ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2007年09月27日

『俺は用心棒』名前もわからぬ用心棒・栗塚が渋く活躍!第一回は近衛十四郎が洒落た浪人でゲスト。

(おれはようじんぼう) 1967年

掲載2007年09月27日

舞台は幕末。名前もわからぬ浪人(栗塚旭)が、行く先々で事件に巻き込まれる。「新選血風録」で、男たちの生き様を描ききった脚本家・結束信二と監督・河野寿一が全話を担当。悲惨な戦争を経験したふたりが、時代劇の場を借りて独特の世界を作り上げ、視聴率は20パーセントと好評を得た。
 シリーズ第一回のゲストは近衛十四郎。
 どこの城下かは定かではないが、この地も改革派と保守派が対立を繰り返していた。深夜、若党・敬助の実家である居酒屋に、敬助の主人で藩改革派の宮武洋一郎と腰元の萩江が逃げ込んでくる。彼らは藩保守派の目付けに追われていたのだ。有力者である萩江の実家へと脱出を試みるが、そこには裏切り者が…。偶然、萩江を助けたのが、飄々とした浪人・山川大蔵(近衛)。彼は男勝りの馬子(中曽根美樹)と策を練る。
 一方、居酒屋でただ酒を飲んだ浪人(栗塚)は「酒代の代わりに」と敬助の敵と戦うことに。大勢(川谷拓三も)を相手にしても、「お前らの顔が酒の肴に見えてくるぞ」といつもの調子の近衛先生。その立ち回りの冴えはここでも光っている。また、「侍なんぞにならんでも」と息子を案じる敬助の老父(吉田義夫)の存在感は抜群。中曽根美樹が、威勢はいいが、可愛い女を好演している。ラストの栗塚・近衛の出会いシーンもお見逃しなく。

掲載2007年09月20日

『稲妻奉行』薩摩藩の陰謀に嵐寛寿郎の大岡裁き!新東宝映画の天知茂、御木本伸介も登場

(いなづまぶぎょう) 1958年

掲載2007年09月20日

白昼、酔って町人を斬るなど、やりたい放題の薩摩藩士達を、ついに捕らえて、みせしめのために処刑した南町奉行駿河守(中村彰)。それを知った薩摩藩は、老中水野忠邦(高田稔)に猛抗議し、責任をとった駿河守は切腹を申し渡された。薩摩のこのやり方に、いつか、奉行の仇を討とうと決心した男がいた。与力筆頭の大岡忠右衛門(嵐寛寿郎)である。
 その腕を見込まれて、南町奉行大岡越前となった忠右衛門は、薩摩の姫君が将軍家に輿入れする際に持参するはずだった名刀盗難事件探索を始める。この名刀を押さえれば、薩摩の悪行阻止の突端をつかめるはずだった。
 正義のため奉行職を拝命した越前が老中に、「それがしの一命にかえましても」とひれ伏す場面には、男と男のドラマを感じる。また、黒頭巾で屋根を飛び回り、悪人相手に「恐れ入ったか!」と見得を切るなど、思わず「天狗のおじさん」と声をかけたくなるような、奉行とは思えないアクションもいろいろだが、そこはアラカンならではの遊び心ともいえるのかも。予算的にも条件はよくなかった新東宝映画で、顔に傷があり、悪のニオイがぷんぷんする秋月典膳役の天地茂や、後に中村吉右衛門版の「鬼平」でも活躍した御木本伸介も登場。講談として庶民に親しまれる「大岡政談」の中でも、越前初登場編をドラマチックに描いている。

掲載2007年08月09日

『青蛇風呂』伝説の蛇女優・毛利郁子の妖艶演技! 宣伝文句は「美女の乳首に蛇の鎌首」

(あおへびぶろ) 1959年

掲載2007年08月09日

映画全盛期には、数々の怪奇映画が作られたが、この「蛇シリーズ」もなかなかのもの。
主演の毛利郁子は、“蛇女優”といわれ、プライベートでも蛇を飼っていたといわれている。
 物語は、料理茶屋白藤で、主人清吉(伊沢一郎)の弟佐吉(高倉一郎)の婚約披露から始まる。宴会の最中、佐吉は盗みの疑いで捕まり、清吉と内儀おえん(毛利)は狼狽。さらに証拠の品が店で見つかり、困った清吉は証拠隠滅のために証人の使用人源七(市川謹也)に毒酒を飲ませ、井戸に投げ込んでしまう。その夜から、白藤では奇怪なできごとが頻発。事件の裏に何かあるとにらんだ北町奉行所の開小源太(島田竜三)は、調査を開始する。途中、岡っ引きの兵六(中田ダイマル)がうっかり十手を井戸の中に落とし、探しにいくが、井戸から死体は消えていた…。
 全体にポワワ〜ン、ポワワ〜ンと怪談らしい音楽が流れ、ついにおえんの湯殿に大量の蛇が! 全身に蛇を巻きつけ、「お前さん助けて!」と絶叫するおえんの妖艶ぶりはさすがの貫禄だ。蛇と風呂を合体させたアイデアも鋭いが、当時の資料によると、この映画の宣伝文句は「何を狙うか青蛇の眼!何も知らない浴槽の美女!」「美女の乳首に蛇の鎌首!」など、ナイスな言葉とともに、毛利郁子のことを「蛇グラマー」とも呼んでいる。蛇グラマーの熱演と怪奇な世界を堪能したい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。