
■旭ジャーナル最終回SP「これからもいろんな役に挑戦したい」
京都で青春時代を送り、京都にこだわって暮らす栗塚さん。新撰組ゆかりの地、八木邸などでは、すっかり顔なじみだ。
「この石は新撰組隊士腰掛の石、井戸は壬生の名水で『鶴寿井』と呼ばれ、健康長寿に恵まれるそうです。もちろん、新撰組隊士も飲んだと思いますよ。八木邸にいると、隊士と同じ空間にいるんだと不思議な気持ちになりますね。今思うと、僕にとって『新選組血風録』はただただ夢中で、一話一話デッサンをしていたようなもの。もともと不器用だから、主役、それも歴史上実在の土方歳三は、ブーイング覚悟で引き受けた役だったんです。それが少しずつ落ち着いて、『燃えよ剣』では、スムーズに役に入れた。やっと色つきの絵になってきたような気がします」
大河ドラマ「新選組!」では、人気脚本家・三谷幸喜たっての希望で、土方歳三の盲目の兄役で出演。香取慎吾はじめ若手俳優との交流も楽しかったという。
「僕は人見知りはしないから(笑)。あのドラマは香取くんや主役クラスの人たちはほとんど実際の近藤勇や土方歳三と同じ年代の人が演じていたでしょう。こんなに若かったんだ、新選組は!と改めて思いました」
新しい時代の風を感じつつ、仕事にも意欲満々だ。
「最近、『水戸黄門』ではシリーズに一回は出演して悪役をやります。声をうんと低く、存在感を出してね。面白いですよ、自分と全然違う人物になりきるのはね。去年テレビ東京で放送された『瑶泉院の陰謀』では、学者もやりましたが、これは難しくてね。立ち回りとか動きがない中で、個性を出すのは難しい。これは映画『二人日和』でも同じで、動きが少ないと俳優は困っちゃうんだね。だから、そのつど勉強。いい経験になっています」
これからもたくさんの役に挑戦したい。
「もちろん。悪役でも、宿屋のおやじでも何でもいい、いろんな役をやりたい。こんな俳優がいてもいいじゃない。みなさんに楽しんでいただきたいです」
最後に栗塚さんにひとつだけお願いが。ファックスやパソコン、携帯電話を使わない栗塚さん、できれば電話に出ていただければ。
「ちゃんと出てますよ(笑)。でも、映画が大好きで、散歩も楽しいから、つい留守番電話に任せちゃうんだよね」
この回をもって、「旭ジャーナル」は終刊となります。ご愛読して下さった視聴者の皆様、ありがとうございました。
連作コラム「ペリーのちょんまげ」でお馴染み
ペリー荻野プロフィール
1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。
「anan」「ひよこクラブ」で女性向けのエッセイ、毎日新聞、産経新聞ビデオサロン、「じゃらん」等では時代劇コラムを連載中。史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。TBSラジオにもレギュラー番組を持つなど時代劇ブームの仕掛け人となる。
著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。最新刊は月刊誌「ビデオサロン」(玄光社)に連載中のエッセイ"ちょんまげ漫遊記"を加筆した。「ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)。当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。