ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2021年05月07日

「魔界転生(1981)」
魔界衆VS柳生十兵衛の死闘!山田風太郎の伝奇小説を深作欣二が大胆に映像化
沢田研二の天草四郎が妖しく金色の目を光らせ、魔界から死者を蘇らせる!

(まかいてんしょう(1981) ) 出演者:千葉真一/沢田研二/真田広之/緒形拳/丹波哲郎 ほか  1981年

掲載2021年05月07日

 81年、山田風太郎の伝奇小説を「仁義なき戦い」「柳生一族の陰謀」の深作欣二監督がダイナミックにアレンジした話題作。三代家光の時代、島原の乱で蜂起した民は幕府軍に虐殺され、天草四郎(沢田研二)も斬首された。だが、四郎は悪魔の力を借りて蘇り、魔界で細川ガラシャ(佳那晃子)、伊賀の霧丸(真田広之)、宮本武蔵(緒形拳)ら、生前やり残したことのある者たちの霊を呼び出し、復活させる。やがてガラシャが憑りついた女・お玉は色香で将軍・家綱を操り始める。一方、諸国武者修行を続ける剣豪・柳生十兵衛(千葉真一)は、「地獄に戻れ!」と魔界衆と死闘を繰り広げる。

 不気味な稲光、無数の魔界の死骸、怪奇ムードの演出はさすが深作監督、角川映画という印象だが、魔界衆に独自のムードを醸し出す衣装を人形作家・辻村ジュサブローが担当している点にも注目したい。また「エロイムエッサイム」「古き骸を捨て、蛇はここに蘇るべし!!」と呪文を叫ぶ金色の目の沢田研二が、当時、大人気の真田広之と共演。性別も超えた四郎は霧丸にキス!? しかし、霧丸には善の心が残っていて...ファンが悲鳴をあげそうなシーンも満載だ。もちろん、千葉は当たり役・十兵衛をイキイキと演じて大暴れ。顔が真っ青な奇怪な武蔵や柳生但馬守(若山富三郎)など、名優たちが魔界衆役だからこそ見せる荒唐無稽な演技は、この映画ならではの楽しみといえる。

掲載2021年04月30日

「主水之助七番勝負 徳川風雲録外伝」
剣に憑りつかれた七人の強敵と戦う運命の男、土屋主水之助
松平健が見せる緊張感いっぱいの殺陣シーン、三田村邦彦のダークな顔も新鮮

(もんどのすけななばんしょうぶ とくがわふううんろくがいでん ) 出演者:松平健/三田村邦彦/佐藤藍子/加治将樹/かたせ梨乃 ほか  2008年

掲載2021年04月30日

 若隠居した土屋主水之助(松平健)は、恩師・伊藤一刀斎から認められた剣士だが、放浪癖があり武者修行の旅を続ける。あるとき八代将軍・徳川吉宗(中村雅俊)を救ったことから、吉宗より信頼され、影ながら彼を助ける。しかし、謎の事件が多発し、その陰には主水之助が15年前に一度戦い、5年前に死罪になったはずの大峰ノ善鬼(三田村邦彦)の存在がちらつく。吉宗は「修羅の道を行くに等しい」と心配するが、主水之助は「太平の世を乱す悪しき者。私が決着をつけます」と宣言。"暗殺請負"の噂と善鬼を追い、主水之助は剣に憑りつかれた七人の男たちと戦うことになる。

 テレビ東京の新春ワイド時代劇として放送された「徳川風雲録」で注目されたキャラクター主水之助が主役となったシリーズ。一番勝負では、亀田藩藩主が一太刀で殺された事件から、人面狼之助(西村和彦)と戦うことになる。獣のような眼力を持つ狼之助の剣は異様に素早い。また二番勝負では花を育てる悲しき人斬り(水橋研二)と対決することに。その後、山口馬木也、美木良介、永澤俊矢、堤大二郎など、時代劇と殺陣を愛する俳優陣が次々登場。明るい役が多い三田村のダークな顔はなかなかに新鮮だ。毎回個性的な剣士に主水之助がどう立ち向かうか。仇討、武士の面目、飢饉、魔剣、さまざまな事情と技を抱える剣士と松平との戦いを堪能したい。

