ペリーのちょんまげ
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「男を金にする女」
夜鷹になった元武家娘を大原麗子がチャーミングに演じた鴨下信一演出作品。
誠実さでふたりの男を「金(きん)」に輝かせた娘の運命とは?

掲載2018年12月14日

(おとこをきんにするおんな ) 出演者:大原麗子/中村橋之助(現・中村芝翫)/杉村春子/山岡久乃/橋爪淳/唐沢寿明/長谷川稀世/小鹿みき ほか  1990年

男を金にする女
「男を金にする女 」
©TBS

 夜鷹のおとせ(大原麗子)は、元武家の娘だが、父が他人の罪を被って浪人した後に病死。母親のおたか(山岡久乃)も心労で病となり、暮らしのために身を落としたのだった。ある夜、呉服商の一人息子・十吉(橋爪淳)がおとせの客となる。やり手の母 おつね(杉村春子)に育てられた十吉だが、嫁とりにも商売にも身が入らず、遊び人のふりをしても格好がつかない中途半端な若旦那だった。おとせと会った後、十吉は240両もの大金が入った財布を失くしたことに気づく。一方、おとせは首をくくろうとしていた角助(中村橋之助・現・中村芝翫)を助け、十吉からもらったお代の一朱金を渡してしまった。大金を正直に返したおとせを嫁にと考えるおつね、一方、おとせに助けられて発奮、「お前を嫁にする」と宣言した角助。男をりっぱな商人として「金」に輝かせる女、おとせの運命は...。

 原作は94年に100歳で没した小島政二郎。石井ふく子プロデュース、「ふぞろいの林檎たち」の鴨下信一演出。脚本は「水戸黄門」第一シリーズの宮川一郎で、人情噺の中にエンタメ要素も入れ込んでいる。キャストも杉村・山岡らベテラン陣とともに若き日の唐沢寿明も出演。底辺に生きながら誠実さと包容力のある娘を演じた大原はウイスキーの名物CMで見せたチャーミングな魅力とともに武家娘らしい強さも見せての大活躍。

「遠山の金さん」
貫禄たっぷりの松平健が"潜入捜査型金さん"に!
ド迫力のお白洲啖呵と独自カラーの桜吹雪にも注目

掲載2018年12月07日

(とおやまのきんさん (しゅえん:まつだいらけん) ) 出演者:松平健/萬田久子/中村繁之/金児憲史/芳賀優里亜/森本レオ ほか 2007年

遠山の金さん(主演:松平健)
「遠山の金さん(主演:松平健)」
©テレビ朝日・東映

 北町奉行・遠山金四郎(松平健)は、事件が起こると自ら探索をするため、与力の東条八太夫(森本レオ)の目を盗んで町に出て、町人の金さんとして動き出す。松平健の七代目金さんの大きな特長は、遊び人としてフラフラしているのではなく、船頭、板前、用心棒などさまざまな職業人に扮して潜入捜査をすること。「金さんと呼ばれてます」とどこにでも入っていくお調子者っぽい松平の軽妙さが面白い。その手配をするのが、口入れ屋のおまき(萬田久子)だった。ユニークな設定の金さんだが、お白洲での迫力は抜群。「できることなら、人目にさらしたくなかった...」と悪人たちににらみを利かせる金四郎は、「観念しろい!!」と豪快に袴の裾を翻し、桜吹雪を見せつける。その桜吹雪は、これまでにない現代的なピンクを使ったオリジナルサクラ。ペリーは現場取材で、数時間をかけてていねいに描かれる桜や、撮影中に桜が消えないようパウダーを使う東映の伝統、多くの先輩が演じた大役を演じる心意気を聞いた。

 最終話のゲストは中条きよし。金さんが仇と狙われたり、追われる身になったり、正体がバレそうになる大ピンチ。だが、金さんを追い詰める大林(中条)にも秘密が...!?大詰めの立ち回りは、武士役とは一味違う金さん流だ。主題歌は小椋佳の作詞作曲「恋、二の次に」。もちろん歌うのは松平健!

「名奉行!大岡越前」
北大路欣也が愛娘に弱い人間味たっぷりの名奉行に。
推理あり名裁きあり、橋爪功の語りと加藤登紀子の主題歌も心に残る人気作

掲載2018年11月30日

(めいぶぎょう!おおおかえちぜん) 出演者:北大路欣也/涼風真世/水橋貴己/冨田翔/金田明夫 ほか 2005年

名奉行!大岡越前
「名奉行!大岡越前」
©テレビ朝日・東映

 南町奉行大岡越前守忠相(北大路欣也)は、どこか飄々として与力の笹倉采女(金田明夫)らをハラハラさせるが、実は推理力と行動力も兼ね備えた男。唯一の弱みは娘の香織(水橋貴己)だ。忠相は、物知りの門番与平(奥村公延)、密偵のおりん(涼風真世)、熱血の若い同心・池田大助(冨田翔)らとともに江戸を騒がす事件に立ち向かう。

