ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2010年10月22日

『鬼平犯科帳スペシャル 一本眉』
宇津井健が、筋の通った盗賊「一本眉」に
大路恵美の女盗賊も見逃せない。彦十も復活

(おにへいはんかちょうすぺしゃる いっぽんまゆ) 2007年

掲載2010年10月22日

江戸で急ぎ働きの兇悪な盗賊が暗躍。錠前がきれいに切断されており、その手口から、火盗改め方は捜査をするが、なかなか手がかりがつかめない。そんな折、同心木村忠吾(尾美としのり)は、料理屋で眉毛のつながった男と親しくなり、密かに「一本眉」と呼んでいた。その男こそ、清洲の甚五郎(宇津井健)という盗賊の首領。甚五郎は、密偵と知らず、おまさ(梶芽衣子)に「一世一代の仕事をする。手伝ってくれ」と頼む。甚五郎には、倉淵の佐喜蔵(遠藤憲一)という手下がいたが、分裂。急ぎ働きは、佐喜蔵の仕業だった。二組の盗賊の対立は、悲劇を呼ぶ。
鬼平を演じる中村吉右衛門と宇津井健は、実に38年ぶりの共演。宇津井は「50年間役者をやってきてアウトロー役は初めて。わくわくしている」と感想を述べている。往年の名ドラマ「ガードマン」のキャップ時代と同じく、ここでも名リーダーとして若い者を引っ張っている。また、「剣客商売」で女剣士・佐々木三冬を演じた大路恵美が、筋を通す女盗賊として登場。池波時代劇ファンとしては、うれしいところ。最近はNHKの朝ドラマなどで「いいお父さん」にもなる遠藤憲一は、やっぱり凶賊がうまい! 
江戸家猫八さん亡き後、六年間空席だった「彦十」の役をこの回から、長門裕之が継承。軽妙な味を出している。

掲載2010年09月24日

『鬼平犯科帳スペシャル 高萩の捨五郎』
鬼平VS兇悪盗賊・妙義の團右衛門!
捨五郎と粂八ら密偵の男気が光る。

(おにへいはんかちょうすぺしゃる たかはぎのすてごろう) 2010年

掲載2010年09月24日

平成22年に放送された円熟味あふれる「鬼平」長編。
盗賊が狙う店の人数・見取り図などを性格に調べて情報を売り渡す「嘗め役」の高萩の捨五郎(塩見三省)は、妙義の團右衛門(津川雅彦)から深く信頼をされていた。その捨五郎が、こどもを助けようと侍の集団に立ち向かい、足に大怪我を負う。偶然、彼を助けたのが火盗改めの平蔵だと粂八(蟹江敬三)から、聞かされた捨五郎は、密偵になる決意をする。
三年後、江戸では悪事を働いていなかった團右衛門が、捨五郎と偶然出会い、「鬼平に一泡吹かせたい」と言い出す。そのため、平蔵の役宅にも仕掛けをしてあるという。
津川が、女好きの凶賊を妖しげに演じる。中村吉右衛門との共演は、69年の山本周五郎原作の「ながい坂」以来、実に41年ぶり!
吉右衛門は「今回はご兄弟そろってご出演いただいて(津川の兄・長門裕之は彦十役で出演)充実したキャスティング」と共演を喜び、津川も「今回は平蔵に一泡ふかせようとする大泥棒ですから、一泡吹かせるだけのたくらみを持った男にならなければならない。なおかつやられるときは見事にやられないといけない。難しい役」と意気込みを語っている。
自分の愛人や仲間までも見捨てて、凶行をたくらむ團右衛門を鬼平がどう追い詰めるか。密偵たちの絆も見所のひとつ。

掲載2010年09月17日

『右門捕物帖(TV長編)』
杉良太郎の右門と坂上二郎の伝六の名コンビ
瓦版屋の林家木久扇、妖艶夏木マリも見物

(うもんとりものちょう) 1989年

掲載2010年09月17日

「右門捕物帖」といえば、推理力抜群だが、無口な“むっつり右門”が活躍する佐々木味津三の人気大衆小説。戦前戦後を通じて、三十数本が映画化されているが、70年代以降、この「右門」役を当たり役のひとつにしているのが、杉良太郎。人情家で、時には周囲が止めるのも聞かずに、巨悪に斬りこんでいく姿は、杉のほかの主演作と共通している。一方で、どこか愛嬌も残し、相棒のおしゃべり伝六のおしゃべりにうんざりしたり、きゃーきゃー騒ぐ女子から逃げ出したりと、独自のキャラクターを作っているのも面白い。
今回の始まりは、正月の流鏑馬。大勢の見物客がいる中で、弓矢による殺人事件が発生。たまたま居合わせた伝六(坂上二郎)は、あやしげな若い侍と格闘になるが、逃げられる。そこに落ちていた印籠を手がかりに探索を始めた右門は、殺された男の家に父の帰りを待ちわびるお妙と勇吉姉弟の存在を知る。
南町奉行・神尾元勝(田村高廣)から聞いた話から、右門は事件には長崎での陰謀がからんでいると推理する。「おめえさんにはかなわねえな」べらんめえな田村お奉行はカッコいい。
瓦版屋でお茶目さを見せる林家木久扇と、あばたいっぱいメイクで笑わせる右門のライバルあばたの敬四郎役の長門勇、妖艶な夏木マリも見物。しじみ売りの勇吉から、山盛りしじみを買った右門の困惑顔もいい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。