掲載2021年04月02日

「まっつぐ~鎌倉河岸捕物控~」
それぞれの道を歩き始める若者たちを瑞々しく描く江戸の青春グラフィティ
主演・橘慶太。人気作家・佐伯泰英原作の新スタイルの捕物帳

(まっつぐ~かまくらがしとりものひかえ~ ) 出演者:橘慶太/松平健/中尾明慶/小柳友/柳生みゆ/南野陽子/山田純大/石倉三郎/山本學/竹中直人 ほか  2010年

掲載2021年04月02日

 呉服屋・松阪屋の手代で頭脳明晰な政次(橘慶太)、熱しやすい岡っ引きのお手先・亮吉(中尾明慶)、心優しい船頭・彦四郎(小柳友)、鎌倉河岸の幼なじみ三人は、酒屋の看板娘・しほ(小柳みゆ)に気がある。ある日、しほの父で浪人の文之進(堀部圭亮)が御家人の市川(池内万作)に殺された。しかし、裏金の力で市川に咎めはなし。怒った政次は大胆な作戦を決行して、犯人の御家人を死に追いやる。実は彼らの行動は、金流しの十手を持つ江戸一番の岡っ引き・宗五郎(松平健)に密かに見守られていたのだ。敵討ちの誇りなどなく、人を死なせた罪を一生背負っていけと三人に諭す宗五郎の言葉は重い。

 原作の佐伯泰英が特異なシリーズと評する本作は、盗賊、詐欺、人殺しと事件を追う捕物帳であり、それぞれの道を歩む若者を瑞々しく描いた江戸の青春グラフィティだ。度胸と正義感を見込まれた政次は十手持ちになり、宗五郎の跡取りと目される。彼に対する嫉妬や、しほをめぐる恋愛感情のもつれ。若手三人は奮闘している。ダンスユニットw-inds.の橘の殺陣はしなやかで速い。親分役の松平健、隠居役の山本學、年長お手先役の苅谷俊介、酒屋の主役の竹中直人らベテランの演技には渋みがある。早世した前田健が、政次の先輩の下駄貫を熱演したことも印象的。12話では集団ひったくり事件が勃発。政次にライバル心を燃やして悪人に食らいつく下駄貫の意地が泣かせる。

掲載2020年06月26日

「水戸黄門(1957年)」
月形龍之介映画生活38年を記念した東映オールスター勢ぞろいの豪華版
大川橋蔵の格さん、東千代之介の助さんに錦之助、右太衛門らが巨悪に立ち向かう!

(みとこうもん(1957年) ) 出演者:月形龍之介/片岡千恵蔵/市川右太衛門/中村錦之助(萬屋錦之介)/大川橋蔵/東千代之介/大河内傳次郎ほか 1957年

掲載2020年06月26日

 水戸黄門こと水戸光圀(月形龍之介)は、佐々木助三郎(東千代之介)と渥美格之進(大川橋蔵)を供として諸国漫遊の旅に出た。時は五代将軍・徳川綱吉(片岡千恵蔵)の治世。ある日、黄門様一行は板橋宿で田畑を荒らす野良犬の群れを目撃する。「生類憐みの令」による庶民の苦しみに怒った光圀は、犬の毛皮を綱吉に送りつけ、悪法をやめさせた。江戸に入った光圀は、町奉行の警護を受ける怪しい行列を助さん格さんに調べさせる。行列は越後高田藩の家老・小栗美作(薄田研二)で、高田藩のお家騒動が発覚。高田藩の二番家老・萩田主馬(大河内傳次郎)が小栗の不正を訴えていたが、小栗が幕府側用人の柳沢吉保(進藤英太郎)と内通し、暗殺団も暗躍しているため、誰も手を出せないでいたのだ。事件に関わる剣士・関根弥次郎(市川右太衛門)と彼を助けた威勢のいい宇之吉(中村錦之助)らも巻き込んで、黄門様一行は巨悪と対決することになる。

 原作は直木三十五。監督は東映で多くの時代劇を手がけた佐々木康。月形龍之介映画生活38年記念オールスターキャストで製作された豪華版。月形とともに千恵蔵、右太衛門ら、東映重役俳優は貫禄たっぷり。悪役の進藤英太郎の好色ぶりもいい味を出す。女スリの千原しのぶ、可憐な長谷川裕見子、桂昌院の入江たか子と女優陣も華やかな顔ぶれ。ドラマとは違う「葵の御紋」の見せ方にもご注目。

