ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年01月31日

由美かおる祭り「大奥悪霊の館」可憐な由美かおるが悪霊に!!大河ドラマでも話題のあの人も熱演。

(おおおくあくりょうのやかた) 1981年

掲載2005年01月31日

二月はお待ちかね「由美かおる祭り」。その中でも、なかなか再放送される機会がなかったのが、この「大奥悪霊の館」。
 継母にいじめられる町娘・おとし(由美かおる)は、偶然、大奥へ上がることに。当時の大奥には、九代将軍・家重(和田浩治)の寵愛をめぐって、世継ぎを生んだお逸(山本みどり)と、彼女にギラギラと嫉妬するお幸(岩井友見)の対立が顕著になっていた。
 そんなところへ、大奥の「開かずの間」に悪霊が棲んでいるとうわさになる。体調をくずすお逸の方。死者も出て、いよいよ悪霊が本物かと思われたとき、おとしの運命は思わぬ方向に。なんと、将軍様から側女として寝所のお呼びがかかってしまったのだ!
 町娘からご側室へと数奇な運命をたどるおとしだが、彼女が出世するたび、開かずの間の龍の絵の目からは、血の涙が…。そして恐ろしげな語り口調とカッと見開いたすごい目つきのお局様(白石加代子)の存在も気になる。今年の大河ドラマでも独特のホラームード漂わす白石加代子のお局様は、将軍とおとしがいよいよベッドインという瞬間にも「ご無礼します」と入ってくる。ご無礼しすぎだよ!可憐な由美かおるの豪華打掛姿はくノ一とは一味違う美しさ。こちらにも注目を。

掲載2005年01月04日

「暴れん坊将軍Ⅲスペシャル 初富士の花嫁、吉宗の禁じられた恋!」 思わず吉宗の目が潤む悲恋。あの美女の入浴シーンにも注目!

(あばれんぼうしょうぐんすりーすぺしゃる はつふじのはなよめ、よしむねのきんじられたこい!) 1989年

掲載2005年01月04日

「後光がさすどころか、自分が光ってる!」「世の中を明るくした!」と大評判の「マツケンサンバⅡ」。松平健は、いまや時代劇俳優とシンガー・マツケンのふたつの顔を持つスターになった。その代表作といえば「暴れん坊将軍」。そのスペシャル版の中でも、特に刺激的なタイトルなのが本作だ。
 新年、忍者集団に襲われた娘を危機一髪のところで救った吉宗(松平健)。どことなく高貴なムード漂うその娘こそ、京都からはるばる江戸にやってきた、公家・一条兼房(穂積隆信)の姫・松子(賀来千賀子)だった。
 松子を自分の母上(中村玉緒)に預けた吉宗は、さっそく探索を開始。すると、そこには松子と水戸家の婚礼を阻止しようとする陰謀が浮かび上がる…。
 ふたりで町を歩き、ふれあううちに惹かれあう吉宗と松子。でも、松子には水戸家に許婚(金田賢一)がいる身。微妙な三角関係…。
 時代劇出演の多くない賀来千賀子が初々しい姫君を熱演。華麗な姫、町娘風、さらには入浴シーンまで! ほかのゲストでは悪女ながら気のいい旅の女を演じる森マリア、姿勢正しい若殿の金田賢一、時代劇では欠かせない悪役となった鹿内孝もいい味を出す。新春にふさわしい大仕掛けの長編。

掲載2004年12月24日

「円空」めざすは12万体の仏像作り。なぜ、円空は全国を行脚したのか?丹波円空が答えます。

(えんくう) 1988年

掲載2004年12月24日

「円空」といえば、全国で仏像を作っていた人、というくらいの知識しかない人も多いと思うが、その生涯はなかなかすさまじい。寛文8年(1668年)に苦しい旅路の末、母と慕う陀羅尼(樹木希林)の住む美濃の尼寺に帰ってきた円空だったが、現地は悲惨。日照りで田畑は枯れ、飢える人々がさまよい歩く。円空は、雨乞い仏善女竜王を彫り、川に投げ込む。すると、激しい稲妻とともに大粒の雨が。大喜びする村人と対照的に深く憂いの表情の円空。彼の母は、洪水に巻き込まれて命を落とした。12万もの造仏を決心したのは、その供養のためなのだった。
 脚本は、早坂暁。人生の過酷さを鋭く描く脚本家の作らしい人間ドラマだ。
 一方、どんなに悩んでいようとも堂々とした丹波哲郎円空は、ボロボロの山伏のようなスタイルに、坊主頭とヒゲで、一見、暴れん坊の僧といったイメージ。なた一丁のみ一丁で全国を歩いたといわれる円空だが、どこか神掛かってさえ見える。(ちなみにこの作品の翌年に映画「丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる」が公開。ますます霊界の宣伝マンとして脚光をあびることに)
 蝦夷地から女(倍賞美津子)が追いかけてきても、腰を落ちつけず長い旅に出てしまった円空。その浮世離れした雰囲気は、やはり丹波哲郎だからこそ、できた役に違いない。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。