• フードコーディネイト:里見陽子(キッチンスタジオ ヨーク)

  • 第8回
    武家社会の祝い事に欠かせない鯛「鯛飯」

    めでたいとされる赤色、鎧で覆われているような顔や尖った背びれなどが醸し出す勇壮な姿が武家に好まれ、江戸時代から現代まで祝いの席では欠かせない魚の王様・"鯛"。江戸時代の需要は大変なもので、新鮮なまま江戸へ運ぶために生きた鯛を運べる「活鯛船(かつだいせん)」と呼ばれる、生け簀付き船まで開発されました。今回ご紹介するのはそんな鯛を使った贅沢な一品「鯛飯」。100種もの鯛のレシピが載っている『鯛百珍料理秘密箱』(天明5年刊行)からのご紹介です。


作り方
  • 1.米を研いでざるにあげ、30分ほど置いておきます。
    鯛はうろこをひき 内臓を取ってよく洗い、水分を拭いた後、3枚におろします。
  • 2.鍋に湯を沸かして鯛を5分ほど茹でます。鯛を取りだした後のゆで汁は、後で使うので濾しておきます。
    茹であがった鯛は箸で丁寧に身をほぐしておきましょう。
  • 3.鍋に米、鯛のゆで汁、酒、味醂、塩、醤油を加え、ふたをして、強火にかけ、湯気が上がったら弱火にして15分ほど炊きます。
  • 4.炊いている間に、かけ出汁を作ります。鍋に出汁を沸かし、塩、酒、しょうゆ、味醂で調味し、水に溶いたくず粉でとろみを付けます。
  • 5.釜のふたを開け、鯛の身を投入し、すぐふたをして15分ほど蒸らします。
  • 6.炊きあがった鯛飯に空気を含ませるようによく混ぜ、茶碗に盛ります。
  • 7.薬味で千切りの生姜、小口に切った浅葱をご飯にのせ、熱いかけ汁をかけたら、「鯛飯」のできあがりです。

材料(鯛1尾を使用する場合の分量)

  •  鯛 1尾(1.5kg程度)
  •  米 10カップ
  •  鯛のゆで汁 1800㏄
  •  酒 100cc
  •  みりん 100cc
  •  塩 小さじ2
  •  しょうゆ 大さじ1
  •  味醂 適量
  • ~かけ汁として~
  •  出汁 600㏄
  •  塩 小さじ1/2
  •  酒 大さじ1
  •  みりん 大さじ1
  •  しょうゆ 大さじ1
  •  葛粉 大さじ1
  •  水 大さじ1
  •  生姜・浅葱 適量


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