ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2019年10月18日

「ふたがしら」
松山ケンイチ×早乙女太一がてっぺん目指す新感覚盗賊エンターテインメント
オノ・ナツメの人気原作を中島かずきの脚本、入江悠監督が仕上げた話題作

(ふたがしら ) 出演者:松山ケンイチ/早乙女太一/國村隼/成宮寛貴/菜々緒/田口浩正/芦名星/村上淳/山本浩司/橋本じゅん 2015年

掲載2019年10月18日

ふたがしら
「ふたがしら 」
©2015 WOWOW/ホリプロ ©オノ・ナツメ/小学館

 「俺に任しとけ!」「男がすたるだろ!」と酒好きで喧嘩っ早い熱血男・弁蔵(松山ケンイチ)と頭脳明晰でクールな宗次(早乙女太一)は、なぜか馬が合う。ふたりは人を傷つけず、「汚え金を根こそぎいただく」掟を守る盗賊"赤目"一味。だが、頭の辰五郎(國村隼)亡き後、辰五郎の妻おこん(菜々緒)と内通した甚三郎(成宮寛貴)が実権を握り、残忍な盗みを始める。弁蔵と宗次は、「俺たちゃ悪党だ。だが、俺たちの仕事に殺しはなしだ」「てっぺんを獲る」と宣言し、赤目一党と壮絶な潰しあいをすることになる。

 松山はオノ・ナツメ原作のマンガに惚れ込み、自ら主演を希望。絶妙な身のこなしを見せる早乙女と、いい相棒ぶりを見せる。このふたりに蛇のようなまなざしで迫る成宮寛貴、初時代劇ながら濡れ場や入浴シーンもこなし、どこか謎めいた顔ものぞかせる菜々緒の悪女っぷりもみどころだ。第二話ではスリ集団の女頭目役で芦名星も登場。おこんとは一味違う裏社会の女をシャキッと見せる。

「俺は俺の一味をつくる」「いや、俺たちのだ」。弁蔵、宗次のシビれるセリフを紡ぐ脚本は劇団☆新感線の中島かずき。監督は「ジョーカー・ゲーム」の入江悠。京都の熟練時代劇スタッフによる陰影ある映像、スピーディーな演出、流れるジャズにより、暗闇を疾る盗賊たちの息遣いが伝わってくる。幅広い世代に人気の新感覚盗賊エンターテインメント。

掲載2019年10月11日

「ささら笹舟-明智光秀の光と影-('00年雪組 宝塚バウホール)」
明智光秀には影武者がいた!ふたりの間で揺れる妻の恋情と苦悩
本能寺の変の意外な真相にも迫る宝塚歌劇団・雪組による斬新な人物伝

(ささらささぶね-あけちみつひでのひかりとかげ-('00ねんゆきぐみ たからづかばうほーる) ) 出演者:貴城けい/紺野まひる ほか  2000年

掲載2019年10月11日

ささら笹舟-明智光秀の光と影-('00年雪組 宝塚バウホール)
「ささら笹舟-明智光秀の光と影-('00年雪組 宝塚バウホール)」
©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ

 戦国乱世、斬新な考えとカリスマ性で快進撃を続ける織田信長(箙かおる)。しかし、信長は明智光秀に本能寺で討たれる。その光秀も悲劇的な最期を遂げたといわれるが...。ある日、旅の雲水に光秀を討ったという農民が事の顛末を語り始める。光秀(貴城けい)は、信長からの理不尽な命令に耐えてきたが、徳川家康饗応での失態を咎められ、額を打たれる仕打ちをされた。それを機に、光秀は自分の影武者の妻木幸四郎(貴城・二役)に後を託し、姿を消してしまった。うりふたつの幸四郎を影と見破るものはいなかったが、唯一、光秀の妻・煕子(紺野まひる)だけは彼が誰か知っていた。いつしか煕子と幸四郎は心を通わせることに。そんな折、幸四郎のもとにある密勅が光秀により届けられた。

 貴城は、光秀自身の苦悩とともに影である幸四郎の心の痛みを表現。紺野もふたりの間で揺れる女心を歌い上げる。また、お調子者の羽柴秀吉(未沙のえる)もいい味。謎の多い本能寺の変の黒幕については、足利義昭とか、イエズス会とか、さまざまな説があるが、本作は正親町天皇が関与したとの説をとり、斬新な光秀像を描き出した。信長は足利義昭らを追いやるために朝廷の権威を利用したとも、財政難から脱した正親町天皇は信長を疎んじていたともいわれる。本作の意外な結末を観ると、本能寺の変の印象も変わりそうだ。

掲載2019年10月04日

「剣客商売 手裏剣お秀」
北大路欣也演じる秋山小兵衛が出会った女剣士の秘めた覚悟とは
原作・池波正太郎。真剣勝負と人間味たっぷりの登場人物がみもの。

(けんかくしょうばい しゅりけんおひで ) 出演者:北大路欣也/貫地谷しほり/斎藤工/古谷一行/國村隼/比嘉愛未 ほか  2018年

掲載2019年10月04日

剣客商売 手裏剣お秀
「剣客商売 手裏剣お秀 」
©フジテレビジョン/松竹

 知る人ぞ知る無外流の達人・秋山小兵衛(北大路欣也)は、道場を息子・大治郎(斎藤工)に譲り、孫ほどの年の差の嫁おはる(貫地谷しほり)とともに悠々自適の暮らしを送っている。ある日、大治郎は、門人の飯田粂太郎から、長屋の隣に住む浪人三人が人殺しを企んでいると聞き、小兵衛に相談する。調べてみると、彼らが狙っているのは、品川・台町の道場にいる女剣士・杉原秀(比嘉愛未)だとわかる。少し前に父親を亡くした秀は、自分が狙われていると小兵衛に忠告されても、動こうとはしない。どうやらワケアリとみた小兵衛と大治郎は、密かに秀の周辺を探ると意外な事実がわかる。

