ペリーのちょんまげ
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「まんまこと~麻之助裁定帳~」
モラトリアム若旦那が町内のもめごとを見事解決
福士誠治のお坊ちゃんとベテラン陣の味ある演技をお楽しみ

掲載2018年08月10日

(まんまこと あさのすけさいていちょう) 出演者:福士誠治/南沢奈央/桐山漣/趙珉和/市川由衣/えなりかずき/石橋蓮司/竹下景子/高橋英樹 ほか 2015年

まんまこと~麻之助裁定帳~
「まんまこと~麻之助裁定帳~」
©NHK

 江戸・神田に暮らす麻之助(福士誠治)は町名主高橋家の跡取り息子。ふだんは白猫と日向ぼっこをしたり、粋な身なりで通りをぶらぶら、とぼけた入浴(銭湯)シーンも定番になっているが、実は推理力と行動力もあり、町内の様々な相談に乗る気のいいお坊ちゃんだ。高価な鉢植えの持ち主探し、誘拐された子どもの救出と麻之助は忙しい。中でも大変だったのが、落とし物のお守りにふたりの「落とし主」が現れた一件。ひとりは許嫁の武士から贈られたという若い娘、ひとりは雇い主からもらったという番頭だった。麻之助は、娘は嫌な縁談を、番頭は遠方修行を断りたくて、大事なお守りを失くしたと言いだしたと突き止める。やるね、麻之助。

 原作はベストセラー『しゃばけ』の畠中恵。演出は黛りんたろう。このドラマの面白さは、謎解きに加え、色事好きの八木清十郎(桐山漣)、生真面目役人の相馬吉五郎(趙珉和)親友ふたりの友情、初恋の相手やお寿ず(南沢奈央)との恋物語など青春ストーリーになっているところ。貧しい家の出の高橋家の使用人(えなりかずき)との身分差や考え方の違いなどじーんとくる場面も多い。十六歳まではまじめ一本だったのが、突如お気楽青年に変貌した、現代にも通じるモラトリアム青年麻之助をを支えるのが、親世代のベテラン俳優たちだ。のんき者の息子に呆れ果てる父宗右衛門(高橋英樹)、「あらま、おほほほ」と困ったときは笑ってごまかすおおらかな母おさん(竹下景子)、年の離れた後添えを迎えた清十郎の父・源兵衛(石橋蓮司)、若者に鋭いアドバイスをする火消の頭取(伊吹吾郎)、「夫婦というのは不思議なものです」などと人生の機微を教える俳諧の宗匠(市川左團次)。彼らは、出番は少ないが存在感はとても大きい。語りは長屋に住む落語家の柳家小さん。人情味たっぷりの進行を見せる。

「かぶき者 慶次」
戦国一の武辺者!人気の派手男・前田慶次の晩年は、のんきなお父さん?
その胸に秘めた「男の約束」を藤竜也が硬軟自在に演じる。

掲載2018年08月03日

(かぶきもの けいじ) 出演者:藤竜也/中村蒼/西内まりや/工藤阿須加/田畑智子/青山倫子/壇蜜/江波杏子/伊武雅刀/火野正平 ほか 2015年

かぶき者 慶次
「かぶき者 慶次」
©NHK

 前田慶次(藤竜也)は戦国一の武辺者、かぶき者武将として知られた男だが、関ヶ原の戦い後、妻子を加賀の前田家に残し、上杉家に仕えていた。実は男の約束で石田三成の遺児新九郎(中村蒼)を嫡男と偽り密かに育てていたのだ。慶次を怪しむ徳川方は、上杉領に天徳和尚(伊武雅刀)を送り、秘密を探る。

 原案は戦国ドラマに深い人間愛を描くことで知られた、大河ドラマ「天地人」の火坂雅志。マンガなどでも人気の派手男慶次だが、ここでは「たまには城に行きますか」とですます調で話し、料理をしたりとセミリタイア状態。しかし、いざ刀をとると、別人のようになる。慶次は、反徳川で暴走する若者たちを諫め、自ら天下人家康にも堂々と物申す覚悟を示す。一方、終盤は新九郎と血のつながらない妹佐乃(西内まりや)、親友の勝之進(工藤阿須加)三人の恋の行方も揺れ動く。のんきな父にいらだっていた新九郎は、出世や栄達とは違う生き方を慶次の背中に見出し、成長していく。このドラマは乱世から平和な時代へと続く世代交代の物語でもあるのだ。藤は飄々とした顔と男気を使い分け、いい味を出す。また、ひとにらみしただけで慶次をビビらせつつも深い理解を示す妻の江波杏子、密偵(壇蜜)の色香に迷う下男の火野正平、慶次とワケあり?の徳川方の前田美波里などベテラン陣のしゃれっ気たっぷりの演技も見ものになっている。

「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」
菅野美穂演じる綱吉の治世、華麗なる男女逆転大奥に堺雅人降臨!
右衛門佐の秘めた野望と切ない真実の愛の行方とは

掲載2018年07月27日

(おおおく えいえん えもんのすけ・つなよしへん) 出演者:堺雅人/菅野美穂/尾野真千子/柄本佑/田中聖/要潤/竜星涼/満島真之介/三浦貴大 2012年

大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]
「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」
©2012男女逆転『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』製作委員会

