さて、加藤家の大ニュースとしては、この平将門の名前が息子さんのお名前になっていることですよね。 - 加藤:
- 長男の方は“大治郎”といって、池波正太郎先生原作の「剣客商売」の舞台をやっているときに産まれたので、主人公の秋山大治郎から名前をいただきました。“大治郎”の次は“小次郎”にしたいねと言っていたら、ちょうどその年に平小次郎将門の役をいただいて。その5年後に次男が産まれて、待っていました、とばかりに小次郎と命名したのです。
- ペリー:
- お二人とも役者としてご活躍、親子で共演(「大岡越前2時間スペシャル」にて)もされています。加藤家に時代劇は欠かせないものになっていますね!
- ペリー:
- さて、当時大いに話題になった「風と雲と虹と」ですが、私たちが忘れられない話題があります。加藤さんがお歌いになった主題歌です!
- 加藤:
- (照れながら)すでにあったテーマ曲に後から歌詞を福田嘉之先生に書いていただいたのです。レコード化の予定はなかったのですが、ぜひこの主題歌のレコードを出したいという人が出て来たのにはびっくりしましたね。レコードを出すのは、この曲生涯1回だけです。
- ペリー:
- ぜひまた歌って欲しいですね。
- ペリー:
- 将門の魅力とはなんでしょうか?
- 加藤:
- 将門というのは、武士の原型ですね。消費者である後世の武士ではなく、農民と一緒に汗を流す開墾者であり、生産者である武士です。地元関東には、将門の精神が受け継がれていると思います。
- ペリー:
- 戦とは違う面を持ったリーダー、大事な大将ですよね。地元では「将門様」「将門様」って。京都では反逆者と捉えられていて、ずいぶん温度差があるというか。地元では正義感の強いキャラクターとして親しまれていますよね。そういうところが、加藤さんのイメージにぴったりですよね。お客さんもうなずいてます。(会場拍手)
今までの将門のイメージが、「風と雲と虹と」でずいぶん変わったのではないかと。
(会場に主題歌が流れる)
- ペリー:
- さて、本日は特別にお願いしたい件がありまして…
現在の「大河ドラマ」番組鑑賞手引きの始まりとなった「風と雲と虹と」の解説本で、こちらに加藤さんがエッセイを寄稿しています。そのエッセイ「わが心の将門」をご自身に朗読していただきたいと思います。 - ペリー:
- いや〜素晴らしいですね…。ありがとうございました。
最後に、時代劇の魅力についてはどう捉えていますか? - 加藤:
- 男の復権といいますか、現代ではちょっと弱くなっている(笑)…。男の強さ、男の夢を思って演じています。
- ペリー:
- 30年以上経っても色褪せない、また新たな感動がある「風と雲と虹と」ですが、改めて過去のご自分をご覧になっていかがですか?
- 加藤:
- 30年前の若き加藤が永遠のライバルとして今、私の前に出て来ている訳ですけれども、俳優の宿命はスポーツ選手と同じで、常に自己の最高記録とその更新にあり…、若き加藤がぞくぞくと登場して私を脅かす。若き日の自分というライバルに追い掛けられるのは不安でもあり、気持ち良くもありますね。
- ペリー:
- 時代劇専門チャンネルでは「風と雲と虹と」を始め、4・5月の2ヶ月にわたって若き加藤さん主演の7作品をお送りしますので、みなさまぜひ過去の若きライバルたちをご覧いただければと思います。本日は長時間お付き合いいただき、ありがとうございました。
- 加藤:
- こちらこそ、ありがとうございました。(会場拍手)
感動で思わずスタッフも涙ぐんだ朗読の様子は、
4/16(水)から放送される
特別番組
「加藤剛が語る その時代劇の世界」
にてお楽しみください!
思わず聞き惚れてしまう素敵なお声で、ひとつひとつの質問に丁寧に誠実に答えてくださった加藤さん。「トークが苦手」とおっしゃっていましたが、見事、お客様のハートをガッチリつかんでいました。
このイベントの模様は、特別番組 「加藤剛が語る その時代劇の世界」でご覧いただけます。加藤剛さん自ら出演作について語る貴重なインタビューも同番組にてお送りいたしますので、ぜひお楽しみください!