掲載2020年05月15日

「誠の群像 -新選組流亡記-」('18年雪組 全国ツアー)
司馬遼太郎の「燃えよ剣」「新選組血風録」に宝塚歌劇雪組が挑んだ意欲作
志のため、鬼に徹すると決意した土方歳三の知られざる苦悩と新選組の波乱を描く

(まことのぐんぞう -しんせんぐみりゅうぼうき-('18ねんゆきぐみ ぜんこくつあー) ) 出演者:望海風斗/真彩希帆/彩風咲奈 ほか  2018年

掲載2020年05月15日

誠の群像 -新選組流亡記-('18年雪組 全国ツアー)
「誠の群像 -新選組流亡記-('18年雪組 全国ツアー) 」
©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ

 動乱の幕末。不逞浪士が跋扈する京の治安維持のために結成された「新選組」は、まとまりのない浪士集団で、会津藩の預かりになった後も、乱暴なふるまいで人々に忌み嫌われていた。土方歳三(望海風斗)は近藤勇(奏乃はると)をリーダーとして新選組をまとめるため、粗暴な芹沢鴨(夏美よう)への敵意を募らせる。そんな折、土方は、近藤のところに刀を売りに来た武家娘・お小夜(真彩希帆)に不信を抱きながらも見逃す。志を貫くため、「局中法度」に反した隊士に切腹を迫り、鬼になると決意した土方だが、次々と起こる隊内の問題と己の生き方に密かに苦悩することに。一方、結党のころから土方らと行動を共にしてきた総長の山南敬助(彩風咲奈)は、次第に新選組のやり方に疑問を持つように。そして時代の風雲は新選組を飲み込んでいく。

 司馬遼太郎の「燃えよ剣」「新選組血風録」を原作に宝塚歌劇独自の演出により、「誠」の旗のもと、命をかけた男たちを描く。お小夜の刀を有名な「虎徹」だと喜ぶ近藤とニセモノと見抜く土方。新選組の光と影を象徴する二人だが、望海は人を斬り続けて目つきまで悪くなった土方の翳を映し出す。べらんめえの勝海舟(彩凪翔)、隊士の秘密を探る監察の山崎烝(透真かずき)、飄々とした沖田総司(綾凰華)など、人間像も鮮烈。彩風が颯爽とした軍服で演じる榎本武揚(二役)も見ものとなっている。

「遼」の正式な表記は"しんにょう"の点が2つ

掲載2020年05月01日

「燃えよ剣(主演:栗塚旭、映画)」
長く土方俳優として親しまれ、今もファンが多い栗塚旭主演の映画版
新選組に入るまでのバラガキ時代の土方の愛と葛藤を描き、新たな魅力を見せる。

(もえよけん ) 出演者:栗塚旭/和崎俊也/石倉英彦/小林哲子/内田良平/天津敏 ほか 1966年

掲載2020年05月01日

 武州・多摩でケンカに明け暮れる歳三、祭りの夜、鬼面をつけた謎の美女と出会う。女が高貴な身分ゆえに自由がない佐絵(小林哲子)と知り、「俺があんたに身分を捨てさせる」と迫るが、うまくいかない。やがて近藤勇(和崎俊也)、沖田総司(石倉英彦)らと京に出た歳三は、対立する芹沢鴨 を暗殺。厳しい隊規を定めて、京の治安維持のため、歴史の表舞台へと踊り出る。再会した佐絵は勤皇派と通じていた。さまざまな葛藤を抱えながら、池田屋で死闘を繰り広げた新選組。歳三は「斬りこんだら一人も逃がすな」「新選組、我々だけでやる」と鬼の副長として新選組を率いていく。

 半世紀以上、「土方俳優」として親しまれ、大河ドラマ「新選組!」では歳三の盲目の兄を演じるなど、今も多くのファンを持つ栗塚旭。65年、ドラマ「新選組血風録」の土方役に抜擢された栗塚は、ひとすじ前髪を垂らし、男の色気を感じさせる独自のスタイルを作った。放送開始前、料亭で食事中の原作者・司馬遼太郎夫妻に扮装のまま挨拶し、土方役として認められたというのは有名な話だ。ドラマは大人気となり、翌年、主演したのがこの作品だった。端正できまじめな二枚目イメージだった東映のドラマ版に比べ、松竹の映画版では、刀を担ぎ、ほっかむりをして山道を歩き回るなど、かなりワイルドに。宿命のライバル七里剣之介研之助の内田良平との対決も見もの。

