ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2008年10月31日

『大奥(2003年)』
21世紀に大奥ブームを巻き起こした平成版
浅野ゆう子の瀧山が幕末大奥を仕切る。

(おおおく) 2003年

掲載2008年10月31日

島津斉彬(本田博太郎)の養女となり、将軍家定(北村一輝)の御台所として大奥に入った篤子(菅野美穂)。故郷の幼なじみとの婚約を破られ、落ち込む篤子の前に登場したのは、1000人の女たちを束ねる大奥総取締・瀧山(浅野ゆう子)だった。
 いきなり田舎者扱いはされるは、魚を平らげれば笑われるは、納得のいかない大奥生活に怒る篤子。それを承知で台所に行き、篤子の部屋に薬を仕込むように指示する瀧山…。
怖い怖い。が、実はそれぞれの立場から、大奥を、徳川を守ろうとする女の一途さが描かれ、大きな話題になったシリーズ。
 後半は、家定亡き後、将軍となった家茂(葛山信吾)と公武合体のために都から嫁いできた皇女和宮(安達祐実)の物語。政略結婚のふたりだが、やがて心を通わせ、ナイスカップルに。しかし、幕末の嵐がふたりを引き裂く。大奥でも御所風に優雅に過ごす和宮を気に入らず、「なんじゃ、あの態度は」ウッキー!!と暴れまくる家茂の母(野際陽子)もいい味を出す。
 この作品は、海外でも人気で、記者会見で浅野ゆう子は旅行先で「タキヤマ!」と声をかけられ、リアクションに困ったというエピソードを披露している。
 幕末を舞台に、崩壊する幕府と大奥の引き際をきっちり描いたことでも注目される。

掲載2008年09月05日

『あばれ八州御用旅』
蘭学医にして剣士の「影の八州」登場。
“あばれ”といえば、西郷輝彦で決まり!

(あばれはっしゅうごようたび) 1990年

掲載2008年09月05日

神田で開業する蘭学医・藤堂平八郎(西郷輝彦)は、医師としての腕もいいが、北辰一刀流の遣い手でもある。犯罪の増加に手を焼く老中・水野忠邦(中村梅之助)に「影の八州」となって闇にはびこる悪の退治を命じられた平八郎は、まじめ人間の部下(新田純一)とともに宿場を回り、凶悪犯に対しては、白装束で「斬り捨て御免」の大暴れをみせる。
 第四話では、ねずみ小僧の芝居が人気になっていた粕壁宿で岡っ引きが殺され、早速、平八郎が探索を開始。そのころ、江戸では、義賊と評判のねずみ小僧(堀内正美)が捕縛されて大騒ぎになっていた。粕壁の旅役者が、江戸のねずみ小僧が本物ではないと平八郎に伝えた直後に殺され、江戸の騒動と意外な接点が浮かび上がる。本物の悪はどこにいるのか。賞金稼ぎの山崎哲之介(竜雷太)もからんで、極悪人を追い詰める。「最期の花道にふさわしい化粧を」と思いつめる堀内正美の演技が印象的。
「地獄送り影の八州」と書付をぶつけて戦う、平八郎が江戸では妻(加納みゆき)にべったりされる夫という設定が面白い。「あー、旦那様はどこの宿場やら」と身もだえする妻に、「お嬢様!」とたしなめる使用人(ビートきよし)も面白い。♪たかが男〜と歌い上げる三好鉄生の主題歌もいい感じ。

掲載2008年08月29日

『女次郎長ワクワク道中』
時代劇に二丁拳銃のガンマン登場!?
笠置シヅ子が、歌って笑わせる痛快劇

(おんなじろちょうわくわくどうちゅう) 1951年

掲載2008年08月29日

大阪一の侠客・布袋の仙右ェ門のひとり娘おしづ(笠置シヅ子)は、船場の大商人阿波屋の次男勝次郎(キドシン)と見合いすることに。しかし、気に入らないおしづは、そこから逃げ出して、大騒動。勝次郎も江戸へと旅に出てしまう。ふたりは、偶然、同じ船に乗り合わせるが、お互いが誰かは気がつかない。船でのど自慢が始まると、おしづは早速歌いだす。夜道でやくざの三次(伴淳三郎)に脅されると、逆に脅し返し、賭場に案内させて大勝負に出るおしづ。勝ちまくって、女次郎長とおだてられるが、そこに本物の次郎長と、なぜかカウボーイハットに二丁拳銃の白人ガンマンが現れて?
 笠置シヅ子が暴れん坊のお嬢様に。愛嬌たっぷりに得意のブギを歌ったかと思えば、宿屋ではどんぶり飯をペロリ。「わてはこれでも次郎長のめいで!」とすごんでみせる。賭場がルーレットで、「おっさん、景気よう回してや!」とコメディエンヌとしてはノリノリの時期だということがよくわかる。
 二丁拳銃の俳優は、当時ハリウッドで人気者だったケニー・ダンカン。投げ縄も披露して、「ヨウ言ワンワ」とオチまでつける大活躍。
本物の次郎長が、おしづに人としての生き方を悟らせる場面も見物のひとつ。
 笑って泣いて、楽しんで。カラッと楽しめる痛快編。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。