ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年07月11日

「江戸を斬る 梓右近隠密帳」“元祖”江戸を斬る!若き竹脇無我の活躍と、由比正雪・成田三樹夫の怪演に注目。

(えどをきる あずさうこんおんみつちょう) 1973-74年

掲載2003年07月11日

 浪人梓右近(竹脇無我)は、実は前将軍秀忠の実子。が、双子の弟に生まれたために、大久保彦左衛門(片岡千恵蔵)に養育され、柳生宗矩(志村喬)に剣術を指南される。
 きままに浪人暮らしをする右近は、三年ぶりに彦左衛門と再会。将軍になった兄家光と、大名・保科肥後守となった双子の兄(竹脇無我のふた役)と対面した。家光から、家康が自ら槌をふるったという宝刀(葵のご紋付き)を授かった右近は、天下のために働くことを決意。折も折、江戸では由比正雪(成田三樹夫)一派のあやしい動きが・・・。
 「桃太郎侍」もそうだが、高貴な人の双子の兄弟は、世直しヒーローとして大活躍する例が多い。梓右近も町中で事件を聞き込み、自ら解決する行動派。最近、長期に渡るうつ病を克服して復帰した竹脇無我の若々しい活躍が光る。また、成田三樹夫のこってりした悪役ぶりも、ファンにはたまらない。悪役なのにこれだけ人を引きつける。希有な役者であった。
 ほかにも、丸橋忠弥に加東大介、一心太助に松山省二、十手持ちの仏の長兵衛に大坂志郎、その娘に榊原るみなど、豪華メンバーが江戸の闇に挑む。この作品は、シリーズ化を前提にされていなかったため、視聴者から好評を得たにもかかわらず、「江戸を斬る」の幻の第一弾となった。

掲載2003年05月30日

「江戸を斬るⅢ」遠山の金さん宅に嫁姑問題勃発?松坂慶子の紫頭巾も絶好調。ゲストも見逃せない!

(えどをきるすりー) 1977

掲載2003年05月30日

 パートⅡで初登場した西郷輝彦の遠山金四郎。ふだんは町人の姿だが、悪の前ではキラリと光る町奉行。ご存じの桜吹雪と名裁きも存分に楽しめる。
 前シリーズの好評を受けて製作されているだけに、レギュラー陣のチームワークは抜群。謎の美女にして、実は徳川の姫・おゆき(松坂慶子)、金四郎の元乳母(春川ますみ)、鼠小僧次郎吉(松山英太郎)、おゆきの父・徳川斉昭(森繁久弥)・・・。この13話で、ついに金四郎とおゆきは結婚。美男美女で幸せいっぱいカップル、と思ったところへ、今度は、金四郎のお婆様うめ(千石規子)とお付き女中お咲(大山のぶ代)が同居宣言。なにかとおゆきの良妻チェックをするという、「渡る世間」的な展開になっていく。
 なんたって、おゆきのもうひとつの顔は、正義の剣士・紫頭巾。このシリーズではますます強くなってる?が、事件ともなれば夜な夜な出勤する嫁の動向にいつか、お婆様が気づくのでは?心配ではある。
なお、このシリーズでは、レギュラー陣に、渋めの成田三樹夫、熱血の和田浩二、ゲストに加藤嘉、郷鍈治、西村晃、大友柳太朗など、今はなき名優が揃う。
 事件解決だけでなく、ホームドラマ的な面白さも持つ、ナショナル劇場らしい味の明朗時代劇。

掲載2003年05月23日

「市川雷蔵 七変化!」 将軍様から、お坊様まで! 痛快作あり、問題作あり。七変化で雷蔵の魅力をたっぷり。

(いちかわらいぞう しちへんげ!) 

掲載2003年05月23日

 没後30年の今も、若い女性ファンが多い市川雷蔵。実はペリーの周囲の若い女性編集者の間でも「美しい!」と人気が高いのだ。
 その雷蔵の見事な「七変化」その1は「遊太郎巷談」。将軍家お血筋という浪人・遊太郎が、美女と大金の謎に挑む。必殺剣も飛び出して、眠狂四郎の原点を見るような一作。
 その2「中山七里」は、時代劇の名人・長谷川伸原作。気っぷのいい木場の政吉(雷蔵)が、亡き恋人にうりふたつの女(中村玉緒)のために命をかける。ニヒルな雷蔵しか知らない人には、新鮮な作品。
 その3「新選組始末記」は、まじめ浪人・山崎蒸(雷蔵)が入隊した新選組の非情なやり方に悩む。近藤勇に若山富三郎、土方歳三に天知茂という配役にも注目! 非情な男をやらせたら、天知は天下一品だ。
 その4「手討」は、あの怪談でおなじみの「番町皿屋敷」の新解釈。腰元お菊と言い交わした美形旗本・青山播麿(雷蔵)の悲劇。雷蔵は悩んだり苦悶の表情が色っぽい…。
 そのほか、おそろしい魔力を持った怪僧・道鏡に扮した「妖僧」、将軍自ら、推理して事件を解決してしまう「昨日消えた男」、一秒間に五本の手裏剣を放つという銭形平次もびっくりの浪人の「赤い手裏剣」など、ユニークな作品が登場。雷蔵の多彩な魅力で、またまたファン倍増確実だ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。