掲載2020年04月03日

「前田正名-龍馬が託した男-」
少年期に龍馬と出会い、国を豊かにすると誓った名も無き薩摩藩士。
鹿児島テレビが地元出身の迫田孝也主演で制作。今だから見たい希望の物語。

(まえだまさな-りょうまがたくしたおとこ- ) 出演者:迫田孝也/本仮屋ユイカ/窪塚俊介/池畑慎之介/高橋光臣 ほか  2019年

掲載2020年04月03日

前田正名-龍馬が託した男-
「前田正名-龍馬が託した男- 」
©KTS

 「日本は変わる」「お前の夢は何かえ」。少年期、坂本龍馬(高橋光臣)から問いかけられた前田正名(迫田孝也)は、薩長同盟破断の危機で大事な役を任された。そして激動の明治維新を迎え、成長した正名は、フランスに留学。先進の国造りを学び、帰国すると農商務省の役人として働く。その心には「地方から国を豊かにする」という強い決意があった。妻のイチ(本仮屋ユイカ)は、夫のよき理解者として寄り添う。正名は民のため、ひたすら地方を行脚するが、なかなか思い通りにいかない。そこに大不況が。豊かなフランスの農村を知る正名は日本の農村の疲弊を嘆き、「民を切り捨ててよいのか」と叫びながら、必死に働く。    

 やがて小学校の教員だった波多野鶴吉(窪塚俊介)と出会う。「今日の急務は、国是、県是、郡是、村是を定むるにあり」と説きながら殖産興業の道を探す正名に共感した波多野は、事業を起こす。それは現在のグンゼであった。

 鹿児島テレビ開局50周年記念ドラマとして脚本・吉田紀子、音楽・吉俣良、監督・中江功、ナレーション・吉岡秀隆。人気ドラマ「Dr.コトー診療所」のスタッフが集結。地元出身の迫田が主演、主題歌は中島美嘉。迫田は鹿児島への思いが伝わる熱血の演技、お国言葉にも力強さがある。迫田と親しい高橋が「台本を読んで泣けた」と語るほど、実在の名もなき薩摩藩士の熱い希望の物語となっている。

掲載2020年03月13日

「三屋清左衛門残日録 新たなしあわせ」
北大路欣也が隠居した武士の日々を飄々と演じる人気シリーズ第四作
息子や嫁いだ娘の悩みを父として見過ごせない清左衛門の、家族への思いが描かれる。

(みつやせいざえもんざんじつろく あらたなしあわせ ) 出演者:北大路欣也 優香 美村里江 金田明夫 /三田佳子/ 小林稔侍 麻生祐未 伊東四朗 2020年

掲載2020年03月13日

 三屋清左衛門(北大路欣也)は、東北の小藩の藩用人を務めた有能な人物。家督を息子・又四郎に譲って悠悠自適のはずだが、妻を亡くしており、寂寞感が募る。ある日、清左衛門が趣味の釣りから戻ると、嫁いだ娘・奈津(美村里江)が孫娘を連れて戻っていた。何気ない会話から、清左衛門は、奈津に悩みがあると悟る。そんな折、親友の佐伯熊太(伊東四朗)から、先代藩主の側室おうめが父親のわからぬ子を身ごもったと聞く。奥向きを取り仕切っていた滝野(三田佳子)が激怒しており、旧知の立場から怒りをなだめてほしいと頼まれた清左衛門だが、そこにかねてより因縁のある浅田家老(金田明夫)一派の存在がちらついてくる。奈津の夫の行動にも不可解なものがあり、そこにも浅田の影が...。

 清左衛門の家族への思いが描かれるシリーズ第四作。伊東、料理屋の女将役の麻生祐未など、おなじみの顔ぶれとともに三田、小林稔侍らベテランゲストとの共演もみどころ。清左衛門は欅の古木を見つめ、人生を考える。藤沢周平原作らしい味わい深い場面だ。「古木はまだまだ倒れない。清左衛門は僕の実人生と重なり、自分そのものにも見えます。伊東さん、三田さん、稔侍さんとは、若いころからともに歩んできたから、役というより人間同士で現場にいる感じでしたね」という北大路が演じる清左衛門の、大人の「解決」に注目したい。

