『三屋清左衛門残日録』(文春文庫刊)
『別册 文藝春秋』一七二号から一八六号にわたって連載された連作長篇時代小説。東北のある小藩を舞台として、隠居生活に入った前藩主用人・三屋清左衛門が様々な事件に立ち向かう。老いゆく日々の出来事と胸の内を、深い味わいで描いた傑作。
藤沢周平の傑作長篇小説を原作に、老境の人間模様を温かな視点で描くオリジナル時代劇シリーズ「三屋清左衛門残日録」。第1作~第3作はBSフジとのタッグ、第4作は時代劇パートナーズとともに、第5作「陽のあたる道」からはケーブルテレビ最大手のJ:COMとタッグを組み、第6作「あの日の声」第7作「ふたたび咲く花」と制作し、多くのお客様に好評を博してきました。
そして今回、藤沢周平による傑作短篇「三月の鮠」(文春文庫『玄鳥』所収)と『三屋清左衛門残日録』(文春文庫刊)の世界を融合させた、待望の最新第8作が完成しました。
主人公の三屋清左衛門を演じるのは北大路欣也。清左衛門を自身の理想であり憧れの人物と語り、本シリーズは代表作の一つとなりました。優香、麻生祐未、伊東四朗とお馴染みのキャスト陣のほか、今作は藤岡真威人、大友花恋、大貫勇輔といった若手キャストが新たに参加。「三屋清左衛門残日録」の世界に新たな風を吹き込みます。
本作では、清左衛門が若い武士と固い絆で結ばれ、血気盛んな若者を時に見守り、時に一緒に戦いながら、「人生とは?」そして「大切なものを守る武士の生き方」を見いだしていきます。
また、過酷な運命に翻弄されながらも惹かれあうふたりの若者の恋心という、これまでのシリーズにない物語も描かれる本作。新たな息吹を感じられる「残日録」が誕生しました。
ある秋の日。中根道場では、御前試合の前稽古に励む青年剣士・窪井信次郎(藤岡真威人)の剣技に、みな目を奪われていた。しかし御前試合当日、信次郎は、ライバル・岩上勝之進(大貫勇輔)との決勝戦に臨むも惨敗してしまう。信次郎は遠藤派重鎮の息子、勝之進は朝田派重鎮の息子。試合の結果は派閥争いにも影を落とす。
自暴自棄となり道場にも通わなくなった信次郎を、清左衛門は野歩きに誘う。
清左衛門と山道を歩く途中で信次郎は、小さな社で祈りを捧げる巫女・照日(大友花恋)に心を奪われる。最初は警戒していた照日も毎日のように会いに来る信次郎に次第に打ち解け、互いに心を通わせていった。しかしある冬の日、社が何者かに襲われ、照日は姿を消してしまう...。
照日を思い奔走する信次郎の姿に心をうたれ、事件の裏に潜む謎を解き明かそうと動きだす清左衛門。闇の思惑に翻弄される若き恋を守ることはできるのかー。
1998年「日本映画専門チャンネル」「時代劇専門チャンネル」の開局から編成、企画を担当。2011年から制作をスタートした時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇で、全33作品の企画、プロデューサーを務める。主な劇場映画として2010年「最後の忠臣蔵」、「LIAR GAME The Final Stage」、16年「リップヴァンウィンクルの花嫁」、22年「Ribbon」、23年池波正太郎原作「仕掛人・藤枝梅安㊀㊁」。24年以降、藤沢周平原作 橋ものがたり「約束」(監督:杉田成道)、「告白 コンフェッション」(主演:生田斗真、ヤン・イクチュン 監督:山下敦弘)を製作。さらに、池波正太郎原作「鬼平犯科帳」SEASON1(主演:松本幸四郎 監督:山下智彦)、「おいハンサム‼」(主演:吉田鋼太郎 監督:山口雅俊)の続編となる連続シリーズ&劇場版のエグゼクティブ・プロデューサーを担当。
1927年、山形県東田川郡黄金村(現鶴岡市)出身。山形師範学校(現山形大学)で文芸に親しみ、教員を経て、新聞記者時代に小説を書き始める。71年『溟い海』で第38回「オール讀物」新人賞、73年『暗殺の年輪』で第69回直木賞を受賞。この後に本格的な作家生活に入り、武家もの、市井もの、実在の人物を題材とした歴史小説など、多彩なジャンルで秀作を発表。江戸の人々の哀歓とぬくもりを緻密かつ抒情的に描き出し、『たそがれ清兵衛』『蟬しぐれ』『橋ものがたり』『三屋清左衛門残日録』ほか、文学史に残る名作を生み続けた。86年に『白き瓶 小説 長塚節』で吉川英治文学賞、89年に菊池寛賞、94年に朝日賞、東京都文化賞を受賞。95年紫綬褒章受章。97年1月逝去。22年『小説の周辺』で"中国の直木賞"とも言われる魯迅文学賞の翻訳文学部門を受賞。今なお国内外から注目を集めている。
『三屋清左衛門残日録』(文春文庫刊)
『別册 文藝春秋』一七二号から一八六号にわたって連載された連作長篇時代小説。東北のある小藩を舞台として、隠居生活に入った前藩主用人・三屋清左衛門が様々な事件に立ち向かう。老いゆく日々の出来事と胸の内を、深い味わいで描いた傑作。
「三月の
藩主の御前で試合にやぶれ、自暴自棄になった青年剣士の再生を描く「三月の鮠」、表題作「玄鳥」をはじめ、円熟期の最上の果実と称賛された名品集である。他に「浦島」「闇討ち」「鷦鷯」を収める。
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