ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2021年08月13日

「紫子-とりかえばや異聞-('10年月組 中日劇場)」
双子の兄になりかわって大名家に入った妹の切ない恋と運命
男役・霧矢大夢が姫と武将を演じ、ファンが再演を待ち望んだ名作に挑む

(ゆかりこーとりかえばやいぶんー(’10ねんつきぐみ ちゅうにちげきじょう) ) 出演者:霧矢大夢/蒼乃夕妃 ほか  2010年

掲載2021年08月13日

紫子-とりかえばや異聞-(’10年月組 中日劇場)
紫子-とりかえばや異聞-(’10年月組 中日劇場)
©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ ~木原敏江原作「とりかえばや異聞」(小学館文庫)より~

 安土桃山時代。世継ぎのない家に育った紫子(霧矢大夢)は、父から武芸を学び、男勝りの娘に育った。しかし、父が亡くなり、病の母のため、遊女屋で働く決意をする。その初めての客となったのが、顔を見知っていた風吹(青樹泉)だった。出会った瞬間に惹かれあった二人だが、そのとき来客があり、別れ別れになる。紫子は、安芸の大名・佐伯氏の実子で双子ゆえに養子に出されていたことがわかった。病に倒れた兄・碧生(霧矢・二役)の替え玉として城に入った紫子。一方、風吹は悪家老から碧生の暗殺を依頼され、同じ城に入ったのだ。やがて織田家と毛利家にはさまれ、危機を迎えた佐伯家は、毛利の舞鶴姫(蒼乃夕妃)をめとり、安泰を図る。碧生として生きる宿命を背負った紫子は、つらい決断を迫られる。

 原作は平安末期に書かれた古典文学「とりかえばや物語」に着想を得た木原敏江のコミック「とりかえばや異聞」。87年に峰さを理、南風まい、日向薫らで上演され、好評を博し、ファンの間で再演が待ち望まれた名作が23年ぶりによみがえった。峰に教えを受けた霧矢にとって月組トップお披露目公演で、収録は、今はなき名古屋・中日劇場。伝説の作品を見ようと名古屋に多くのファンが詰めかけた。凛々しい男子が実は女性で、禁断の相手と恋に落ちる。そこに新たな人が現れて...秘めた心と切ない関係から目が離せない。

掲載2020年07月03日

「妖怪百物語」
悪人が開いた「百物語」をきっかけに妖怪たちが次々姿を現す。
藤巻潤、五味龍太郎、神田隆らの怖い顔とシリアスな演技が見ものの大映特撮妖怪映画。

(ようかいひゃくものがたり ) 出演者:藤巻潤/高田美和/神田隆/平泉征/坪内ミキ子/ルーキー・新一/林家彦六(八代目・林家正蔵) ほか 1968年

掲載2020年07月03日

 江戸の豪商・但馬屋利右衛門(神田隆)が寺社奉行・堀田豊前守(五味龍太郎)と町の有力者を招いて「百物語」の会を開く。甚兵衛長屋の浪人・安太郎(藤巻潤)も「欲に憑りつかれた代物どもの集まりには、もってこいの催しだ」と参加した。但馬屋は甚兵衛長屋を取り壊して岡場所を作ろうと企んでいたのだ。ひとりずつ怪談話をするたびにろうそくの火を消して、最後には妖怪封じのおまじないをするのが決まりだが、但馬屋はそれもせず、小判を渡して自分の味方に引き入れようとする。さらに甚兵衛を重助(吉田義夫)に殺害させ、甚兵衛の娘おきく(高田美和)を好色な豊前守に差し出す。危難を救ったのは、安太郎だったが、悪人たちの前には次々と妖怪が現れて...。

 監督は「座頭市」「大魔神」の安田公義。"おいてけ堀"の奇怪な声に始まって、のっぺらぼう、土ころび、ろくろ首などさまざまな妖怪たちが登場。キャッチフレーズは「日本のお化け総動員!」「奇想天外の百鬼夜行」。ポイントは大映製作陣が得意の陰影の濃い映像技術と名人・西岡善信による美術の技を活かし、本格的な特撮妖怪映画に仕上げていること。お化けも怖いが、脅される神田、五味、吉田、伊達三郎ら強面悪役たちの恐怖の顔もかなり怖い。ルーキー新一とからかさお化けとの珍妙な場面や林家正蔵の絶妙な怪談の語りも見もの。幻想的なラストシーンも心に残る。

