
■第3回 「超節約ドラマ『新選組血風録』」
さて、今回は今だから言える「お金裏話」。
「新選組血風録」が制作されたころは、まだまだ「映画が一番、テレビはその下」という風潮が強かった。
「だから、『血風録』のころには、テレビの主役といっても、僕らはひとりずつの楽屋があるわけではなく、大部屋で休んでました。門から入るときも僕らテレビ部の出演者は、少し遠慮がちでね(笑)。映画会社が次々テレビに力を入れていく中、東映は最後まで『映画の東映』で通してきた会社ですから、なおさらでした」
映画とテレビの製作予算もケタが違った。
「『血風録』一本の制作費は、当時の東映の映画スターのテレビ一回の出演料と同じだったそうです。僕の出演料はその方の約100分の1だったらしい(笑)まあ、それくらい映画のスターはすごかった時代なんですね」
当然、「血風録」の制作は節約の連続。実は後に番組の名物となった栗塚さんのナレーションもその節約の賜物だった。
「撮影のときに音声を同時録音しようとすると、マイクを持つ人、音声技術さんなど最低でも三、四人はスタッフがいる。人件費が大変でしょ。だから、『血風録』はオールアフレコ。ナレーターを別に手配する予算もありません。僕は8年間の劇団修行で声の出し方、表情の出し方は鍛えられていましたから、『あいつは立ち回りは下手だが、声を出せる』とナレーションを担当することになったんですよ」
※次回は9/15を予定しております。
連作コラム「ペリーのちょんまげ」でお馴染み
ペリー荻野プロフィール
1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。
「anan」「ひよこクラブ」で女性向けのエッセイ、毎日新聞、産経新聞ビデオサロン、「じゃらん」等では時代劇コラムを連載中。史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。TBSラジオにもレギュラー番組を持つなど時代劇ブームの仕掛け人となる。
著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。最新刊は月刊誌「ビデオサロン」(玄光社)に連載中のエッセイ"ちょんまげ漫遊記"を加筆した。「ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)。当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。