掲載2019年12月06日

「茂七の事件簿3 ふしぎ草紙」
宮部みゆき原作の不思議な味わいと人情あふれる捕物帖。
江戸の名親分にしてズッコケパパ高橋英樹の推理と多彩なゲストにも注目。

(もしちのじけんぼ3 ふしぎぞうし ) 出演者:高橋英樹/淡路恵子/星野真里/本田博太郎/あめくみちこ/千葉哲也/伊崎充則 ほか  2003年

掲載2019年12月06日

 回向院の茂七親分(高橋英樹)が、江戸の不思議な事件を追う人気シリーズ。第一話「片葉の芦」では、すし屋の主・藤兵衛(柴俊夫)が殺され、彼を嫌う一人娘・お美津(松尾れい子)に疑いがかかる。極貧の少年時代、お美津に捨てる飯をめぐんでもらった蕎麦屋の職人(高岡蒼佑)は彼女の無実を訴える。そうしたなか、茂七は藤兵衛の意外な一面を探り出す。「片葉の芦」は江戸時代、本所の七不思議といわれた怪談・奇談のひとつ。原作者宮部みゆきは、そこから切ない人間模様と事件を生み出した。

 面白いのは茂七が、亡妻の母・おかつ(淡路恵子)や娘・お絹(星野真里)、義妹・お京(あめくみちこ)など女たちにやりこめられるズッコケパパでもあること。おかつに「あたしゃ息をつめてるんだよ!」などと八つ当たりされる茂七のトホホ顔はシリーズ名物。また、本所深川一帯の地廻りの頭ながら、自分が経営する居酒屋の娘(MEGUMI)に「旦那は邪魔。しっしっ!!」とやられる勝蔵(本田博太郎)と茂七のやりとりも見ものだ。放送当時、高橋を取材した際、共演の多い本田との場面は互いにあの手この手で盛り上げたと聞いた。確かに絶妙な間で短いシーンを二人は楽しんでいるような...。手柄を立てたのに姿を消す浪人(三浦浩一)、突然財産相続人になり、本物か疑われる双子の弟(松重豊)などゲストもいい味。最終話「ならず者」には遠藤憲一登場。ラストがしみます。

掲載2019年11月08日

「壬生義士伝」
愛する家族を貧困から救うため戦い続けた新選組隊士を中井貴一が熱演
斎藤一の佐藤浩市、沖田総司の堺雅人らが激動の時代を駆け抜ける。

(みぶぎしでん ) 出演者:中井貴一/佐藤浩市/中谷美紀/夏川結衣/三宅裕司/村田雄浩/塩見三省/堺雅人 ほか  2003年

掲載2019年11月08日

 明治32年。高熱の孫を大野医院に運び込んだ老人・斎藤一(佐藤浩市)は、そこで吉村貫一郎(中井貴一)の写真を見つけ、新選組隊士として吉村と戦った日々を回想する。東北・南部出身の吉村は、朴訥な人柄ながら、剣の達人。京の人々から「壬生狼」と恐れられる新選組で、斬首や人斬りも積極的に引き受け、報奨金を受け取ることから「守銭奴」と隊内でもさげすまれる。特に斎藤一(佐藤浩市)は彼を軽蔑し、ある雨の夜、突然に襲い掛かる。死に場所を探す斉藤に対して、「わすは違います。死にたくないから人を斬ります」と言う吉村。彼は故郷で飢える家族を養うため脱藩したのだった。やがて新選組は、池田屋騒動で名をあげる。だが、鳥羽伏見の戦の最前線に立たされ、敗走を続ける。そんな中で斎藤は吉村に「お前は死んではならん」と逃がそうとするが...。

 原作は浅田次郎。監督・滝田洋二郎。脚本はドラマ「壬生の恋歌」でも無名隊士を描いた中島丈博、男の友情、対立、別れなどの切ない場面が次々と出てきて観る者を飽きさせないのは、さすが。隊士の斬首をしたあと、「お疲れ代金」だけでなく、刃こぼれした刀代金まで要求する吉村に「たいしたもんだね、吉村君は」と苦笑する沖田総司の堺雅人、吉村を心から愛する妻・しづに夏川結衣、吉村の友人・大野千秋の父に三宅裕司と味のある配役にも注目。吉村の愛の深さと誇り高き決断に胸打たれる。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。