掲載2020年06月05日

「やじ×きた 元祖・東海道中膝栗毛」
純肉食系コンビ、喜多八と弥次郎兵衛が巻き起こす珍騒動の数々
作者の十返舎一九(竹中直人)も毎度毎度現れる。予想不可能な痛快旅物語

(やじ×きた がんそ・とうかいどうちゅうひざくりげ ) 出演者:和田正人/松尾諭/竹中直人/多賀勝一 ほか  2019年

掲載2020年06月05日

 女と女房に捨てられた元役者の喜多八(和田正人)と、絵描き気取りの弥次郎兵衛(松尾諭)は、伊勢参りの旅に出ることに。お調子者の二人は、行く先々で騒動に巻き込まれる。そのきっかけは常に「女」。二人はいい女に目がない肉食系男子なのだ。箱根では、胸の谷間もあらわな壺振りの姉御(水崎綾女)に「うっふん」と目配せされた喜多さんがメロメロに。三島に向えば、弥次さんが、女の旅人(中村彩実)に「袖すり合うも他生の縁、ついでに夜も...」とすり寄ったはいいが、「この爺が!!」と罵倒されて土手から転げ落ちる。宿の女将(宮嶋麻衣)が美人だからと、夜中に二人して、彼女の布団に潜り込もうとする。やれやれ。一方で、二人は誘拐犯や盗賊たちには、「やいやい」と啖呵を切って大立ち回り。悪人たちを撃退してしまう。さすが、かの「水戸黄門」チームの制作作品だけのことはある。

 また、作者の十返舎一九先生(竹中直人)も登場。弥次喜多を密かに見守り、しばしばメッセージを紙飛行機にしたためて飛ばすのだが、弥次喜多はほぼ無視。おかげで悪人に見つかった先生は、腹を刃物でブスリとやられてしまう。「なんじゃ、こりゃあああ」って、あの刑事の殉職シーンじゃないんだから...。最終話「浪花の富くじ大騒動!」には松竹新喜劇の代表、渋谷天外も出演。百両の富札とやじきたの旅の行方にご注目!

掲載2019年08月23日

「柳生武芸帳」
鶴田浩二×三船敏郎が、天下を揺るがす「柳生武芸帳」を追う!
姫との禁じられた恋、渦巻く陰謀、大乱闘の末、武芸帳の行方は...

(やぎゅうぶげいちょう ) 出演者:三船敏郎/鶴田浩二/久我美子/香川京子/岡田茉莉子 ほか  1957年

掲載2019年08月23日

 昭和を代表する映画スター、三船敏郎と鶴田浩二の共演、五味康祐の原作小説を「宮本武蔵」「無法松の一生」の稲垣浩が監督、音楽を「ゴジラ」の伊福部昭が担当した活劇。

 三代将軍・家光(岩井半四郎)の治世、徳川の世を揺るがす秘事が記された「柳生武芸帳」は、藪大納言家と柳生家、鍋島家に一巻ずつ所蔵されていた。肥前の忍者一族の浮月斎(東野英治郎)は、霞の忍者・大月多三郎(三船敏郎)、千四郎(鶴田浩二)に武芸帳を奪うよう命じる。千四郎は江戸の柳生屋敷を探り、多三郎は鍋島家の一巻を託された夕姫(久我美子)の動きも阻止しようとするが、あろうことか多三郎は、夕姫に恋してしまうのであった。そんな中、夕姫は江戸に現れ、大久保彦左衛門(左卜全)が手にした大納言家の巻を狙うことに。柳生宗矩(大河内伝次郎)率いる柳生一族と夕姫一党は大乱闘となる。

 もみあげもたっぷりで男らしさと人間味を出す三船の多三郎と、きりりとした二枚目の存在感を崩さない鶴田の千四郎。森の霞の中にシルエットで浮き出るふたりの影。東宝の看板俳優時代の鶴田は、美男ぶりを輝かせている。外見も生き方も対照的なふたりが敵方との戦いに挑む姿は、活劇ならではの面白さ。忍びの者と武芸の柳生の屋根の上での対決など、多彩な闘いが繰り広げられる。夕姫のりりしい美しさも際立つ。ラストシーン、激流に浮かぶいかだに乗る姫の表情にも注目したい。

