ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2010年12月03日

『運命峠』
徳川家康の子でありながら孤高に生きる男
田村正和にしかできないクールな存在感。

(うんめいとうげ) 1974年

掲載2010年12月03日

徳川家康の子として生まれながら、孤高に生きる運命を背負った秋月六郎太(田村正和)。
天草で静かに暮らしていた彼には、やがて激しい戦いの日々が待ち受けていた。
原作は「眠狂四郎」で知られる柴田錬三郎。作者は、田村版の眠狂四郎がお気に入りで、この作品も応援していたという。
派手な着流しにクールな表情。田村正和がもっとも得意とするキャラクターの六郎太は、当然のごとく、美女と次々関わることになる。炎の中で崩れ去った大坂城の主・豊臣秀頼の寵愛を受け、子を産んだ桂宮蓮子、家康のために毒殺された織田信次の娘・漢家千草など、ワケありセレブ女性ばかりなのも彼らしさ。
「百万両の遺産」の回では、落城した大坂城に莫大な軍用金があったとのうわさから、あやしげな人間たちが動き出す。金のありかを示した絵図面があるのか。六郎太は、「比丘尼屋敷」と呼ばれる邸宅にひっそりと暮らす妖艶な女(磯村みどり)の存在に注目。「そなたは粗暴な男じゃの」と言いながら、六郎太に迫る女。このままからめとられるのか…。
一方、彼に手料理などを届ける可憐な娘・月江(岡田可愛)。しかし、彼の父は、軍用金を狙う者たちに殺されてしまった。
「戦というものが人を狂わした」
世の無情を知り尽くした六郎太の生き方は、現代にも響くものがある。

掲載2010年11月19日

『大奥スペシャル もうひとつの物語』
記録から消し去られた悲しい事件。
深田恭子・貫地谷しほりが“女の牢獄”に!

(おおおくすぺしゃる もうひとつのものがたり) 2006年

掲載2010年11月19日

六代将軍家宣のころ。大奥に武家娘ゆき(深田恭子)が奉公にあがる。貧しさから、思いを寄せる男のことをあきらめて、ここへ来たのだった。右も左もわからないゆきは、ドジをしては周囲を呆れさせるが、総取締りの滝川(浅野ゆう子)から、「おまん」という名前を与えられ、心を許せる友人おしの(貫地谷しほり)や奥の女たちの雑用を引き受ける「ごさい」の伸吉(吉沢悠)らと、厳しいながらも楽しい日々を送っていた。
そんな折、大奥では毒騒ぎが。その騒動で走り回ったおしのは、偶然にも上様と遭遇。気に入られたおしのは、そのまま側室となることに。異例の出世を喜ぶはずが、おしのは悲しげ。心配するおまんは、大奥で将軍暗殺計画があることを知る。
恋しい男のために命を投げ出す女。深田恭子は、可愛いながらもしたたかに生きていく女の子を好演。貫地谷しほりは、心に秘めた思いをほんわかと表現して、こちらも可愛い。
悲しみを経験しながら、成長していくおまん。「大奥」は女の牢獄であると同時に、女の成長の場でもあることを思い出させる。
今回は、毒殺騒ぎもあって、大奥の名物ガールズ、葛岡(鷲尾真知子)、吉野(山口香緒里)、浦尾(久保田磨希)が大活躍。「美味でございますぅ~」と言いながら、浦尾は毒は大丈夫なのか? このあたりもお楽しみに。

掲載2010年10月29日

『大奥スペシャル〜幕末の女たち〜』
毒!毒!毒!陰謀と女たちの悲しい過去
瀧山・浅野ゆう子にあるのは悪意か善意か!?

(おおおくすぺしゃる〜ばくまつのおんなたち〜) 2004年

掲載2010年10月29日

外国からの圧力で、世情に不穏な空気が漂う中、江戸城では、将軍徳川家定(北村一輝)と薩摩出身の篤子(菅野美穂)の婚礼が執り行われた。家定にとっては、これが三度目の婚礼。過去の二人の正室は早く亡くなり、世継ぎはいない。ところが、篤子は、家定との寝所に刀を持ち込み、大騒動に。大奥総取締の瀧山(浅野ゆう子)の指示で、篤子の道具は洗いざらいチェックされ、篤子と瀧山の対立は激化する。女たちの戦いの外で、奇抜な言動を繰り返す家定は、自らカステーリャを作って家臣にふるまうのが、唯一の楽しみ。家臣には嫌がられてはいたが、毒見役の松之介(金子貴俊)とだけは気が合い、ふたりはしばしばカステーリァを作る。しかし、その手作りのカステーリァを食べた次期将軍候補・紀州徳川家の徳川慶福が苦しみだし、毒が入っていたことが発覚。松之介は自害して果てる。
次々発覚する毒殺の陰謀!! 罪人の子であった若き瀧山の苦しい過去、「大儀のためとは人が死ぬのは嫌じゃ」と泣く将軍家定の深い孤独、将軍暗殺をささやかれた篤子の決心など、さまざまな事情が明らかになるスペシャル版。「たとえ絹をまとっていても、腹の中は真っ黒な泥だらけ」など、瀧山の名言も多数飛び出すので要チェック。慶福の母役で野際陽子が出演。少年の慶福の母として、若々しくもすごい貫禄を見せる。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。