ペリーのちょんまげ
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「残月の決闘」
加藤剛が権力争いに巻き込まれる下級武士の悲哀と秘剣の決闘を熱演。
藤沢周平原作「孤立剣残月」を丁寧な描写で描く長編。

掲載2018年10月19日

(ざんげつのけっとう) 出演者:加藤剛/音無美紀子/永島敏行/目黒祐樹/財津一郎/二宮さよ子/加藤武/中谷一郎 ほか 1991年

残月の決闘
「残月の決闘」
(C)蟻プロ/松竹

 足軽の小鹿七兵衛(加藤剛)は、家老の三田(加藤武)の画策により、仲間と上意討ちを果たし、士分に取り立てられた。慣れない侍暮らしに戸惑いつつも、平穏に暮らしていたが、十年後、三田と殿様の側用人奥沢(中谷一郎)の権力争いが再び顕著になった。結局、三田派が破れ、七兵衛はますます居心地が悪くなる。そんな中、七兵衛が斬った鵜飼の弟・半十郎(永島敏行)が果し合いを求めてくる。逃げる道はないと覚悟した七兵衛だが、かつての仲間も十年のうちに暮らしも変化し、ともに闘うことは不可能だった。侍暮らしで剣の腕も鈍り、不安にかられた七兵衛は、道場の師匠から授かった秘剣「残月」で勝負しようと心に決める。妻・高江(音無美紀子)を実家に帰し、決闘の場に向かった七兵衛は、半十郎の助太刀三人をなんとか倒すが、孤立の戦いには限界が近づいていた...。
  原作は藤沢周平の「孤立剣残月」。加藤剛はそのまっすぐな演技により、パワハラに耐える下級武士の悲哀をていねいに表現する。スタッフは監督の小野田嘉幹、脚本の吉田剛、殺陣の宇仁貫三など、フジテレビの「鬼平犯科帳」「剣客商売」「神谷玄次郎捕物控」の面々。当初は映像化を渋っていた藤沢も、脚本を読んで納得し、快諾したという逸話が遺る。コミカルな演技も多い加藤武や中谷一郎が、ここではエゴむき出しの権力者に。陰影が深い映像の中できらめく「残月」のキレ味にも注目したい。

「遠山の金さんVS女ねずみ」
松方金さん、若い新妻と強気な女ねずみに翻弄される!?
"ふたつの顔"を持つ町奉行と女義賊が、奇怪な事件を追う

掲載2018年10月12日

(とおやまのきんさん ばーさす おんなねずみ) 出演者:松方弘樹/古手川祐子/水野真紀/前田吟/津嘉山正種/高木延秀 ほか 1997年

遠山の金さんVS女ねずみ
「遠山の金さんVS女ねずみ」
©東映

 ふだんは遊び人の金さんとして事件を探索する町奉行の遠山金四郎(松方弘樹)は、北町から南町に移り、若い新妻・奈津(水野真紀)ももらって、公私ともに心機一転の日々。ある日、金四郎は13年前に処刑されたはずの「ねずみ小僧」が出没したと聞いて驚く。実はその正体は、ねずみ小僧の忘れ形見の娘で、金さん行きつけの小料理屋の女将・お小夜(古手川祐子)だった。義賊として誇りを持つ女ねずみは、悪徳商人や凶賊を許せない。金さんは、「危ないまねはよせ」と言いながら、ねずみを追うためなら女装も辞さない?岡っ引きの親分(前田吟)とともに事件の真相に迫ることになる。

 花の数が多く野性味を感じさせる松方金さんの桜吹雪。お白州で「あの日、あの夜、あの場所で...」と流れるような名調子で再び、ゆっくりと片肌を脱ぐ。歴代金さんの中でも総話数で最多最長となった松方金さんらしい"ため"のある動きには貫禄がにじみ出る。その一方で、世間知らずの若妻には眉毛を下げてこにこにし、金さんの秘密を知る女ねずみには強気に出られてたじろぐことも。奈津が誘拐されたり、お小夜に殺人容疑がかかったり、金さんが女たちに翻弄されるのもこのシリーズの特徴だ。「密室の死美人」「お役者殺人鬼」「おいらん幽霊」「バラバラ殺人」など怪奇モードのエピソードも多く、本田博太郎、遠藤憲一、神保悟志らゲストが物語を盛り上げる。

「みをつくし料理帖」
黒木華が江戸で料理人になるワケアリ上方娘を演じて評判に。
嫌がらせも悲しみも乗り越える一途な姿と美味い料理に癒される。

掲載2018年10月05日

(みをつくしりょうりちょう) 出演者:黒木華/森山未來/永山絢斗/木村祐一/成海璃子/萩原聖人/麻生祐未/小日向文世/安田成美 ほか 2017年

みをつくし料理帖
「みをつくし料理帖」
©NHK

 わけあって江戸に出てきた大坂生まれの女料理人・澪(黒木華)は、娘を亡くした蕎麦屋「つる屋」の主人・種市(小日向文世)に板場を任され、美味い料理を作ろうと奮闘する。しかし、上方では好まれた戻り鰹が初鰹好きの江戸っ子には敬遠されたり、人気が出た献立を老舗料亭「登龍楼」にマネされたり苦難が続く。登龍楼から、つる家にアイデアを盗むための密偵少女が派遣されていたことが発覚。澪が登龍楼に乗り込んで怒りをぶつけた直後、つる家は放火で全焼してしまう。

