ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2021年06月25日

「利休」
監督・勅使河原宏、武満徹の音楽と西岡善信の美術が輝く
秀吉に信頼されながら、切腹した利休。三國連太郎が権力に屈しない茶人を演じた話題作

(りきゅう ) 出演者:三國連太郎/山崎努/三田佳子/岸田今日子 ほか  1989年

掲載2021年06月25日

 天正10年。利休(三國連太郎)が茶頭として仕えてきた織田信長(九代目・松本幸四郎)は、本能寺の変で自刃。数年後、権力を手にした豊臣秀吉(山崎努)に召し抱えられた利休は、卓越した技量とセンスで多くの大名を魅了していく。秀吉から「公儀のことは弟の秀長(田村亮)に、内内のことは利休に」と言われるほど信頼を得た利休だったが、石田三成(五代目・坂東八十助)が頭角を現したころから、少しずつ秀吉との関係が揺らぎ始める。利休の愛弟子・宗二は所払いにされた末に殺され、さらに三成は、利休が秀吉の朝鮮出兵に疑念を抱いていると秀吉に告げ口。茶室で向き合った利休に秀吉は、「不届きもの!面も見たくない。失せろ!!」と怒りまくる。北政所(岸田今日子)と利休の妻・りき(三田佳子)らの思いもからみ、引くに引かれぬ事態となり、利休には切腹の命が下る。

 茶室に一輪の白い花を飾るために、庭の花々をすべて切り捨てた利休。三國は美に徹し、権力に屈しないアーティストの顔をみせる。一方、「お前の指一本で花も器も姿を変える...」と利休をにらむ秀吉。山崎努は、着飾っても野卑を感じさせる秀吉を見事に作り上げた。三田、岸田とともに、秀吉の子を産み、どこか達観して世を見つめる茶々(山口小夜子)の美しさには迫力がある。監督・勅使河原宏、脚本・赤瀬川原平と勅使河原宏、武満徹の音楽と西岡善信の美術が輝く。絢爛豪華な衣装デザインは『乱』(1985年)でアカデミー賞を受賞したワダエミ。勅使河原は、劇中のいけばなも担当。モントリオール世界映画祭最優秀芸術賞、ベルリン映画祭フォーラム連盟賞受賞作。

掲載2019年12月27日

「るろうに剣心<4K版>('16年雪組 東京宝塚劇場)※2Kダウンコンバートにて放送」
明治の世を舞台に流浪人・剣心の生きざまと新たな出会い、戦いを描いた人気作品
早霧せいなはじめ、雪組のダイナミックな殺陣と華麗な歌に注目

(るろうにけんしん<4Kばん>('16ねんゆきぐみ とうきょうたからづかげきじょう)※2Kだうんこんばーとにてほうそう ) 出演者:早霧せいな/咲妃みゆ/望海風斗 ほか  2016年

掲載2019年12月27日

 明治十一(1878)年、神谷薫(咲妃みゆ)が守る東京下町の神谷道場に頬に十文字の傷をつけた不思議な雰囲気の流浪人・剣心(早霧せいな)が現れる。鋭い遣い手でありながら、人を幸せにするためにしか剣を使わず、決して人を殺めないと誓い、「逆刃刀」を持つ剣心は、実は維新前、新選組などを相手に"人斬り抜刀斎"と恐れられた男だった。神谷道場で和やかに暮らす剣心の前に、次々と強烈な個性を持つ者たちがやってくる。背中に「悪」の文字を背負った相楽左之助(鳳翔大)、医者一族の末裔の妖艶な娘・高荷恵(大湖せしる)、因縁のライバルで元新選組の斎藤一(彩風咲奈)、さらには「死の武器商人」武田観柳(彩凪翔)...過去の痛みに悩みながら、必死に戦う剣心。その姿に薫は魅かれるようになる。やがて浮かび上がる「阿片」の疑惑...。剣心の「不殺」の誓いは守れるのか。

