必殺シリーズをお楽しみの皆さまこんにちは、小栗さくらです。
 今回は『暗闇仕留人』を観まして、若かりし石坂浩二さんの格好よさと優しい眼差しに惚れ惚れしてしまいました! このシリーズでは中村主水の妻・りつの妹が登場し、主水に妙な縁で義理の弟が二人も出来てしまうというのも面白かったです。
 さて、必殺シリーズでは藤田まことさん演じる中村主水が「おい、八丁堀」なんて呼ばれていますよね。ほかの時代劇でもよく「八丁堀」という言葉を耳にするかと思います。時代劇好きの方は既にご存知の方も多いかもしれませんが、今回はその八丁堀の町奉行と役職について触れてみます。時代によって多少の差異はありますので、一般的なお話をしますね。

 もともと「八丁堀」というのは、幕府が船を通すために江戸に開かせた堀のひとつのことで、海から 八町 (はっちょう)(およそ880メートル)にあったことから「八丁堀」と呼ばれたそうです。そしてこの八丁堀には町奉行所の組屋敷(与力や同心などを住まわせるための宅地)があったため、「八丁堀」=「町奉行所の与力や同心」、というイメージが定着したのですね。
 与力・同心と言っても、町奉行所に所属していた人たちだけをそう呼んだわけではないのですが、今回出てくる与力・同心は、町奉行所に属していた人たちのことを指すことにします。この二つの役職については後で触れたいと思います。


 今回のシリーズで中村主水が勤めているのは北町奉行所です。江戸には北町奉行所と南町奉行所があり、1か月ごとの交代制(月番制)で仕事をしていました(※中町奉行所があった時期もあります)。交代制とはいっても、門を開けて民事訴訟を担当するのが交代制だったというだけで、非番側の奉行所ももちろんお仕事はしていましたよ。
 江戸の町奉行は、現在で言えば東京都知事・国務大臣・裁判所の判事・警視総監・消防総監などを兼任したような超多忙なお仕事だったそうで、あまりの激務に過労死した人もいたのだとか……。
 そんなお奉行様を補助したのが「与力」。与力は主に行政・司法・警察などを担当し、御目見(おめみえ)以下(将軍に会う権利がない)身分でありながらも馬に乗ることが許されていたという少し特殊な役職でした。
 そして我らが中村主水は、その与力を補助する役割であった「同心」で、同心は庶務・警察などの役割を果たしていました。同心は表向きは一代限りの役職とされていましたが実際は世襲制で、中村主水は代々町奉行所の同心である“中村家”に婿養子に入ったため、それを継いでいるということなんですね。
 中村家はお金がないかのように描かれていますが、与力や同心は諸大名や町人などからの付け届け(謝礼や贈り物)があったため実際の給金よりもかなり潤っていたようです。そういえば劇中でも主水さんが色々もらっていますよね。

 さらに、同心の下には「小者(こもの)」「岡っ引(おかっぴき)」「目明(めあか)し」などと呼ばれる同心の下で働く人たちがいました。「岡っ引」はよく時代劇に登場する呼び方ですが、彼らの江戸での敬称は「御用聞き」。実は彼らは幕府に雇われているわけではなく、「同心」がポケットマネーで雇っている非公認の存在なのです。しかし実際はそれほどお金をもらっていたわけでもなく、ほとんどの者が料理屋などの職業を持っていました。

 そして「岡っ引」の下には「手先」が、「手先」の下には「下っ引(したっぴき)」がいて、こうした非公認の存在の人たちの協力もあって江戸の治安維持が成り立っていたんですね。それと同時に、岡っ引には元犯罪者などの柄の悪い人間も多かったため弊害もありました。『暗闇仕留人』の舞台・嘉永6年より10年ほど先の文久2(1862)年には、岡っ引等の数が増えたことや、彼らが公威を借りて面倒ごとを起こすということから、これをやめて与力・同心自らが精励するように、というお達しがあったようです。

 そんな町奉行所の仕組みも頭に入れながら『暗闇仕留人』をお楽しみくださいね!!

 
 ※1町は現在の約109.09m(メートル)。なので、八町は×(かける)8で872.72m(メートル)ということになる。約1Km弱といえる。

小栗さくら プロフィール
1984年11月27日生まれ。
駒澤大学文学部歴史学科卒業後、歴史系アーティスト=通称・歴者(れきもの)アーティスト、歴史アイドル(歴ドル)として活躍。
来る3月4日(日)に菅平高原で行われる「2012菅平高原スノーボールバトル & 戦国雪合戦(http://sugadaira.info/yukigasen07/)」に参戦。
3月20日(火)には代々木Bogalooで行われるライブ「花詩〜乙女椿〜(http://www.bogaloo.net/main.html)」に出演。
公式サイトは http://members3.jcom.home.ne.jp/sy-sakura/

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