 多くの名優が演じてきた越前だが、北大路の特長は、お白州のカッコよさとともに結構な酒好きで夜の町に気軽に出ては一杯やったりする気さくさがあること。健康を心配する香織に「父上!」と叱られてはてへへと逃げ回る姿は、北大路の持ち味である人間味や「面白がり」が出ている。ペリーはしばしば現場を取材したが、水橋、冨田ら若い俳優たちとの共演、自らが育った京都撮影所での仕事が実に楽しいと語る北大路欣也の明るさが印象に残っている。「雲切仁左衛門」や「ご落胤」の一件など、史実や大岡政談で昔から伝わる逸話を素材にした話もあり、かつて北大路の「子連れ狼」で息子大五郎役だった小林翼や北大路との共演作が多い長門裕之がゲスト出演しているのも見どころのひとつだ。娯楽時代劇の王道を堂々と演じる北大路、時代の空気を感じさせる橋爪功の語り、心温まる主題歌「今があしたと出逢う時」を歌う加藤登紀子と、おとなムードの仕上がりが楽しめる人気作。

「眩(くらら)~北斎の娘~」
天才絵師の娘もまた天才!北斎の娘お栄を宮﨑あおいが好演
江戸の文化人の人間模様と目を見張る映像美で芸術祭大賞を受賞

掲載2018年11月23日

(くらら~ほくさいのむすめ~) 出演者:宮﨑あおい/松田龍平/三宅弘城/西村まさ彦/野田秀樹/余貴美子/長塚京三 ほか 2017年

眩(くらら)~北斎の娘~
「眩(くらら)~北斎の娘~」
©NHK 原作 朝井まかて『眩』(新潮社刊)

 人気絵師・葛飾北斎(長塚京三)の三女お栄(宮﨑あおい)は、幼いころ父に「この世は円と線でできている」と聞かされ、成長すると自らも筆をとり、父を支える。絵師の夫の絵が下手だと鼻で笑って離縁された経験のあるお栄は、かつて父の門人だった善次郎(松田龍平)に盛り場に連れていかれ、艶やかな芸者や灯りに照らされる座敷や街並みに魅了される。「善さんの優しさは毒だ...」いっしょに暮らす女がいることを知りつつ、お栄は善次郎に惹かれていく。

 大河ドラマ「篤姫」でも父娘を演じた宮﨑・長塚は、衣食住には関心がなく、ぼろ着物で暮らし、引越しを繰り返す似た者親子役でも息がぴったり。宮﨑は長い煙管でたばこをふかし、「したかねえ」「上からものを言いやがって」と男言葉で新境地を見せた。お栄の苦しい恋の意外な結末と、「変人」と言われながらも落ち込む娘の横にすっと現れ、「この橋を渡ったら忘れよう」と声をかけるなど、不器用であたたかい人間味ある"父"北斎の姿に心打たれる。火事の炎の色、大川の水色、珍鳥カナリアの羽色、色町で見た人間の顔の陰影などを必死に見つめ続けたお栄(葛飾応為)は、晩年、日本のレンブラントとも称される作品を完成させる。原作は直木賞作家朝井まかての人気小説。脚本は大森美香。江戸の美とともに滝沢馬琴(野田秀樹)とのつながりなど当時の文化人の人間模様を巧みに描き、文化庁芸術祭大賞を受賞した長編。

「蝶々さん~最後の武士の娘~」前編・後編
オペラ「蝶々夫人」のヒロインを宮﨑あおいが凛々しく熱演
数奇な運命を生きた娘を支える女たちがカッコいい!

掲載2018年11月16日

(ちょうちょうさん~さいごのぶしのむすめ~ ぜんぺん ほこりのだいしょう) 出演者:宮﨑あおい/伊藤淳史/イーサン・ランドリー/戸田恵子/野田秀樹/藤村志保/西田敏行 2011年

蝶々さん~最後の武士の娘~ 前編 誇りの代償
「蝶々さん~最後の武士の娘~ 前編 誇りの代償」
(C)NHK

 「長崎に来ましたばい...」明治初期。伊東蝶(宮﨑あおい)は、伯父(本田博太郎)と人力車で長崎の花街・丸山の水月楼に向かった。父を佐賀の乱で失い、母も祖母までも亡くした蝶は、水月楼の跡取りとして養母女将(戸田恵子)から茶華道・芸事などを仕込まれる。しかし、女将は突然亡くなり、下働きの立場に。海運業を営む帯谷(西田敏行)の尽力で老舗置屋「末石」のお幸(余貴美子)に引き取られた蝶は、自らの意思で舞妓「春蝶」となる。後編では、米国海軍のフランクリンと出会い結婚。浴衣を着たフランクリンが蝶の手料理を楽しむなど幸せな日々を送るが、それは彼の滞在中だけの「長崎式結婚」だった。お互いの中に武士と同じ気骨を認め、本気で愛しあうふたりだが...。
 原作・脚本は長崎出身の市川森一。長崎ロケもまじえ、赤い提灯、夜の川に浮かぶ舟、花街の賑わいなど、エキゾチックな街の映像美が素晴らしい。宮﨑は愛らしい娘から妻へと凛々しく変化してみせる。また、蝶を育てた女将、元名妓で機転の利く女子衆の絹(ともさかりえ)、「英語のしゃべれる舞妓がおってもよかたい」と蝶の向学心を応援するお幸、蝶にコレラを移さないため自害した母・祖母など、蝶を支えた女たちがカッコいい! 昭和の歌舞伎座で蝶の素顔を知りたいという紳士(川平慈英)は誰なのか。ラストの謎解きも見事。

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ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。

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