 アニメ、映画、いずれもヒットしているが、小池修一郎によるこの初ミュージカルでは、新選組の伝説の剣士・加納惣三郎(望海風斗)も加わり、壮絶な戦いを繰り広げる。驚くのは早霧はじめ、"日本物の雪組"の面々によるスピーディーな殺陣。特に巨大な武器を振り回す佐之助は、シリーズの人気者らしく愛嬌たっぷりだが、その動きのハードさは相当なものだ。宝塚の華麗な歌と踊りのミュージカルの中に「お前は本当に明治の世に満足しているのか」という問いかけもあり、心情描写も見所となっている。

掲載2019年04月12日

「歴史漫才ヒストリーズ・ジャパン」
2.5次元俳優やお笑い芸人が歴史上の人物に扮してゆる~く日本史漫才講義
偉業も事件も志も流行り言葉もトントン出てくる!微笑みの案内人は"釈迦林素子"

(れきしまんざい ひすとりーず・じゃぱん ) 出演者:大林素子 ほか  2017年

掲載2019年04月12日

 ドラマ、ドキュメンタリー、クイズなど、日本史はさまざまな形で紹介されてきたが、ありそうでなかったのが"漫才"。そこで思いっきりやっちゃおうと企画されたのが、この番組。案内人"釈迦林素子"(大林素子)に呼び出された古代から近代までの歴史上の人物に、2.5次元舞台で活躍する中村優一、染谷俊之、お笑い系では、ゆにばーす、ムーディ勝山らが扮して、自分たちの偉業や事件などを観客を前にステージでしゃべりまくる。脚本・演出は、なるせゆうせい。

 ポイントは、現代の目線。たとえば、「平安時代編」には、紫式部(佐藤蕗子)と清少納言(小野由香)が登場する。二人は出てくるなり「はい~、いとをかし」を連発。式部ちゃん、納言ちゃんと呼び合いながら会話するのだが、納言ちゃんは長い黒髪に顔を隠して陰気モード。理由は「引きこもって書き続けていたら...」だという。互いの作品を解説しているはずが、「源氏物語」の主人公はいつのまにか光GENJIの話になりかかるわ、「現代だったら、いと印税生活」と生々しい話になるわ。だが、だからこそ、歴史に興味のない人にもわかりやすい。最終回には、女性革命家・管野スガ(佐藤蕗子)と幸徳秋水(ミッキーボード)が出演。「歴史の教科書ではほんの一行」とか扱われないという自分たちの苦難を語る。意外な発見も多いユニークな歴史教養番組。

掲載2017年04月21日

「利休にたずねよ」
山本兼一の直木賞受賞作に市川海老蔵が挑む!
「美はわたくしがきめるもの」という利休の秘めた過去

(りきゅうにたずねよ) 出演者:市川海老蔵(十一代目)/中谷美紀/市川團十郎(十二代目)/伊勢谷友介/大森南朋ほか 2013

掲載2017年04月21日

 織田信長、豊臣秀吉に仕え、天下一の茶人と認められながら切腹することになった千利休。その死の謎と彼が追い求めた「美」、さらに彼が秘めた過去に何があったのかをたどる。山本兼一の直木賞受賞作に市川海老蔵が挑む。

 豊臣秀吉(大森南朋)の兵に屋敷を取り囲まれ、自刃することになった利休(海老蔵)。彼を支え続けた妻・宗恩(中谷美紀)は、ずっと想い人がいたのではと問いかけた。永遠の別れを前にした妻の問に利休は若き日を思い出す。ぼんぼん育ちの利休は、かつては色町で顔がきくほどの遊び人。しかし、あるとき、高麗の女(クララ)を目にする。拘束されながらも誇り高い女に惹きつけられた利休は、とんでもない事件を引き起こす。初めて知った本気の恋と世の不条理、そして死。やがて利休は茶の道を究め、「美はわたくしが決めること」「私が選んだ品に伝説が生まれます」などと発言するようになる。作法と間に徹底的に注意を払ったという海老蔵の抑えた演技は見事。その手に本物の国宝級の茶道具(一説には億単位とも!)があることを思うと、観るほうもドキドキだ。いかにも気が短そうな織田信長(伊勢谷友介)、黄金の茶室などを利休に強要する下世話な秀吉も面白い。父の十二代目市川團十郎も利休の師・武野紹鴎役で出演。迫力のある文化人の姿を見せたが、映画での最後の父子共演となった。