 秀は根岸流手裏剣の名手で、比嘉は丸い「蹄」と呼ばれる種類の手裏剣で攻撃する。過去の因縁から逃れられない秀を優しく諭す小兵衛。女一人で道場を守る秀が、父のような小兵衛に励まされ、心を開く姿も見どころだ。北大路は敵に「おぬしは何者だ」と聞かれると「通りすがりのじじいだ」と即答。剣客としての厳しさとしゃれっ気のあるおとなの男、双方の魅力を醸し出す。大治郎の斎藤は、堅物で不器用な若き剣客。面白いのは、おはるの貫地谷。すねたり、ほだされたり。表情豊かで愛らしさのあるおはるになっている。このほか、老中・田沼意次の國村準、小兵衛の友人・古谷一行、秀を狙う男たちに松田悟志、波岡一喜、秀のこども時代を鈴木梨央が演じている。

掲載2019年09月27日

「忠臣蔵の恋 四十八人目の忠臣」
セリフが切なすぎ!! 四十七士を愛した女性の波瀾万丈の恋と人生
武井咲が美しく演じた時代劇版熱烈純愛ストーリー

(ちゅうしんぐらのこい しじゅうはちにんめのちゅうしん ) 出演者:武井咲/福士誠治/今井翼/石丸幹二/伊武雅刀/佐藤隆太/中村倫也/田中麗奈/三田佳子 ほか  2016年

掲載2019年09月27日

忠臣蔵の恋 四十八人目の忠臣
「忠臣蔵の恋 四十八人目の忠臣」
©NHK

 赤穂藩の屋敷で奥女中のきよ(武井咲)は、主君・浅野内匠頭(今井翼)と奥方(田中麗奈)の前で得意の琴を披露した。きよの琴と、鼓で競演した幼なじみ磯貝十郎左衛門(福士誠治)は恋に落ち、衣を取り換えるのは古より恋の証」と森の中で肌着を交換する。屋外で生着替え!...だが、殿中松の廊下で吉良上野介(伊武雅刀)に刃傷事件を起こした内匠頭は即日切腹。藩はお取り潰し。大石内蔵助(石丸幹二)ら赤穂浪士は吉良邸討ち入りを決意する。十郎左は町人になりすまし、きよを妹と偽って酒屋を開店。さらにきよは密偵として上野介の奥方・富子(風吹ジュン)に仕え、上野介の顔を確かめるという重要な役割があるのだ。まさに「四十八人目」の仕事だ。

 きよは、怪しい影に追われても「何があろうと十郎左様と運命をともに」と命がけ。「明日をも知れぬ命なら、最後までいっしょにいとうございます。きよを妻と思ってくださいませ!」セリフが切なすぎです!!しかし、ここで終わらないのが、原作者・諸田玲子先生の筆の力。きよは細井広沢(吉田栄作)により、なんと甲府宰相・徳川綱豊(平山浩行の側室候補に。綱豊は後に将軍になる。ということは、きよもあの大奥に!? 赤穂浪士の遺児救済を必死に考えるきよの願いはかなうのか。堀部安兵衛に佐藤隆太、義父の弥兵衛に笹野高史、きよを御殿女中に仕込む江島に清水美沙など多彩な共演者が若き主役・武井咲を支えている。

掲載2019年09月20日

「さざん花の女」
つらい過去を持つ芸者と藩の改革を目指す気鋭の若侍の身分違いの恋のゆくえは
人を信じることの大切さとは? 山下耕作監督が秋吉久美子主演で描く山本周五郎の名作

(さざんかのおんな ) 出演者:秋吉久美子/隆大介/鈴木瑞穂/内藤武敏/山本ゆか里 ほか  1987年

掲載2019年09月20日

さざん花の女
「さざん花の女 」
©東映

 芸妓の八重(秋吉久美子)は、少女だったころ、さざんかの花の下である若者と出会った。しかし、彼女は貧しさのため、芸妓となり、酔客の相手をする日々だった。それでも、暇を見つけてさざんかの花を絵に描いていた八重は、ある日、江戸から戻ったばかりの若侍と出会った。後日、酒の席で再会した彼は、城代家老の跡取り息子・結城新一郎(隆大介)だとわかる。その席で、八重が大切にする母の形見の三味線を、新一郎の連れ(平泉成)が踏みつぶすのを見た新一郎は、「すまなかった」と彼女に謝り、ふたりは恋に落ちる。芸妓仲間からは漢学や絵を描くことで陰口を言われ、「私とは違い過ぎる」と悩みながらも、「自分を信じて待っていてくれ」と妻にするという新一郎の言葉を頼りに生きる八重。そんな彼女に新一郎の伯父の桑島(鈴木瑞穂)が身を引いてくれと頼みに来る。一方、藩の改革を目指す新一郎の立場も苦しくなっていくが...

 ここまでなら、身分違いの悲恋だが、この後、八重の運命は意外な方向に動き出す。秋吉久美子は、少女のみずみずしさとおとなの女の色気の両方を感じさせて美しい。また、彼女にからむ悪侍の平泉、姉さん芸妓(佐野アツ子)ら周囲の人々もどこかコミカルで面白い。人間をあたたかく見つめた山本周五郎の名作を映画「花と龍」など花にこだわったといわれる山下耕作監督がしっとりと映像化した。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。