ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2007年07月05日

『大江戸捜査網』ついにシリーズ最終回!傷つき苦悩する隠密同心たちの明日は。

(おおえどそうさもう) 1970〜92年

掲載2007年07月05日

隠密同心・板前の直次郎こと天竜寺隼人 (橋爪淳)は、浪人・秋月新十郎(京本政樹)、芸者・流れ星お蝶(中村あずさ)、矢車おせん(荒井乃梨子)とともに、江戸の治安を影から支えていた。
 ある日、知り合いの娘お千代が誘拐され、直次郎に身代金を持ってくるよう要求がある。現金調達のため、隠密同心を組織した老中・松平定信(若林豪)配下の小笠原(和崎俊哉)に交渉するが、「大事な隠密同心の命を危険にさらすことはできない」と受け渡しに出向くことを禁じられてしまう。自分のために娘を犠牲にしていいのか。悩む直次郎。一方、忍びがらみのただならぬ連中の動きを察知した新十郎に敵の毒矢が! お蝶の必死の探索にも関わらず、今度は直次郎までが目隠しをされたまま連れ去られる。その裏には松平失脚を狙う恐ろしい影が…。
 「隠密同心心得の状」もいよいよ今回が最終回。直次郎を狙う強敵に、数多くの映画で活躍する山田辰夫が登場。あの個性的な声で「お前とは決着を」などと迫ってくる。そんなギリギリの闘いも知らず、直次郎の働く桔梗屋では、ダメ同心(竜虎)がいつものように美人女将(山本リンダ)を「直次郎のことなんか、どうでもいいんでないの」とおネエ言葉?で口説いている。いつもの面白さに加えて、隠密同心ゆえの哀愁、命の意味など問いかける仕立てになっている。

掲載2007年05月17日

『あずみ』美しき最強の刺客あずみの苦悩 オダギリジョーの殺人鬼美女丸にも注目

(あずみ) 2003年

掲載2007年05月17日

小山ゆうの人気マンガを、思い切ったアクション映像で知られる北村龍平監督が映画化。アイドルとして人気の上戸彩が映画初主演。体当たりで激しい立ち回りに挑戦する。
 徳川幕府が開かれて間もないころ。まだ徳川家に遺恨を持つ者も少なくなかった。小幡月斎(原田芳雄)は、戦乱で孤児となった10人を山深い谷里で特殊訓練し、反徳川派を抹殺する刺客として世に放つことにする。あずみ(上戸)、ひゅうが(小橋賢児)、ながら(石垣拓磨)らに対して、月斎が命じた最後の試練は、「仲間ふたり同士で殺しあえ」というものだった。あずみは反射的に想いを寄せていたながら(小栗旬)を斬る。そして、旧豊臣に近い大名浅野長政(伊武雅刀)と加藤清正(竹中直人)の暗殺に挑む。
 少女からおとなになりかけたあずみは、心の揺れを自覚しつつも、刺客の生き方を選ぶしかない。壮絶な闘いが繰り広げられる中、清正の側近・井上勘兵衛(北村一輝)が恐ろしい殺人者・美女丸(オダギリジョー)をあずみの前に差し向ける。白い着物に赤い薔薇。人殺しを快楽にし、狂気の目をしたオダギリが怖い!クライマックスはなんと200人を相手にあずみが剣をふるう大立ち回り。当時、取材に来た記者たちも遠くのほうで“死体役”になったというほど、本物の大人数が立ちふさがる。竹中・北村の味の濃い演技も絶好調。

掲載2007年04月12日

『父子鷹』松本幸四郎、市川染五郎共演の初時代劇。息子思いの物語は、現実と同時進行!?

(おやこだか) 1994年

掲載2007年04月12日

幕末のヒーローのひとり勝海舟。その若き日々と彼を支えた家族を描いたのが、この「父子鷹」。映画全盛期には、市川右太衛門・北大路欣也父子の共演で話題になったが、テレビでは、松本幸四郎・市川染五郎に共演が実現。染五郎にとっては、初のテレビ時代劇作品になった。
 幕末。御家人の勝小吉(幸四郎)は、豪放磊落、身分の隔てなく弱い者の見方をする小吉は、庶民からは人気があるが、武士としての出世とはまるで縁がない。しかし、その跡取り息子の麟太郎(染五郎)が文武両道なかなか出来がよいと知るや、小吉は息子の出世のために奮闘する決心をする。その暴走ぶりは、はたから見るとまさに「親バカ」に近く面白いほど。第二話「親離れ子離れ」の回では、評判の町道場に麟太郎を預けることに。その道場主・島田虎之助(梨本謙次郎)がどんな男か、さっそくリサーチを始める小吉だが、「あの男の剣は強いがまともすぎる」と判断。虎之助を色町に誘い、無理やり遊ばせようとするのであった。とにかく即断即決、自分が悪侍に狙われているのに、そっちは気にも留めずに暴走する小吉という男の痛快な生き方が、後にべらんめえの勝海舟に影響したこしは間違いない。「土の上での芝居は初めて」という染五郎を幸四郎はしっかり支える。現実的父子鷹ドラマになったのだった。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。