掲載2016年03月11日

「RED SHADOW 赤影」
赤影・青影・飛鳥の三人組に根来忍者が襲い掛かる
藤井フミヤ、舞の海、カバエワらも参戦異色の忍者映画

(れっどしゃどー あかかげ) 出演者:安藤政信/奥菜恵/竹中直人/麻生久美子/村上淳/藤井フミヤ/舞の海秀平/谷啓/根津甚八/陣内孝則 2001年

掲載2016年03月11日

 戦国乱世。幼少期より忍者として厳しく鍛えられた影一族の赤影(安藤政信)、青影(村上淳)、飛鳥(麻生久美子)の三人は、頭領の白影(竹中直人)とともに地球外物質の特殊金属"無敵の鋼"を武器として、まねのできない忍術を駆使してきた。京極城の地下にあやしい新兵器探索に出かけた三人は、敵方根来忍者の襲撃を受け、苦戦の連続。そして命を落とす者も...。苦悩する赤影だが、次の任務で抹殺を命じられたはずの姫(奥菜恵)を助けてしまい、物語はあらぬ方向に。姫を狙う一団と再び、根来衆との戦いに挑む赤影は生き残れるのか?

 監督は多くの音楽映像をてがけた中野裕之。独特のギャグセンスのある監督の作品らしく、強敵のはずの根来忍者の中には、鉄球を手に装着した者や飛鳥のお色気作戦にメロメロになる者など、どこかとぼけたシーンも続出。ただし、アクションなどはCGだけでなく、実際に石垣に登り、トランポリンで飛び、刀でやり合う実戦派。竹中直人の白影が本物の大凧に乗り、「やめて止めてやめて止めて」と言いだしたり、青影の「大丈夫」の決めポーズが出たりと、60年代の「仮面の忍者 赤影」ファンが思わずにやりとするシーンもしっかり用意。藤井フミヤ、舞の海など異色の敵方忍者にも驚くが、この作品の後、新体操の金メダリストとなるカバエワが南蛮くノ一で出てくるのにはびっくり。遊び心満載のニンジャ長編。

掲載2015年04月24日

「羅生門」
ヴェネチア映画祭邦画初のグランプリはじめ世界が絶賛
黒澤明監督が人間の奥底のエゴを描いた傑作

(らしょうもん ) 出演者:三船敏郎/京マチ子/森雅之/志村喬/千秋実/加東大介/上田吉二郎/本間文子 1950

掲載2015年04月24日

平安時代、土砂降りの中、朽ち果てた羅生門で雨宿りをした下人(上田吉二郎)は、「さっぱりわかんねえ」と呆然とする先客の杣売り(志村喬)と「今日という今日は人の心が信じられなくなりそうだ」とブツブツ言う旅法師(千秋実)から不可思議な話を聞く。ふたりは都近くの藪の中で、侍(森雅之)が殺されるのを目撃したのだ。下手人として捕えられたのは都を騒がす盗賊多襄丸(三船敏郎)。だが、検非違使の取り調べでは関係者全員の言い分がまったく食い違ってくる。多襄丸は、侍の妻(京マチ子)に「夫と対決して生き残ったほうについていく」と言われたと主張、妻は盗賊に乱暴された自分を殺してくれと夫に短剣を差し出したところ、それが夫の胸に刺さったという。さらに夫の霊を呼び出して巫女(本間文子)に語らせると、さらに複雑な話に...。ワイルド盗賊の三船もいいが、薄絹の被り物に貴族らしい殿上眉毛で色白ぽっちゃりとした悪女?貞女?真反対を熱演する妖艶な京マチ子が素晴らしい。

 原作は芥川龍之介の短編「藪の中」。脚本は、これがデビュー作となった橋本忍と黒澤明、撮影は宮川一夫。荒れ果てた都で欲をむき出しに生きる人間のさまを鋭く描いたこの作品は、ヴェネチア映画祭で邦画初のグランプリ、アカデミー賞最優秀外国映画賞を受賞するなど世界的に評価された。