掲載2019年03月08日

「山本周五郎時代劇 武士の魂」
時代小説の名作家・山本周五郎が描いた武士の心と家族の姿を一話完結で。
予想外の展開に涙あり笑いあり。片岡鶴太郎の語りもじんわりとくる。

(やまもとしゅうごろうじだいげき ぶしのたましい) 出演者:石黒賢/笛木優子/大迫一平/仁科貴/螢雪次朗 2017年

掲載2019年03月08日

 山本周五郎の小説は、大河ドラマ「樅ノ木は残った」、貧しい人々の暮らしと医療をテーマにした黒澤明監督の映画「赤ひげ」などの原作で知られるが、短編にも味わい深い作品が多い。「武士の魂」は、武士の心とその家族を描いた短編を一話完結にしたシリーズだ。

 第一話「大将首」は、浪人暮らしの貧しさから黒髪を金に換えて夫の客のもてなしをする妻(笛木優子)、その事実を知り、彼女に隠れて足軽に身を落として糧を得る夫(石黒賢)。仲間を助けるため、藩の剣術指南役を斬った夫に意外な運命が待ち受ける。この他、第二話「晩秋」、第三話「菊月夜」、第四話「山だち問答」、第五話「山茶花帖」、第六話「五十三右衛門」、第七話「風車」、第八話「茶摘は八十八夜から始まる」、第九話「野分」、第十話「砦山の十七日」、第十一話「金作行状記」、第十二話「失蝶記」と続く。ほろ苦い結末も多いが、ユニークなのは第四話。藩主の密命で彦根に急いでいた大垣藩士の馬廻役・郡玄一郎(的場浩司)が、山賊(山だち)に身ぐるみはぐと言われるが、密命を果たした後にしてくれと頼み、本気で実行する。だが、そのことが「臆病」と批判され、玄一郎は縁談も破棄される。そんな玄一郎の前に以前、助けた娘が現れ、彼の運命は大きく変わる...。的場VS山賊の永澤俊矢。強面対決もみもの。片岡鶴太郎の語りもじんわりくる。

掲載2019年02月01日

新作オリジナル時代劇「闇の歯車」
逢魔が刻の現金強奪に動き出したワケアリ男五人の運命は...!?
藤沢周平の傑作サスペンスに瑛太、橋爪功ら名優たちが挑む

(やみのはぐるま) 出演者:瑛太 緒形直人 大地康雄 中村蒼 蓮佛美沙子 高橋和也 石橋静河 津嘉山正種 中村嘉葎雄/橋爪功   2019年

掲載2019年02月01日

 江戸・深川の酒亭おかめには酒でうさを晴らしたい男たちが集まる。ある日、裏稼業に嫌気がさし、好いた女とやり直したいと考え始めた佐之助(瑛太)は、謎めいた男・伊兵衛(橋爪功)から「儲け話がある」と声をかけられる。狙うは商家に眠る大金700両。犯罪の素人だけを集め、仕事は一度きり。伊兵衛は闇と静けさが支配する"逢魔が刻"の日暮れだからこそ、一滴の血も流さず完璧にできるという。やがて病の妻を抱えた浪人の伊黒(緒形直人)、愛人の手切れ金が欲しい若旦那の仙太郎(中村蒼)、家族に疎まれる老いた弥十(大地康雄)が計画に加わった。一方、伊兵衛を怪しむ奉行所同心(高橋和也)らも目を光らせる。やがて決行の日。完全犯罪は成功したかに見えたが...。

 原作は藤沢周平のサスペンス時代小説。脚本は金子成人、監督は山下智彦。それぞれに金を必要とする事情を抱え、一獲千金の夢を抱いた男たちと、それを取り巻く女たちの欲と愛憎、裏切り、人生の皮肉など、現代にも通じる人間模様が織り込まれ、エンドロールの後まで目が離せない。若い世代のみならず幅広い世代から支持を集める瑛太は、武士役が多かったが、ここでは無頼な男の色気と匕首の決死の立ち回りを見せる。また、橋爪功の怪しげな存在感はさすが。そして「おかめ」の亭主繁蔵を演じる大ベテラン中村嘉葎雄。繁蔵の意外な(?)私生活に佐之助が驚くシーンをお見逃しなく。

掲載2018年06月08日

「吉原悲恋―忍びの女―」
田中美佐子、荻野目慶子ら花魁が実はくノ一。
哀しい宿命の女たちを見守る渡瀬恒彦がカッコいい!

