「鬼平犯科帳」をはじめテレビ時代劇でも人気を博した歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門さんが11月28日に亡くなられました。77歳でした。

1944年、八代目松本幸四郎（初代松本白鸚）の次男として生まれ、のちに母方の祖父、初代中村吉右衛門の養子に。
1948年初代中村萬之助の名で初舞台。1966年に二代目吉右衛門を襲名。

歌舞伎では「勧進帳」の弁慶、「俊寛」の俊寛、「熊谷陣屋」の熊谷直実など当たり役多数。立役の第一人者として幅広く活躍しました。

映画では萬之助時代に「源義経」（1955）に初出演。その後「忠臣蔵　花の巻・雪の巻」（1962）で萱野三平役を熱演。
吉右衛門襲名後の1968年、「藪の中の黒猫」が映画初主演となりました。
続いて主演した「心中天網島」（1969）では同年のキネマ旬報ベストテン第１位に入り、毎日映画コンクール日本映画賞受賞にも大きく貢献しました。

テレビ時代劇では、「右門捕物帖」（1969）に主演。1980年放送の「斬り捨て御免！」は人気を博し全３シリーズが制作されました。
その後NHK新大型時代劇「武蔵坊弁慶」（1986）にも主演。歌舞伎で「勧進帳」の弁慶役を十八番とする吉右衛門の起用が話題を呼びました。

そして時代劇ファンの心を今でも満たし続ける池波正太郎原作の傑作テレビシリーズ「鬼平犯科帳」（1989～）では、江戸の悪を取り締まる火付盗賊改方長官・長谷川平蔵役で主演。
実父の初代松本白鸚も演じた「鬼平」の"四代目"として、清濁併せ飲み、厳しさと優しさの同居した平蔵の人物像を深みある芝居で体現し、数多くの視聴者を魅了しました。

「鬼平犯科帳」では1989年の放送開始から28年に渡って主演を務め、シリーズ・スペシャル・映画を合わせて151作に出演。
テレビ時代劇の金字塔として、今なお多くのファンに支持され続けています。

2002年、日本芸術院会員。2011年、重要無形文化財保持者（人間国宝）。2017年、文化功労者。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

時代劇専門チャンネルでは、以下の通り、中村吉右衛門さんの出演作品を放送いたします。

「鬼平犯科帳＜4Kデジタルリマスター版＞」
毎週日曜　あさ１０：００／午後５：００

「忠臣蔵　花の巻・雪の巻」　※中村萬之助名義
１２月１１日（土）よる９：００
１２月２６日（日）ひる１：００