『三屋清左衛門残日録』(文春文庫刊)
『別册 文藝春秋』一七二号から一八六号にわたって連載された連作長篇時代小説。東北のある小藩を舞台として、隠居生活に入った前藩主用人・三屋清左衛門が様々な事件に立ち向かう。老いゆく日々の出来事と胸の内を、深い味わいで描いた傑作。
藤沢周平の傑作小説を原作に、老境の人間模様を温かな視点で描くオリジナル時代劇シリーズ『三屋清左衛門残日録』。BSフジとのタッグによる「登場篇」「完結篇」「三十年ぶりの再会」、時代劇パートナーズとともに制作した第4作「新たなしあわせ」、ケーブルテレビ最大手のJ:COMとタッグを組み制作した第5作「陽のあたる道」第6作「あの日の声」と、多くのお客様に好評を博してきました。
さらに第6作では、【ドイツ・ワールド メディア フェスティバル2023】にて金賞を受賞し、世界にも通じる時代劇作品のひとつとなりました。
そして今回、藤沢周平による傑作短篇「山姥橋夜五ツ」(文春文庫『麦屋町昼下がり』所収)と『三屋清左衛門残日録』(文春文庫刊)の世界を融合させた、待望の第7作が誕生!
2016年の第1作から7作にわたり主人公の三屋清左衛門を演じるのは北大路欣也。清左衛門を自身の理想であり憧れの人物と語り、本シリーズは代表作の一つとなりました。
優香、麻生祐未、伊東四朗らお馴染みのキャスト陣のほか、甲本雅裕、清水美砂、勝村政信、堀部圭亮といった実力派俳優陣が加わり、「残日録」にまた新たな一頁が綴られます。
巡りゆく季節の中で、変わらない人の想いを鮮烈に描き出してきた、「三屋清左衛門残日録」シリーズ。
本作では、ある家族が抱える問題と複雑に絡まった闇の思惑に、清左衛門が迫ります。
様々な人物の思いが交差するなか、信じるべきものは何かー。
今この時代にこそ届けたい、新たな「残日録」をお楽しみください。
初秋のある日、道場の少年たちの喧嘩の仲裁に入った清左衛門(北大路欣也)は、事の起こりとなった少年・俊吾(一ノ瀬嵐)のことを気に掛ける。
その父である柘植孫四郎(甲本雅裕)は、8年前、剣の腕を見込まれて要人の護衛を引き受けたものの、刺客に襲われて任務に失敗。
さらには妻・瑞江(清水美砂)を不貞の疑いで離縁するなど、心に大きな傷を抱えていた。
清左衛門は、息子の妻・里江(優香)や自らが見聞きした俊吾、瑞江の心の内を孫四郎に語り、彼らの思いを汲むように諭す。さらに孫四郎から8年前の事件の始終を聞き出すと、そこに派閥争いに影響した「もうひとつの死」が関わっているのではと疑念を抱く。盟友・佐伯熊太(伊東四朗)の助力を得て、真相を明らかにするべく清左衛門は調べ始めるが、その矢先に新たな事件が起こり...。
権力者となった筆頭家老・朝田弓之助(金田明夫)の影を感じつつ、複雑に絡まった事件の謎を紐解いていく清左衛門。それぞれの思いが交差する中で、闇の思惑に翻弄された家族に、再び笑顔は戻ってくるのか―。
日本映画放送株式会社 常務執行役員。「日本映画専門チャンネル」「時代劇専門チャンネル」の開局(1998年)から編成、企画を担当。
2011年から時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇として、「鬼平外伝」シリーズ、「藤沢周平 新ドラマシリーズ」など全26作品を企画、プロデューサーを務める。
主な劇場映画として2010年「最後の忠臣蔵」(杉田成道作品)、「LIAR GAME The Final Stage」(松山博昭作品)、2016年「リップヴァンウィンクルの花嫁」(岩井俊二作品)、2017年「海辺のリア」(小林政広作品)、2020年「8日で死んだ怪獣の12日の物語」(岩井俊二作品)、2022年「Ribbon」(のん作品)、さらに2022年連続ドラマ「おいハンサム!!」(山口雅俊作品)など。23年以降、劇場公開予定作品として、池波正太郎原作「仕掛人・藤枝梅安」「鬼平犯科帳」のエグゼクティブ・プロデューサーを担当。
1927年、山形県東田川郡黄金村(現鶴岡市)出身。山形師範学校(現山形大学)で文芸に親しみ、教員を経て、新聞記者時代に小説を書き始める。71年『溟い海』で第38回「オール讀物」新人賞、73年『暗殺の年輪』で第69回直木賞を受賞。この後に本格的な作家生活に入り、武家もの、市井もの、実在の人物を題材とした歴史小説など、多彩なジャンルで秀作を発表。江戸の人々の哀歓とぬくもりを緻密かつ抒情的に描き出し、『たそがれ清兵衛』『蟬しぐれ』『橋ものがたり』『三屋清左衛門残日録』ほか、文学史に残る名作を生み続けた。86年に『白き瓶 小説 長塚節』で吉川英治文学賞、89年に菊池寛賞、94年に朝日賞、東京都文化賞を受賞。95年紫綬褒章受章。97年1月逝去。22年『小説の周辺』で"中国の直木賞"とも言われる魯迅文学賞の翻訳文学部門を受賞。没後27年を迎えてなお国内外から注目を集めている。
『三屋清左衛門残日録』(文春文庫刊)
『別册 文藝春秋』一七二号から一八六号にわたって連載された連作長篇時代小説。東北のある小藩を舞台として、隠居生活に入った前藩主用人・三屋清左衛門が様々な事件に立ち向かう。老いゆく日々の出来事と胸の内を、深い味わいで描いた傑作。
「山姥橋夜五ツ」(文春文庫『麦屋町昼下がり』所収)
藩の重職の護衛に失敗したことから家禄を減らされ、家族の問題もかかえる主人公が、それらを乗り越えて幸せを取り戻す。原作「山姥橋夜五ツ」の他、表題作「麦屋町昼下がり」と「三ノ丸広場下城どき」「榎屋敷宵の春月」の武家もの四篇を収録した短篇集は、時代小説の芳醇・多彩な味わいはこれに尽きる、と評された。
予告篇①
予告篇②
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