『必殺』シリーズに登場した印象的な武器を紹介する本コーナー。今回もタイトルに目を凝らして頂こう。“自作”の後ろに“?”が付いているだろう。そう、特段、加工もしていない、有り物をご紹介するのだ。もちろん映像に登場したオリジナルでもない。そもそもこれが武器扱いされるのは、『必殺』シリーズだけではないだろうか? でも、だからこそ『必殺』は面白いのだ。

第3回 おりくの三味線と勇次の三味線の紐(弦)
 ということで、『新 必殺仕事人』(81年)のベテラン仕事人・おりく(山田五十鈴)の武器、三味線である。
三味線1  楽器自体の三味線については「用語解説」をご覧頂くとして。『必殺』シリーズで初めて三味線を武器としたのは『暗闇仕留人』(74年)登場の仕留人・糸井貢(石坂浩二)。おりく同様、撥(バチ)で敵を切り割く技を使った。75年、山田五十鈴演じるから くり人の女性元締・花乃屋仇吉(『必殺からくり人』[75年])が登場。華麗なる撥裁きで悪を葬る、まさに、おりくの原型ともいうべきキャラターだった。三味線2続く『新 必殺からくり人 東海道五十三次殺し旅』(77年)、『必殺からくり人 富嶽百景殺し旅』 (78年)でも山田はやはり撥で悪を斬る、お艶という女性元締を快演している。特筆すべきは『富嶽百景〜』で、このときは撥だけでなく三味線自体にも様々な武器が内蔵されていた。
 なお、山田五十鈴はシリーズ第15弾『必殺仕事人』(79年)の元締・おとわ役にて藤田まこと(当然ながら中村主水役)と初共演。そして本作で再会を果たす……ものの、おとわ役でなく新キャラクターのおりくだったというのが面白い。
 おりくの三味線は、白(革)部分に“雀”の大きな署名が入り、周囲は青い(藍色?)結び模様となっていた。ここに掲載した写真は最も一般的な三味線の形状。
 余談だが、おりくは第2話で針(?)仕込みの指輪を使い、奉行所はこれを“鎌イタチの仕業”と見立てている。これぞ、鳴滝忍(『必殺渡し人』[83年])の原型か?

 三味線の紐1
 おりくの血縁のない息子、勇次が使うのが三味線の糸。こちらはごく一般的な三味線糸である。撮影で使われていたものはピアノ線やテグスだった(実際に三味線の糸で人間を吊るすのは無理だそう)。だが、第2話等指先のアップのシーンでは本物の三味線糸が使われているようだ。

三味線の紐2 三味線の紐3
勇さん調に持ち、
伸ばしてみた。

三味線の紐4
 こちらは一見ピアノ線に見えるが、れっきとした三味線糸のヴァリエーション。なお、紐で吊って殺す技の始祖は念仏の鉄(山崎努/『必殺仕置人』[73年]第5話)だが、正式に持ち技として使ったのは与市(フランキー堺/『特別編 必殺仕事人 恐怖の大仕事 水戸・尾張・紀伊』[81年])が初で、吊るされる悪人を演じていたのが中条きよしというのもまた面白い話だ。

(岩佐陽一)
※素材提供:まついえつこ
トップへ戻る