ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年11月22日

「大奥〜徳川将軍史」十五代将軍全員集合!上品な上様から暴れん坊まで。露口茂将など意外な配役に注目

(おおおく〜とくがわしょうぐんし) 1983年

掲載2002年11月22日

 そもそも「大奥」は二代将軍秀忠のころ、秀忠の正室・お江与の方によって創設されたという。時の将軍様意外には、OBの家康でさえ立入禁止の、まさに「禁男の園」だ。
 将軍というたったひとりの男の愛を得るために、数百人の美女がひしめく閉鎖世界。もう考えただけでも「すごいこと」になっていると身が震える。嫉妬や憎しみ、陰謀・・・豪華絢爛な分、余計に怖い。ラブストーリーあり、サスペンスあり、オムニバス式でいろいろな物語が展開する。
 このシリーズの見どころは、十五代の将軍が全員登場し、それぞれが違ったキャラクターに描かれていること。そのキャスティングはすごい。初代・家康が若山富三郎、二代・秀忠が中村嘉葎雄、三代家光・沖雅也、以下、田中健、津川雅彦、露口茂、小野隆、鹿賀丈史、細川俊之、丹波哲郎、松山英太郎、広岡瞬、山本学。十五代将軍がほぼ全員集合している。特に露口茂、広岡瞬などは、滅多に見られぬ将軍姿。八代将軍。吉宗の鹿賀丈史は、粗末な衣服で、相撲はとるわ、馬でかっ飛ばすわの暴れん坊だし、「最後の将軍」慶喜の山本学は、物静かな気品ある上様。それぞれのキャラクターが楽しい。もちろん美女軍団も勢ぞろい。たとえば「ある夜の美女軍団」という回のゲスト筆頭は泉ピン子。見たいでしょ?

掲載2002年10月18日

「赤穂浪士」萬屋錦之介が「45歳でこの作品を」と誓った念願の大作。あの人の浅野内匠頭にも注目!

(あこうろうし) 1979年

掲載2002年10月18日

 時代劇俳優にとって「この役ができたら一人前」という役のひとつが、大石内蔵助。昼行灯と言われながらも、鋭い洞察力と、統率力で配下を引っ張り、見事仇討ちを果たす。
その実行力や華やかな魅力は、時代劇というジャンルの大スターという感じだ。
 萬屋錦之介は、名監督・沢島忠に「45歳になったら必ず大石内蔵助をやります。その時は監督を」と頼んでいたという。以来、二十数年の年月を経て、念願成就。この作品で錦之介は、舞台、映画、テレビすべてで内蔵助を演じたことになるという。
 原作は大佛次郎。この物語にはいろいろな解釈があるが、ここでは、大石内蔵助と吉良方の家老・千坂兵部の千恵比べに重点が置かれている。テレビ朝日の開局20周年記念作だけに、キャストは豪華。内蔵助の妻りくには、錦之介の「破れ新九郎」でも息の合うところを見せた岸田今日子。四十七士に影のようにつきまとう蜘蛛の陣十郎に長門勇。さらに時代劇スターとして人気急上昇中の松平健。そして「フン!」とへの字口で憎々しい吉良上野介を演ずるのは、小沢栄太郎。テレビの歴代吉良役の中でも、トップクラスの意地悪ジジ様の名演技。毎回楽しませてくれる。さまざまなエピソードをじっくり描けるのは、テレビ長期シリーズの特権。これで「赤穂浪士」の新たな面白さが発見できるはず。

掲載2002年09月06日

「お助け同心が行く!」大柄なのに腰が低い男をやらせたら日本一。小林稔侍がふたつの顔を持つ男に変身!

(おたすけどうしんがゆく!) 1993年

掲載2002年09月06日

 尾形左門次(小林稔侍)は、北町奉行所の下級同心。高積見回りという冴えない役目とのっそりしたイメージで、周囲からは軽んじられている。しかし、裏では虐げられた弱い人たちのために、鋭い頭脳と剣の腕で悪と戦う“お助け同心”なのであった!
 小林稔侍といえば、「キャプテンウルトラ」のキケロ星人、ヤクザ映画の下っぱなど、主役になるまで苦労した話は有名だ。そのせいか、「大柄なのに腰が低い」男の役がとってもうまい。日本一かもしれない。こう言われて本人が喜ぶかどうかは微妙だが、この「お助け同心」で、表の顔、すなわち、高積見回りをしていたり、母・八重(中村玉緒)にしつこく縁談を勧められ、「母上、もうその話は結構でございます!」と、内股気味に走って逃げる時などは、得意技の「大柄腰低」が炸裂している。
 だが、一旦、裏の顔、お助け同心になった瞬間から、声は低く、眼光鋭い男に変身。これは誰かを意識してるに違いない、とよく見たら、やっぱり、「高倉健」だった!
 原作は笹沢左保の「お助け同心巡回簿」それにしても、小林稔侍の母が中村玉緒って、いったいいくつ違いの母子なのか?左門次とはいったい何歳なのか?小林稔侍の俳優歴を語る上で、忘れられない一本なのは間違いない。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。