 謎の疫病の蔓延で健康な男が極端に少なくった江戸時代。男女の役割は逆転し、将軍も女性が務めていた。華やかな文化が花開いた元禄時代、五代将軍・徳川綱吉(菅野美穂)は、積極的に政務を遂行していたが、問題は跡取り。女人禁制の「大奥」には、三千人もの見目麗しい男たちが集められていた。そこに側室候補として呼ばれたのは、貧しい公家出身の右衛門佐(堺雅人)。めきめきと頭角を現す彼にライバルたちも嫉妬のまなざしを向けるが、右衛門佐には秘めた野望が。綱吉に取り入り、側室ではなく、「大奥総取締」として地位と富を手に入れたが、思わぬ事態に陥る。彼は綱吉を愛していたのだ。「将軍とは卑しい女のことじゃ」と自嘲するように生きる綱吉は世継ぎ誕生のため、夜な夜な男たちと過ごす日々。綱吉と右衛門佐の思いの行方は...。

 よしながふみの大ヒットマンガを映画化。豪華な打掛姿の菅野美穂、クールで端正な堺雅人、のちに結婚し、本当に永遠の愛を誓うことになるふたりはぞくぞくするほど美しい。綱吉の正室に宮藤官九郎、側室のひとりに要潤、右衛門佐の付き人に柄本佑など、共演者も若手演技派が揃う。綱吉の実父桂昌院の西田敏行の怪しい存在感も秀逸。綱吉の子の急逝、生類憐みの令など歴史的要素を取り入れつつ、MISIAの主題歌とともに孤独な男女の切ないラブストーリーとして描き切っている。

「好色一代男 世之介の愛して愛して物語」
原作・井原西鶴。明石家さんまが「大阪一の女たらし」に!
めくるめく出会いと波乱の日々に大石内蔵助もからんで大騒ぎに

掲載2018年07月20日

(こうしょくいちだいおとこ よのすけのあいしてあいしてものがたり) 出演者:明石家さんま/近藤正臣/倍賞美津子/美保純/市毛良枝/山岡久乃/内田朝雄/佐藤B作/山田邦子 ほか 1986年

好色一代男 世之介の愛して愛して物語
「好色一代男 世之介の愛して愛して物語」
©テレパック/PDS

 但馬屋のドラ息子・世之介(明石家さんま)は、自他ともに認める女好き。素人から玄人まで相手かまわず手を出して「大阪一の女たらし」と言われていた。そんな折、武家の妻美与(倍賞美津子)にちょっかいを出したことから、その夫・千崎弥五郎(近藤正臣)から命を狙われることに。母(山岡久乃)の心配をよそに別れたつもりが、またお美与を追いかけ、ついには崖から身を投げた彼女を追って、自分もドボン!?
 なぜか金と女が付いてまわる世之介を、お笑い界のモテ男さんまが、テーマソング「You Are My Sunshine」に乗って、バラエティ同様のノリで軽やかに演じている。脚本は「必殺」「赤かぶ検事シリーズ」で知られる吉田剛。演出は「東芝日曜劇場」「ポーラ名作劇場」はじめ、多くの受賞歴もある久野浩平。本作でも、現代の劇場の舞台をそのまま使うなど斬新な仕掛けを見せる。また、「ここはおとなしい静かな女子ばかりや」と墓で死人を掘り返す奇怪な男(蟹江敬三)、優雅で人情味のある島原の吉野太夫(市毛良枝)、「おみゃあ(お前)には負けん」と名古屋弁丸出しの尾張のお大尽(斎藤洋介)など、共演者もユニークな顔ぶれ。「わいが惚れた女や」と女を追い続ける世之介の運命は、終盤に「忠臣蔵」もからんで意外な展開になっていく。大石内蔵助を誰が演じているかにも注目。

池波正太郎時代劇スペシャル「雨の首ふり坂」
池波正太郎の傑作ハードボイルド戯曲を中村梅雀主演で初映像化
アウトローたちの深い因縁と大杉漣との共演シーンもみもの

掲載2018年07月13日

(あめのくびふりざか) 出演者:中村梅雀/三浦貴大 中尾明慶/泉谷しげる 大杉漣 2018年

雨の首ふり坂
「雨の首ふり坂」
©2017時代劇専門チャンネル/J:COM/松竹

 容赦なく人を殺し、報酬を得てきた凄腕の渡世人・源七(中村梅雀)は、かつてともに暮らしてきた女おふみ(芦名星)を捨てた。二十七年後、静かに堅気の暮らしを送る源七に暗い影が忍び寄る。源七の前に現れる橋羽の万次郎(三浦貴大)。源七を助ける饂飩屋のおやじ(泉谷しげる)、過去を知る半蔵(大杉漣)。男たちの運命が複雑に絡み合い、やがて源七は雨の中、刀をとって首ふり坂へと向かう。

 原作は、池波正太郎の傑作戯曲。脚本は「精霊の守り人」の大森寿美男、監督は「パンドラ」の河毛俊作。監督と梅雀は「フランスのギャング映画のように」というイメージが一致。特製の黒い着物と合羽、笠、小物まで徹底的にこだわった外見と、決して笑顔を見せない源七の表情は、梅雀の新たな魅力となっている。また大きな見せ場は、独特の殺陣。源七は敵を前にするとすっと刀を肩に背負う。動き回らず、集中して一撃でズバッと斬る。流れの速い川では、敵方の俳優は倒れても流されないように石にしがみついて頑張ったという。撮影後に急逝した大杉漣と梅雀は初めての時代劇共演だった。梅雀は「源七と半蔵は目があっただけで分かり合う、年を重ねたバディ。ふたりだからこそできる壮絶な場面を見てください」と語る。全編に流れるEGO-WRAPPIN'の音楽とともにラストシーンの余韻までじっくり楽しみたい長編。

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ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。

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