(よしわらひれん しのびのおんな) 出演者:田中美佐子/陣内孝則/渡瀬恒彦/嶋田久作/佐野史郎/ハナ肇/荻野目慶子/細川俊之/中尾ミエ ほか 1991年

掲載2018年06月08日

 徳川の治世がやっと落ち着いたかに見えたころ。浮世の憂さ晴らしの場としてにぎわう不夜城・吉原。そこでは華麗な花魁たちが男たちを魅了していた。中でも評判のひとりが薄雲太夫(田中美佐子)。しかし、彼女とその仲間たちは、夜毎、男たちに身を任せながら、情報収集をするくノ一でもあったのだ。やがて聞こえてきた徳川秀忠の密書の行方。薄雲は本名ゆうといい、密書のために父を殺され、母(山口いづみ)とも生き別れ、自身は記憶を失い、吉原に流れ着いた女だった。そのゆうの前に現れた男(陣内孝則)。「お前のために命を張る」と言い切る男のため、ゆうは賭けに出るが、事態は思わぬ展開になる。
 嘘、誘惑、変装、裏切り...虚飾の籠の鳥として哀しい運命を生きる女たちを田中はじめ、荻野目慶子、先輩花魁の中尾ミエらが熱演。花魁姿とくノ一アクション(田中は後年、アウトドア女優として有名になるが、渓流の逃走シーンなどはさすがにうまい)のギャップはみもの。また、「吉原を守るためには鉄の掟が必要だ」と非情な顔を見せながら、女たちを守る固い決意をしている「お頭」渡瀬恒彦が「影の軍団」を彷彿とさせ、カッコいい! クライマックスの死闘はバブル期の作品らしく二階建ての豪華な遊郭セットの中で激しく続く。「忍びの心を忘れ生きることが夢だった。何もかもが夢だった」という言葉が胸に響く長編。

掲載2017年11月24日

「柳生一族の陰謀」
千葉真一が当たり役柳生十兵衛でTV時代劇初主演!
山村聰、真田広之、丹波哲郎、志穂美悦子らが大暴れ

(やぎゅういちぞくのいんぼう) 出演者:千葉真一/山村聰/志穂美悦子/目黒祐樹/成田三樹夫/島英津夫/田村亮/高橋悦史/福本清三 ほか 1978年

掲載2017年11月24日

 二代将軍秀忠の死後、息子の家光(田村亮)と忠長の後継者争いが勃発。家光の剣術指南役柳生宗矩(山村聰)は、息子の十兵衛(千葉真一)らとともに反家光勢力と死闘を繰り広げることになる。78年映画版「柳生一族の陰謀」大ヒットを受けて、深作欣二、松尾昭典、池広一夫ら監督陣、野上龍雄ら脚本陣が集結し、制作された全39話。シリーズだけに、映画版よりさらに敵方も拡大。幕府内での勢力争い、その混乱に付けこむ公家たち、彼らに従う浪人集団、豊臣の残党、忍び一派などなど、柳生一族の前に次々強敵が現れる。そして終盤には柳生家の父と子の確執も...。

 千葉は当たり役柳生十兵衛でテレビ時代劇初主演。アクション集団JAC(現JAE)とともに張り切りぶりは半端ない。千葉を応援するべく集まった共演者、ゲストは、超豪華。十兵衛の妹で男装の剣士茜(志穂美悦子)、徳川義直(萬屋錦之介)はじめ、木暮実千代、岡田茉莉子、山城新伍、丹波哲郎、天知茂も登場する。中でもファンの心をとらえたのは、千葉の盟友・成田三樹夫演じる烏丸少将文麿。公家ながら、剣術に長けた文麿は、敵を竹藪におびき寄せ、「姿は隠していても獣はニオイでわかりまするぞ」などとあっという間に何人も斬り捨てる!バタバタと倒した後、白塗りの顔の汗をふーっとぬぐい、不気味に笑う文麿。十兵衛との深い因縁と対決シーンは見物。

