ちやりふじ(1955)
血槍富士(1955)
戦前・戦後期にわたって活躍し、同時代の時代劇スターと共に「七剣聖」と称された片岡千恵蔵。遠山金四郎(「いれずみ判官」シリーズ)、机竜之助(「大菩薩峠」シリーズ)など多くの当たり役を演じたまさに1950年代を代表する時代劇スターだ。そんな千恵蔵の主演作の中でも、身分の低い武士の悲哀を演じたこの作品は、明朗快活な普段の千恵蔵とは違う円熟味のある名優としての一面を観ることのできる秀作となっている。主君の槍持ちとして東海道を江戸に向かう権八(片岡千恵蔵)の、前半は道中で出会う様々な人との交流を、後半は主君を殺された怒りに満ちた凄惨な仇討を描いた本作は、前半と後半でがらっと雰囲気を変えながら、市井に生きる人々の人情味と封建的な武家社会の不条理を同時に描いている。監督は本作が戦後復帰第1作となる内田吐夢。13年ぶりにメガホンをとる内田のために、溝口健二(クレジット表記無し)、小津安二郎、清水宏、伊藤大輔など錚々たる名匠たちが企画協力に名を連ねた。クライマックス、居酒屋での長槍を使った仇討のシーンは千恵蔵のキャリア、そして時代劇史に残る屈指の名場面だ。
あらすじ
酒乱の気がある主人の槍持ちとして東海道を旅する権八。道中でさまざまな人々に触れて情を知るが、つまらない諍いから無頼の侍に殺された主人の仇を討つはめになる。
放送スケジュール
時代劇専門チャンネルの一日は、あさ4時から始まります。あさ4:00から翌4:00までを一日としてお届けしております。
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血槍富士(1955)(C)東映