ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年01月11日

「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」高橋英樹の豪快な立ち回りが炸裂。若き竹内力のチョー嫌味意地悪演技も光る。

(あらきまたえもん けっとうかぎやのつじ) 1993年

掲載2006年01月11日

荒木又右衛門といえば、有名な剣豪として数多く映像化されているが、今回はその家庭環境や心情もていねいに描き、苦渋の選択としてあだ討ちに臨む男を描く。
 愛妻家で多くの人から慕われる荒木又右衛門(高橋英樹)のもとに源太夫(武田真治)が、河合又五郎(竹内力)に惨殺されたことを知る。又五郎は、又右衛門の親友・河合甚左衛門(夏八木勲)夫婦の身内の上に、悪人旗本グループにかくまわれてしまう。悩んだ末にあだ討ちに向かう義弟・渡辺数馬(西村和彦)の助太刀を決意する又右衛門。やがて、そのあだ討ちは、「旗本VS大名」という大騒動に発展...。
 ご存知、荒木又右衛門の三十六人斬りといわれる大あだ討ちの物語。豪快な立ち回りで知られる高橋英樹ならではの迫力が活かされている。が、池波正太郎の原作にある、家庭人としての又右衛門、旗本・大名の意地の張り合いなど、背景も描かれていて興味深い。
 製作は88年で、当時の若手、西村、武田、竹内の力演も光っている。特に「俺が出世できないのは、お前が悪口を言ったせいに違いない!!」と、源太夫にいちゃもんをつけ、とうとう相手を殺してしまう竹内力はとても若手とは思えないネチネチ感。大久保彦左衛門(大滝秀治)に、「又五郎、いかにも悪相じゃのう!」と言われてるし。現在の竹内力の貫禄がすでに?この点にも注目。

掲載2005年12月15日

「女ねずみ小僧スペシャル3 狙われたからくり城!史上最悪のダイハード」忍び込んだ城がテロリストに占拠!三谷幸喜脚本。笑いの仕掛けも満載長編。

(おんなねずみこぞうすぺしゃる3 ねらわれたからくりじょう!しじょうさいあくのだいはーど) 1995年

掲載2005年12月15日

少々ドジな男ねずみ留吉(伊武雅刀)が姿を見せないと「留がいないと仕事がやりやすいねえ」などとのんきなことを言っていた女ねずみ小僧お凛(大地真央)。しかし、読めないような文字で書かれた書置きを見つけ、部下ねずみお民(森下瑤子)とともに南国鴨田藩の城に隠し金を探しに行くことに。
 到着してみれば、そこはさすが南国。農民は見たこともない作物を運んでいた。甘い香りのする食べ物を何かと尋ねれば、「バナンナ」。つまり、バナナ! いったいどこまで行っちゃったのか、ねずみ一団だが、侵入した城でビシビシ床など磨かされて働かされ、やっと隠し金を探そうと思ったら、なんと城にテロリスト集団が乱入。占拠してしまった。
 からくりだらけの城はうっかりすると、すぐに床下へ転落の目にあうが、女ねずみはいつもの機転で大活躍。
 テロリストリーダーの中野誠也、中条きよしがとぼけた家老役で好演。また、留吉が世話になる不思議な人物・岸部シローが、脱出できない城の中で奇怪な食べ物を開発するなど、本筋と関係ないところに仕掛けがいっぱいなので要チェック。エッセイでは時代劇執筆にあたり、悩んだという三谷脚本だが、スペシャル第三弾となる本作では大いにふっきれた感がある。

掲載2005年11月03日

「大奥'83」第17話「女の情に蛇が棲む」 いつの時代も「大奥」はドラマチック!可憐な大場久美子に魔性の罠が迫る。

(おおおく) 1983年

掲載2005年11月03日

現在、地上波では、「大奥 華の乱」が放送中。内山理名、藤原紀香、小池栄子らが華麗なバトルを繰り広げられている。
 これまで多くのドラマを生んできた「大奥」だが、カジュアルなドラマがもとはやされた80年代に、ずっしり貫禄を見せたのが、「大奥83」。関西テレビ開局25周年の記念作品らしく、山田五十鈴、草笛光子ら大御所から、紺野美沙子、斉藤慶子ら当時のアイドル女優も多数出演。ちなみに、現在の「大奥 華の乱」で、わがまま将軍綱吉を溺愛するママ桂昌院役で出演している江波杏子は、「83」の31話にも出演。ナレーションの岸田今日子とともに「大奥ダブルキョウコ」として君臨しているのである。さすが。
 一話完結スタイルの「83年版」17話は、大奥に奇怪な面をつけた女が出没。「もののけ?」と大騒ぎになる中、下働き女中お波(大場久美子)にも魔の手が迫る。お波は、同郷のおせん(木の実ナナ)や怖い顔の御局様(野際陽子)に相談する。大奥にはかつての火事で火傷を負い、面をつけた女たちがひっそり暮らしていると聞き、事情を探るが、事件はますます奇怪な展開に…。「妖怪人間ベム」に出てきた女妖怪のようなすごい迫力で、大奥の魔性が登場。エロあり、妖気あり、現在よりもちょっとアダルト?な大奥を楽しめる。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。