江戸時代の人々の哀歓とぬくもりを綿密かつ抒情的に描き出し、
今なお多くの読者を惹き付けてやまない時代小説家・藤沢周平。
旅行や帰省で人々を「旅」へと誘う5月。
そんな季節に相応しいスペシャル企画として、美しい日本の原風景を背景に、
“郷愁”や“旅情”が色濃くにじむ傑作の数々を特集放送!
5月3日(水・祝)ひる1時より3日連続放送!
出演:仲代達矢/常盤貴子/北村一輝/緒形直人/佐藤二朗/三田佳子/橋爪功/中村敦夫
信州・木曾福島に向かってひとりの無宿渡世姿の旅人が歩いていた。男の名は宇之吉。かつては木曾福島を縄張りとする博奕打ちだったが、親分の罪を被り、江戸に身を寄せた。しかし世話になった相州屋清五郎の妻・おとしと道ならぬ仲になり、清五郎を殺し、おとしと江戸を出奔。以来30 年余りの歳月が流れ、病に倒れた先で見た風景が宇之吉の心を抉る。老い先を思い故郷へ歩みを進めた。故郷、木曾福島に辿り着いた宇之吉。町を歩くうち、斬り合いに遭遇する。野獣のように、隙がなく獰猛な動きを示している男が一人、十人を超える男たちを相手にしていた。のちに知れる男の名は源太。彼を追い詰める男たちは、宇之吉のかつての兄貴分、九蔵の手下たちだった。川に飛び込み難を逃れる源太。宇之吉はその姿にかつての自分の姿を重ねていた。ある日、渡世人仲間の栄次と行った飲み屋で、おくみという女と出会う。栄次から、おくみと源太は好いた仲だが、かねてからおくみに目を付けていた九蔵が、二人の仲を引き裂こうと執拗に嫌がらせを重ね、ついに源太が九蔵に斬りつけ、追われる身となってしまったのだと知らされる。神社で行われる山博奕の日、宇之吉は幼なじみの佐一と再会し、衝撃の事実を耳にする…。
出演:橋爪功/臼田あさ美/波岡一喜/大路恵美/吉村涼/今里真/鶴田忍/田山涼成/岩松了/杉本哲太 ほか
壺振り師の弥平は、親分を裏切ったほとぼりを冷まそうとしばらく江戸を離れていた。しかし老境に差しかかり、住み慣れた土地への郷愁にかられ、決死の覚悟で再び江戸へと橋を渡った。 江戸に舞い戻ったその日、弥平はとある女郎屋の前で、夕焼けを眺めるおさよという女と出会う。おさよは小間物屋を開いた夫の借金の形として自ら身を売った女だった。亡くした女房とどこか重なるおさよが気になった弥平は、後日、おさよの夫と子供が暮らすという長屋を訪ねる。だが、そこで見たのは、働きもせず博打に明け暮れる不実な夫の姿だった。
出演:北大路欣也/優香/渡辺大/伊武雅刀/原田大二郎/高橋長英/麻生祐未/伊東四朗
隠居生活の慰みにと、川釣りを始めた清左衛門。釣友であり、かつて中根道場の同朋だった安富源太夫の言葉に動かされ、親友の町奉行・佐伯熊太や小沼惣兵衛らかつての道場仲間を集めて三十年振りの旧交を温める。若かりし頃の話に花が咲き、楽しい一夜を過ごした清左衛門だったが―またある時、清左衛門が江戸詰めの頃に訳あって世話を焼いたことがある松江が屋敷を訪ねてくる。国許での縁談が決まったという報告に喜ぶ清左衛門だが、嫁ぎ先の家の良からぬ噂話を知って、事の真偽を確かめるべく動き出す。さらに清左衛門は、道場主の中根弥三郎から、とある果たし合いの立会人を頼まれることに。老いを感じつつも、旧友たちとのつきあいなど日々を忙しく過ごす清左衛門。夜ごと『残日録』に綴る胸の内は‥。「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ---」藩を揺るがす大事件がやがて起きようとしている頃、清左衛門の周りを穏やかな時間が静かに流れていた。
出演:北大路欣也/峰岸徹/原田大二郎/松原千明/佳那晃子/藤巻潤/岸田森/垂水悟郎 ほか
長屋で気ままな浪人暮らしを送る元御家人の浪人・鶴見源次郎(北大路欣也)は、ある夜、一人の男が黒装束の集団に襲われているところに出くわす。瀕死の男の正体は公儀隠密で、"松平"宛ての密書を持っていた。松平右近将監(垂水悟郎)に会った源次郎は、幕府転覆を狙う謎の集団・八嶽党の存在を聞かされ、側用人・松平上総守(石橋蓮司)に引き合わされる……。