生誕150年 文豪・泉鏡花~映画で浸る幻想と浪漫~

幻想文学の先駆者であり、唯一無二の筆致に誰もが焦がれてやまない小説家─その名は泉鏡花。
耽美かつ浪漫あふれる独自の作風は今なお多くの熱烈な読者を抱え、文学の歴史を語るうえで欠かすことのできない“文豪”である。
生誕150年を迎える11月、鏡花屈指の麗しき名作たちを原作にした映画を大特集!
鏡花の文学、そのすべてに骨の髄まで溺れるひとときを。

11月4日(土)よる7時 ほか

泉鏡花(いずみきょうか)
1873(明治6)年、金沢生まれ。本名・鏡太郎。
北陸英和学校中退。1890(明治23)年上京、翌年より尾崎紅葉に師事。1895年発表の「夜行巡査」「外科室」が“観念小説”の呼称を得て新進作家としての地歩を確立。以後、「照葉狂言」(1896年)、「高野聖」(1900年)、「婦系図」(1907年)、「歌行燈」(1910年)等、浪漫的・神秘的作風に転じ、明治・大正・昭和を通じて独自の境地を開いた。生誕百年の1973(昭和48)年には金沢市により泉鏡花文学賞が創設された。

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天守物語
放送日:11月4日、11月12日、12月1日、12月10日、12月25日
(1995年・カラー )
原作:泉鏡花   監督:坂東玉三郎  
出演:坂東玉三郎/宮沢りえ/宍戸開/南美江/島田正吾 ほか  

時は封建の世。別名“白鷺城”と呼ばれる播州姫路城の天守には、伝説の金の眼の獅子頭とその不思議な力で生きる魔性の女たちが住んでいた。ある秋の日。この世のものならぬ妖しい美しさをもつ天守の住人・富姫(坂東玉三郎)は城下の騒々しい鷹狩りをやめさせるため、夜叉ヶ池に住む白雪姫に嵐を依頼する。突然の豪雨に戸惑う人間たちに喜びはしゃぐ富姫。そんななか、猪苗代に住む妹・亀姫(宮沢りえ)が訪ねて来る。帰り際、富姫は鷹狩りの一行から霊力を使って獲物の鷹を奪い取り、妹に土産として持たせてやるが…。夜、人の近寄らない天守へ一人の若者が上がってきた。鷹匠の姫川図書之助(宍戸開)が城主の命令で件の鷹を探しにきたのだった――。

「天守物語」(C)1995 松竹株式会社 坂東玉三郎 エイチ・アイ・ティー
歌行燈
放送日:11月11日、11月19日、12月8日、12月17日、12月26日
(1960年・カラー )
原作:泉鏡花   監督:衣笠貞之助   脚本:衣笠貞之助/相良準  
出演:市川雷蔵/山本富士子/倉田マユミ/小野道子/角梨枝子 ほか  

能楽の名手・喜多八(市川雷蔵)は伊勢の素人謡曲師・宗山の芸を侮辱し、彼を自死へと追い詰めてしまう。いきさつを知った父から即座に破門され放浪の日々を送っていた喜多八は、あるとき偶然に旅先で宗山の娘・お袖(山本富士子)に出会う。父の最期を目の当たりにしたお袖は芸への恐れを抱き、芸奴に身を落としていた。地廻りに痛めつけられた喜多八をお袖が介抱するうちに、いつしか二人の間には仇同士と知りながら愛が芽生えて――。

「歌行燈」(C) KADOKAWA 1960
滝の白糸
放送日:11月18日、11月26日、12月15日、12月24日
(1956年・カラー )
原作:泉鏡花   監督:島耕二   脚本:島耕二  
出演:若尾文子/菅原謙二/苅田とよみ/近藤美恵子/大浜千鶴子/若原一郎 ほか  

その芸と器量の良さで評判の滝の白糸(若尾文子)の一座は白糸に恨みを抱く寅五郎一座に金沢行きを邪魔されそうになり、馬車の馭者・村越欣弥(菅原謙二)に助けられる。二人がうちとけて語り合うなかで、図らずも欣弥が法律を志していることを知ってしまう白糸。その費用を出そうと申し出る白糸の心からの慕情を受け入れた欣弥はそのまま東京へ旅立った。そして二年が経ち――文明開化の波で一座が苦しいなかでも送金を続け、欣弥との文通も続いていた白糸に人生を揺るがす事件が待ち構えていた……。

「滝の白糸」(C) KADOKAWA 1956