 黒木は、鰹を丸ごと一本包丁で自らさばくなど、料理もすべてこなす熱演。澪が作る「はてなの飯(甘辛く煮た鰹の握り飯)」、「とろとろ茶碗蒸し」「三つ葉のかき揚げ」「ふきご飯」などは、どれも美味しそうだ。面白いのは、彼女が澪の気持ちを「眉毛」で表現してしまうところ。グルメな武士小松原(森山未來)から、「見事な下がり眉だな」と笑われ、登龍楼の意地悪な主人(松尾スズキ)の前では眉毛を怒らせ、燃えた店の前では眉毛を震わせる。澪を思っているらしい小松原とまじめな医師永田源斉(永山絢斗)、澪の料理に辛口コメントを言い放つおじさん戯作者の清右衛門(木村祐一)、男気のある吉原・翁屋の料理番・又次(萩原聖人)、謎めいた花魁あさひ大夫(成海璃子)など気になる人物も次々登場。澪の一途さと料理に癒される、ほのぼの美味い時代劇。

「新座頭市物語 笠間の血祭り」
市は故郷笠間で幼なじみと再会するが...けなげな十朱幸代と悪役陣が光る
フーテンの若者など70年代の空気を漂わせるシリーズ第25作

掲載2018年09月28日

(しんざとういちものがたり かさまのちまつり) 出演者:勝新太郎/十朱幸代/岡田英次/佐藤慶/志村喬/遠藤辰雄 ほか 1973年

新座頭市物語 笠間の血祭り
「新座頭市物語 笠間の血祭り」
©東宝

 市(勝新太郎)は久しぶりに故郷笠間を目指し、旅をしていた。途中、江戸で米問屋になり大出世した幼なじみの常陸屋新兵衛(岡田英次)と再会。新兵衛は凶作で荒れた故郷を救うため、千両箱を持ち帰り、名主総代の庄兵衛(土屋嘉男)ら村人から大歓迎を受ける。一方、市は母親代わりに乳をくれたおしげが亡くなっていることを知る。やがて新兵衛が実は悪代官林田権右衛門(佐藤慶)と組んで不正に米売買で巨利を得たうえ、笠間の親分・岩五郎(遠藤辰雄)に働きかけて御影石の採掘権を狙っていることが発覚する。石切り場を爆破するなど、とんでもない行動を止めようとする庄兵衛らを死に追いやった新兵衛に怒った市は、戦いを始めようとするが、市に親切にしてくれた娘おみよ(十朱幸代)が人質にされてしまう。
 けなげな娘を演じる十朱幸代、闇を感じさせる悪役の岡田英次、佐藤慶の存在感は抜群。また、市にまとわりつくフーテン役で岸部シロー、横山リエらが出演。空き家になったおしげの家に入り込んで騒ぐなど、公開当時、70年代の若者の気質を取り入れた描写もある。監督は「座頭市喧嘩旅」などシリーズで活躍した安田公義。脚本は「木枯し紋次郎」でも知られる服部佳子。座頭市シリーズは第25弾の本作でいったん幕を引くことになるが、笠間での現地ロケを敢行。のちに北野武版「座頭市」でもロケがされ、現地には「座頭市」石碑が建立された。

「魔人ハンター ミツルギ」
徳川幕府転覆を狙う宇宙忍者サソリ軍団が襲来!!
智!仁!愛!のミツルギ三兄弟が合体した巨大神ミツルギが迎え撃つ。

掲載2018年09月21日

(まじんはんたー みつるぎ) 出演者:水木襄/佐久間亮/林由里/緒方燐作/村地弘美/奥野匡/大木正司 ほか 1973年

魔人ハンター ミツルギ
「魔人ハンター ミツルギ」
(C)国際放映

 徳川家康の治世。ある夜、サソリの形の星座から異様な流れ星が落ちた。だが、そのことに気づいたのは、ミツルギ一族の長老・道半(緒方燐作)のみ。この流れ星こそ、幕府転覆と天下獲りを狙う恐ろしい魔人が率いる宇宙忍者サソリ軍団だった。長老は、銀河(水木襄)、彗星(佐久間亮)、月光(林由里)のミツルギ三兄弟を呼び出し、「智・仁・愛」の秘刀を授ける。兄弟がこの刀を打ち合わせ、合体することで、巨大神ミツルギに変身、「ミツルギ参上!」の気合とともにサソリ魔人が操る宇宙怪獣と戦えるのである。第一話で魔人の人質になる家康の孫娘・濃姫は、のちに「水もれ甲介」などでアイドル的人気を得る村地弘美。巨大凧を使い、濃姫を助けた三兄弟は、礼を言いたいという家康にも会うこともなく、「俺たちの任務に終わりはない」と新たな戦いの道を進むのだ。

 73年に12話のみ放送され、そのダイナミックな発想と、ヘルメットに金属ベルトというレーサーのいでたちのミツルギ三兄弟のスタイルも話題となった伝説的な特撮時代劇。特に怪獣の動きが、珍しいストップモーションアニメで撮影されたシーンと造形スーツの実写両方が駆使されるなど、ほかの作品にはない味が出ている点にも注目。メイン監督・土屋啓之助は、新東宝出身で「マグマ大使」「怪獣王子」「忍者部隊月光」などこども向け番組や時代劇「木枯し紋次郎」などを手がけた。

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ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。

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