新 必殺仕事人
(1981年・TVシリーズ・全55話・カラー)
 出演 藤田まこと/中条きよし/鮎川いずみ/三田村邦彦/菅井きん/白木万理/山田五十鈴 他

よもやま噺

 世間的に“必殺”といえば“仕事人”、仕事人といえば中村主水(藤田)、飾り職(簪[かんざし]屋)の秀(三田村)、三味線屋の勇次(中条)という連想に至るのではないだろうか?
 事実、近年のパチンコでも、この3キャラクターがメインに据えられ、そこに念仏の鉄(山崎努/『必殺仕置人』『新 必殺仕置人』)や組紐屋の竜(京本政樹/『必殺仕事人V』〜『同・激闘編』)がプラスされる形を採っており、“必殺シリーズ”という言葉の持つ最大公約数的なイメージが、主水、秀、勇次に象徴されていることが分かる。
 その勇次というキャラクターを生み、仕事人という言葉を定着させた、ある意味シリーズ最大の功労者たる作品が、必殺シリーズ第17弾にして中村主水シリーズ第8弾にあたる『新 必殺仕事人』である。個人の憶測の域を出はしないものの、おそらく本作がなければ必殺シリーズは、これほど延命できなかったのではないだろうか……?
 その根底には1980年代に入り、TVの視聴習慣に対する大きな変化をいち早く察知した山内久司プロデューサーの慧眼があった。山内P曰く“必殺のバラエティ化”というそれは、'80年代にフジテレビ(CX)が打ち出した「楽しくなければテレビじゃない」という名コンセプトに集約される。視聴者がTV……否、TVのみならずすべてのマスメディアに対してイデオロギーを求めなくなったのだ。それは来るべき日本経済“空前のバブル期”の到来に呼応する。
 常に新しいことへのチャレンジを続けてきた“必殺”は、ここへきて挑戦をやめ、安定路線に突入。文字通り“仕事”で疲れて帰宅したサラリーマンやOLを、おなじみの顔ぶれ(中村家及びなんでも屋の加代)と、全くタイプの違うイケメン(ホスト)二人(秀及び勇次)、さらには今で言うところのニューハーフ(筆頭同心・田中[山内敏男(としお)])が毎週温かく(?)出迎え、癒してくれるという週末のお楽しみ=キャバレー・ホストクラブ的番組へと華麗なる変身を遂げた。その結果、'80年代という時代の空気を完全に採り入れ、“'80年代の必殺らしさ”を生むことに成功した必殺シリーズは見事、'70年代を凌駕する黄金期を迎えることとなったのだった。


みどころ
 なんといっても、前作『必殺仕事人』(79年)からのスピンオフである、第一のイケメン=秀に、山内P言うところの“色悪的”な第二のイケメン=勇次が新たに加わった、タイプ別のW(ダブル)イケメンの魅力に尽きる。秀役の三田村が歌ったエンディングテーマ「想い出の糸車」(作詞・作曲:山本六助/編曲:竜崎孝路)も大ヒットした。もちろん、定番となった中村家のホームドラマも、29年の時を経てなお、仕事で疲れた心と体を癒してくれること請け合いだ。

(岩佐陽一)
※文中の情報は筆者が『ザ テレビジョン』(角川書店)の記者時代に、
山内プロデュ ーサーをはじめ関係各位より直接お伺いしたものです。

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