掲載2017年11月17日

「闇の狩人」(主演:村上弘明)
池波正太郎原作。村上弘明が記憶喪失の仕掛人に。
闇の元締め田村高廣・岸田今日子夫婦の名演技に注目

掲載2017年11月17日

 盗賊の弥平次(蟹江敬三)は、瀕死の若侍(村上弘明)を助けた。記憶喪失となっていた若侍に「谷川弥太郎」と名付けて、江戸に帰った弥平次だが、偶然、弥太郎と再会する。弥太郎は元締め清右衛門(田村高廣)に拾われ、金ずくで人を殺める闇の「仕掛人」となっていた。盗賊の跡目相続で命を狙われたところを弥太郎に助けられた弥平次は、弥太郎を闇の世界から抜けさせようと考えるが、それは厳しい掟を破ることになるのだった。そんな中、やがて、わかってきた弥太郎の過去。彼は土岐家の御家騒動がもとで、許嫁(畠田理恵)を失い、自らも追われる身となっていたのだ。巡る因縁は、弥太郎を土岐家の争いに再び巻き込む...。

 原作は池波正太郎。監督は「必殺仕掛人・春雪仕掛針」を手がけた貞永方久。なんといっても素晴らしいのは、清右衛門とお浜(岸田今日子)夫婦の演技。闇の掟を破れば、息子のような弥太郎も殺さねばならない。夫婦は苦悩の末、弥太郎を慕うお順(畠田二役)を軟禁する。「思い出してほしくなかった...」と、弥太郎を乗せた舟で鋭く目を光らせる清右衛門。夫の帰りを待つお浜の裏稼業の女房っぷりがカッコいい!この他、「何を賢しらな!!」と野望丸出しの土岐家側室の芦川よしみ、不気味な家老の西田健など達者な「悪」が次々登場。この作品の翌年に亡くなった城達也のナレーションもナイス。

掲載2017年05月05日

「柳生新陰流」
萬屋錦之介が当たり役・柳生宗矩の人生を熱演。
小野派一刀流、忍びとの戦いなど剣豪ぶりも炸裂

(やぎゅうしんかげりゅう) 出演者:萬屋錦之介/目黒祐樹/西村晃/藤巻潤/真木洋子/篠ひろ子/荒木しげる/小池朝雄/御木本伸介/中村嘉葎雄 ほか 1982

掲載2017年05月05日

 柳生石舟斎(西村晃)の五男・宗矩(萬屋錦之介)は、関ヶ原の戦いでの働きを徳川家康に認められ、柳生の旧領二千石を取り返すこと成功した。その領地は豊臣時代、柳生が隠し田を持っていたことをライバルの松田道場の者に密告されて、没収されたのだった。やがて将軍家に迎えられた宗矩は江戸へと向かうが、途中、松田道場の美人姉妹や豊臣の残党に狙われる。海岸沿いで敵忍者数十人に取り囲まれる宗矩。危機一髪!と思ったら、崖を駆けのぼり、砂浜を突っ走り、あっという間に敵を蹴散らす。さすがだ。宗矩の胸中には、戦のない世にしたいという強い願いが。たどり着いた江戸城では、徳川秀忠(荒木しげる)の前で小野派一刀流の小野次郎右衛門(御木本伸介)と一騎打ちとなる。刀を置き、座ったままで次郎右衛門の剣を奪い取る柳生新陰流「無刀取り」の技を披露した宗矩は、見事、将軍家指南役となる。その後、宝蔵院流、示現流などの激闘や沢庵和尚との別れなど、宗矩は人として成長しながら、徳川を支える人物になっていく。
 錦之介は、71年の大河ドラマ「春の坂道」、映画「柳生一族の陰謀」に引き続き、三度目の宗矩役での主演。共演には柳生十兵衛の目黒祐樹、坂崎出羽守の中村嘉葏雄、仇討助太刀で知られる荒木又右衛門を天知茂が演じているのも見物。番組冒頭では、「一刀両段」「燕飛(えんぴ)」など柳生新陰流の技が紹介される。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。