掲載2015年03月27日

「牢獄の花嫁」
丹波哲郎×義隆の父子共演のサスペンス時代劇
吉川英治の緻密な原作とGメン系豪華キャストにも注目

(ろうごくのはなよめ ) 出演者:丹波哲郎/地井武男/坂口良子/野際陽子/原田大二郎 ほか 1981

掲載2015年03月27日

捕物の神様といわれた与力の塙江漢(丹波哲郎)は長崎留学から帰る息子の郁次郎(丹波義隆)と御書院番富武(垂水悟郎)の娘花世(坂口良子)の婚儀を楽しみしていた。しかし、江漢引退の翌日、鉄櫃に入れられ、薬指を切られた女の殺人が起きる。さらに芸妓と巫女が同様に殺され、郁次郎が下手人として捕えられてしまう。郁次郎は深い事情を知っており、花世も関わっているようだとつかんだ江漢だが、真相は闇に包まれていた。やがて花世にまで魔の手が伸びていることを知り、江漢は上方随一の実力を持つ与力・羅門塔三郎(地井武男)に協力を求めた。若年寄小笠原左近(神山繁)に五十日間の猶予をもらい、必死に探索を続ける江漢。しかし、郁次郎の処刑が迫る。

 指に残る謎の痕跡、花世の出生の秘密と殺された女との関係、意外な黒幕...終生捕物帳を書かなかった吉川英治作品の中でも緻密な構成とサスペンス要素を盛り込んだ本作は、過去に坂東妻三郎、市川右太衛門で映画化、岡田英次でドラマ化もされた人気作。脚本は「水戸黄門」など名作を手がけた宮川一郎、監督は必殺シリーズや「子連れ狼」でも知られる渡辺祐介。丹波は息子を思って涙を流すシーンなど、実の父子ならではの熱演を見せる。また共演に「キイハンター」の野際陽子、「Gメン75」の宮内洋、原田大二郎など丹波哲郎を「ボス」と呼んだ豪華キャストが揃うのもうれしい。

掲載2014年10月31日

「烙印の女たち」
映像京都制作。女牢で生きるどん底の女たちの物語
火災で三日間解き放たれた女たちは娑婆で何を見る?

(らくいんのおんなたち ) 出演者:真行寺君枝/片桐夕子/泉じゅん/大橋吾郎/工藤明子 ほか 1984

掲載2014年10月31日

江戸時代、囚人たちは、処罰を待ちながら、過酷な日々を過ごしていた。女牢のお千代(真行寺君枝)は、父親の医師杉田宗宅が、患者五人を毒殺した罪に連座して、獄門が決まっていた。しかし、誠実な父が意味もなく患者を殺し、自害することはありえないと信じるお千代は、自分との結婚を望みながら拒否された父の弟子弥之助が怪しいと考える。お千代の処刑の日、牢屋が家事となり、囚人たちは三日間だけお解き放ちになった。お千代は、父の復讐をするため、ひとり動き出す。カギを握る弥之助は、悪名高い蘭方医の弟子になっていた。

 主演の真行寺君枝は、十代より美貌で注目され、76年、資生堂CM「ゆれる、まなざし」キャンペーンで大人気となったモデル・女優。「必殺からくり人 富嶽百景殺し旅」など、時代劇でも活躍している。「烙印の女たち」では、清純な娘が、父のために非情な決意をし、なおかつ彼女の無実を信じる若手同心(大橋吾郎)との悲恋も交えて、女として変貌する姿を熱く演じる。お千代のほか、男に貢ぐ女スリ(片桐夕子)、不義を働いた商家の妻(泉じゅん)など、セクシー系作品で鳴らした女優(美しい!)の存在感も光る。女たちが娑婆で何を見て、三日の期限に回向院に戻ってこられるのかというサスペンスもあり、最後まで引き込まれる長編。脚本・中村努。能村庸一プロデューサー×映像京都による映像美にも注目したい。

掲載2014年08月15日

「龍馬伝」
福山雅治×福田靖×大友啓史が新しい龍馬像に挑む
佐藤健の岡田以蔵、香川照之の岩崎弥太郎も注目!

