ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年08月25日

「女盗賊忍び舞い」艶っぽい真野響子の女盗賊。彼女を守り、命をかける男たちが魅せる。

(おんなとうぞくしのびまい) 1983年

掲載2005年08月25日

真野響子の時代劇といえば、平岩弓枝原作の「御宿かわせみ」の美人若女将が知られているが、本作ではイメージを一新。なんと男どもを引き連れる盗賊団の親分である。
 ふだんはきっぷがよくて舞の名手として人気のある芸者おこう(真野)には、「おとっつあん」と呼ぶ寺の住職(内田朝雄)がいる。この「おとっつあん」こそ、かつては大盗賊といわれた人物なのだが、現在はみなしごを寺に引き取り、面倒をみる好々爺だ。おこうとその仲間たちは、寺の維持費を稼ぐため、将軍吉宗のやり方に反発するため、大胆な「人助けの盗み」を実行。謝礼をもらう裏稼業を繰り返していた。あるとき、「将軍の子を盗む」という大仕事が舞い込む。陰謀のにおいがするこの仕事に、仲間は反対するが、将軍に遺恨のあるおこうは、強気で引き受ける…。
 それぞれ表家業を持ちながら、おこうを助ける男盗人たち、参謀格の峰岸徹、動きの素早い三浦浩一、心ねのやさしい下條アトム、女好きの小野ヤスシ。人助けの盗みに誇りを持つ彼らは、どす黒い陰謀に巻き込まれ、それでも必死に女こどもを守ろうと命をかける。女性主役の時代劇としては、かなりハードな展開。ついに単独で江戸城へ乗り込むおこう。響子のきりっとした女盗賊姿も見ものだが、彼女を守ろうとする仲間たちの活躍からも目が離せない。

掲載2005年08月18日

「家光が行く」暴れん坊将軍の原点はここに?好青年竹さんこと仲雅美が町を行く!

(いえみつがいく) 1972年

掲載2005年08月18日

三代将軍家光といえば、名君として知られる。ただし、この番組の家光は、まだ正式に将軍にはなっておらず、「じい」こと大久保彦左衛門の屋敷に遊びに行っては、着流しの「竹さん(本名は竹千代)」に変身。町に飛び出す。
 主演は仲雅美。仲は、由美かおると共演した映画「同棲時代」でも話題になった70年代のイケメンスターである。「家光」であらためて見てみると、さわやかさの中に、地位を偽って町にいる苦しさも同時に表現。
 なぜか錦鯉をバックに殿様姿で登場するオープニングでは、「竹さん」とは違う気品も見せている。また、自ら歌う主題歌(音楽は大野雄二が担当)では「愛して別れてもいいじゃないか。若いときは感じやすいよー」などと若者の心情を明るく歌い上げる。まさに青春スターという感じである。
 共演は大久保彦左衛門にハナ肇、家光の初恋?の相手に青春ドラマのアイドル吉沢京子、影のある友人に目黒祐樹ら。ナレーターは広川太一郎で、いつものぶっちゃけではなく、真面目なトーンで語っている。最終回には「将軍となってはもう町へは出られない」と悩む家光だが、その後、八代将軍吉宗(松平健)は、「将軍になってから町へ飛び出す」という逆パターンを決行。人々から「暴れん坊将軍」と呼ばれるようになることなど、この家光は知る由もなかったのである。

掲載2005年07月20日

「女ねずみ小僧」大地真央率いる女ねずみ小僧軍団!意外な人も意外な役で出てました!?

(おんなねずみこぞう) 1989年

掲載2005年07月20日

「女ねずみ小僧」といえば、70年代に小川真由美主演で一世を風靡したシリーズ。艶っぽい美人が、実は名うての女盗賊で、悪党たちをぎゃふんと言わせる。痛快な展開だった。
 その跡をしっかり受け継いだのが、宝塚トップスターだった大地真央。泥棒装束の隙間からもくっきり見える濃いまつ毛と美白素肌で、伝統の艶っぽさはそのままに、今回は手下の女ねずみ軍団を率いるねずみのトップスターとしての登場だ。
 世間からは忘れられた赤目党の残党であるお凛(大地)は、自分たちを使い捨てにした幕府を嫌悪。一泡吹かせようと、義賊活動を続けているのだった。その女ねずみたちの大お頭は、東野英治郎。初代黄門様も、女ねずみたちの元気のよさには、例の笑顔で見守るしかなかったらしい…。
 お凛に気がある男ねずみに伊武雅刀、正体を知りながらお凛に近づく南町奉行に露口茂と、意外な顔ぶれがそろったが、よく見ると、ねずみをしつこく追い回す同心(橋本功)の下っ引きは、あの笑福亭笑瓶! トレードマークのメガネがないのではじめは誰かと…。
 それにしても、風魔の隠し財宝のありかを記した秘密の地図(魚のうろこにかかれてふだんは目の中に隠してある!)もあっさり返しちゃうし、女ねずみたちは欲がなさすぎ!? 彼女らの将来が気にかかる。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。