ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2011年06月03日

『大江戸を駈ける!』
人気者根岸求馬(原田龍二)が隠密同心に!
タイトル通り江戸を駆け巡り事件を追う。

(おおえどをかける!) 2000年

掲載2011年06月03日

名奉行根岸肥前守(田村高廣)の孫・求馬(原田龍二)は、祖父から直々に「隠密廻り同心」に任命された。それまでフリーターのごとく、自由な立場で事件を追った求馬だが、これからは責任が大きい。張り切った矢先、なんと、肥前守の好物の大福に毒が入れられるという事件が発生。求馬は、岡っ引きの為吉(湯原昌幸)らと、町を駈ける。
 前シリーズ「怒れ!求馬」「怒れ!求馬�U」で、若さあふれる青年探偵として人気者となった求馬が、職務としての事件探索。剣の師匠役の夏八木勳、ライバルのルー大柴など、新メンバーも加わっての新シリーズとなった。そのキャッチフレーズは「花のお江戸のサスペンス」。求馬は、祖父や師匠、さらに江戸の知識人蜀山人(植木等)らの教えを受けながら、難事件に立ち向かう。第9話「秘剣!闇の太刀」では、求馬が恐ろしい遣い手と戦うことに。悲恋に泣く芦川よしみが美しい。また、最終話では再び肥前守に危機が。幕府中枢部も巻き込んだ陰謀に、求馬がどう挑むか。
 ペリーは、原田龍二ご本人にインタビューした際、肥前守はじめ、多くの大ベテランがあたたかく見守り、応援してくれた素晴らしい現場だったとの話を聞いた。故・田村高廣からは手紙がとどいたこともあったという。大先輩の教えを直に受け、時代劇の未来を担うひとりとしての原田龍二の存在は大きい。

掲載2011年05月27日

『御宿かわせみ1(主演:真野響子)』
江戸情緒と推理劇の面白さで人気のシリーズ
原作者・平岩先生の作品への思いがあふれる。

(おんやどかわせみ1) 1980年

掲載2011年05月27日

江戸の後期。大川端の小さな宿屋「かわせみ」の女主人るい(真野響子)は、おさななじみで、与力神林家の次男・東吾(小野寺昭)とは相思相愛の仲だが、身分違いの上、しかるべき家から嫁とりをすることを期待される東吾とは、正式に夫婦になることは難しい。真剣なふたりの恋模様と、宿屋にからんだ事件を軸に、江戸の情緒がたっぷり描かれる。
 80年、NHKで放送が始まり、人気を博した理由の第一は、真野響子の清潔な美しさと恋する女の愛らしさ、小野寺昭のおっとりした坊ちゃんぶりの絶妙なバランス。また、東吾の親友で同心の畝源三郎(山口崇)のまじめな人柄、軽妙な岡っ引き長助(大村崑)、かわせみの番頭嘉助(花沢徳衛)らベテランの安定した演技も大きい。さらに事件も、怪談調の「江戸の怪猫」や父子の情愛を描いた「湯の宿」、さらにアリバイ崩しや嫁姑の確執からくる殺人など、本格的な推理劇も多く、ドラマファンを楽しませる。
 ペリーは、代々木八幡のお嬢様として育った作者の平岩弓枝先生にインタビューした経験が。るいは、「理想の女性」であり、だからこそ、つらい恋で成長していく姿を描いたと語られた。「るいは、せっかちな私には似てない」と笑顔の先生だが、恩師長谷川伸先生の志を受け継ぎ、江戸の人の心を伝え続ける。和やかで、爽やかな先生であった。

掲載2011年04月08日

『編笠十兵衛』
隠密高橋英樹の目から見た「忠臣蔵」
池波正太郎の人気作を名監督陣が演出

(あみがさじゅうべえ) 1974年

掲載2011年04月08日

編笠十兵衛こと月森十兵衛(高橋英樹)は、父子二代に渡って、将軍家より密命を受ける家系。父は柳生十兵衛の庶子として母方の姓を名乗った。十六歳で祖父の名前を受け継いだ月森十兵衛は、剣の腕は天才的。浪人として愛妻と暮らすが、葵のご紋の入った公儀御用の手形を所持する隠密であった。その十兵衛を手足のごとく動かして世情を探索させるのが、中根平十郎(片岡千恵蔵)。彼らはやがて、浅野内匠頭の松の廊下の刃傷事件から、家臣四十七士の仇討ちを密かに見守ることになる。
 高橋英樹×千恵蔵、さらに十兵衛と交流する奥田孫太夫に大友柳太朗と聞いただけで、「役者は揃った!!」という感じだが、目が離せないのが、伊藤雄之助の吉良上野介。好色にして貪欲な上野介で、憎いはずなのに、どこか愛嬌すら感じられるのは、この人ならではの味といえる。十兵衛と宿命的な対決をする舟津弥九郎(成田三樹夫)の不気味さや、気風のいい女賊お俊(葉山葉子)、上杉家を守るために命をかける小林平八郎(露口茂)の人物描写の面白さは、さすが池波正太郎原作作品。さらに、演出陣がまたすごい。田中徳三、松尾正武、池広一夫、三隅研次など、時代劇を知り尽くした面々。市川雷蔵の「眠狂四郎」などで腕をふるった監督たちだけに、十兵衛の剣は華麗に決まる。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。