(りょうまでん) 出演者:福山雅治/香川照之/大森南朋/佐藤健/広末涼子/真木よう子/貫地谷しほり/蒼井優/里見浩太朗/蟹江敬三 ほか 2010

掲載2014年08月15日

大河ドラマのテーマ発表は、放送の二年近く前だが、「龍馬伝」では21世紀の龍馬を誰が?と大騒ぎに。そして「福山雅治」決定でまた大騒ぎ。鳴物入りのスタートだった。

 脚本は「ガリレオ」の福田靖。同じ土佐の岩崎弥太郎(香川照之)を語り手にするという手法で綴られる。裕福であたたかい家庭に育ち、江戸の千葉道場に剣術修行に出た龍馬が黒船を目撃。その衝撃は、彼の大きく運命を変えていく。幼馴染の武市半平太(大森南朋)は、土佐藩内で力を持ち始めるが、やがて龍馬とは袂を分かつ。さらに勝海舟(武田鉄矢)、高杉晋作(伊勢谷友介)、西郷隆盛(高橋克実)らと出会った龍馬は、歴史に名前を残す活躍を始める…。

 ペリーは一年間、この現場に通ったが、独特の照明とほこりっぽさのリアルにまずびっくり。天井にブルーシートを張っての照明調節は、現場での知恵の結晶で、同時に複数のカメラで狙う撮影も、多くの俳優にとって新鮮かつ緊張の経験となったという。武市の切腹シーンは、当時の作法を再現し、迫力。無知のため利用され、人斬りを繰り返す岡田以蔵の佐藤健も女性ファンの心を掴んだ。

龍馬を巡る女は、初恋の相手加尾に広末涼子、妻お龍に真木よう子など豪華な顔ぶれ。龍馬を見守る父の児玉清(最期が近い父と龍馬一家が海に遊ぶシーンは名場面)、弥太郎の父の蟹江敬三、亡き名優の演技も見逃せない。

掲載2012年01月20日

『竜馬がゆく(主演:市川染五郎)』
市川染五郎の爽やかな竜馬&豪華キャスト
暗殺シーンの不気味さもじわじわと印象的

(りょうまがゆく) 出演者:市川染五郎/内山理名/井川遥/若村麻由美/室井滋/沢村一樹/的場浩司/前田愛/原田龍二 ほか 2004年

掲載2012年01月20日

「だーれも死なん、だーれも殺さん、どんな人間も笑うて暮らせる。わしゃ、そういう日本国を作りたいがじゃ!」
 土佐の下級武士の家に生まれ、若い日には江戸で剣術修行をした坂本竜馬(市川染五郎)は、幕末の風雲の中で、藩のしがらみにとらわれず、新しい国を作ろうと奔走する。司馬遼太郎の不朽の名作に豪華なキャストが集結した。女優陣では、竜馬を母親代わりに育てる姉乙女に室井滋、妻おりょうに内山理名、初恋の女性お田鶴に井川遥、お登勢に若村麻由美。男優では武市半平太に沢村一樹、桂小五郎に原田龍二、西郷吉之助に高嶋政宏、勝海舟に柄本明、高杉晋作に葛山信吾、剣の師千葉定吉に藤田まことなどなど。「池田屋で死に、蛤御門で死に…」と死んでいった志士を思い、藩のためでなく国のために生きよと桂小五郎に語る竜馬の熱さが胸に迫る。
松平春嶽に松本幸四郎、長崎の女商人大浦お慶に松たか子、武市半平太の妻富子に松本紀保と高麗屋一家が出演するのも話題のひとつ。ペリーは撮影当時、松本紀保にインタビューした際、「半平太を愛し、信じた富子の心情を少ないセリフでどう伝えるか、気持ちをこめたい」と語っていたのが心に残る。静かだが強い心を持つ富子のシーンは泣かせる。
 暗殺シーンは独特の音楽で不気味さを強調。暗殺者は時代劇に欠かせないあの俳優!注目。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。