ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年07月20日

「鬼平犯科帳第9シリーズ 一本饂飩」 食いしん坊の木村忠吾が盗賊一味に捕まった!盗賊のお頭に惚れられて大ピンチ。

(おにへいはんかちょうだいきゅうしりーず いっぽんうどん) 2001年

掲載2002年07月20日

美味いものに目がない火盗改め同心の木村忠吾(尾美としのり)は、極太麺の名物「一本饂飩」で一杯やっていた。そこに居合わせたのが、寺内武平衛(石橋蓮司)。あとから入ってきた男と何やら話しをするのを小耳にはさんだ忠吾は、ふたりをあやしいとにらむ。にらんだところまではよかったが、逆に相手に殴られ、気を失ったところを誘拐されてしまう。そして、盗賊の頭である武兵衛に男色の相手として惚れられたことを知る・・・・。
鬼平のシリーズでも、忠吾が出てくると、どこかユーモラスな雰囲気が漂うが、この回は笑っていいのか心配していいのか。とにかく男に惚れられたから、すぐ殺されなかったのはラッキーともいえる。
さらに忠吾の危機を鬼平が知るきっかけになったのが、「うまい鮑を食べる約束を忠吾が無視したのはおかしい」と考えるあたり、日頃の忠吾の食いしん坊ぶりがうかがえて、これもよかったのかトホホなのか。同心たちの人柄もきっちり描いている「鬼平」ならではの展開が楽しい。忠吾の困り顔、ラブラブ光線を送る石橋連司と彼を慕う手下の与市の怪演にも注目。
さらに忠吾がどうやって自分の居場所を知らせたか・・・奇想天外なアイデアに拍手を送りたい一本。

掲載2002年06月14日

「お命頂戴!」クールなのにどこか上品な片岡孝夫。あの懐かしアイドルの和服姿もお見逃しなく!

(おいのちちょうだい!) 1981年

掲載2002年06月14日

天保初期。徳川12代将軍家慶は、はびこる悪を成敗するため、“奥祐筆”という重要ポジションにある男を抜擢した。その名も、内藤左門(片岡孝夫・現片岡仁左衛門)。この左門、アタマは切れるし、剣の腕の天下一品。おまけに超二枚目!世俗のことにも通じていて、女心だけでなく、男も惚れ込むいい男なのだ。
将軍は左門に、鞘に葵のご紋を入れた刀を授け、密かに悪の粛清を命ずる。左門は浮雲の七兵衛(ハナ肇)と村雨お紺(新藤恵美)とともに、潜入捜査を開始する。
襲名以来、貫禄のある演技が全面に出る仁左衛門だが、この番組当時は元気いっぱい。毎回、板前、新内流し、盗賊、浪人、渡世人と、得意の七変化で敵を欺く。しかし、どんなに暴れん坊な役柄でも、どこか品を感じさせるのは、さすがという感じ。その変装姿から一転、悪と戦う時には、サラリとした黒の着流し姿。これがまたよく似合う。
さらに配役でユニークなのは、将軍家慶役の伊吹吾郎。将軍というと城に座りっぱなしのひ弱なイメージだったが、この将軍は、史上まれにみるほどのガッチリ体格だ。もうひとり、当時、「陽あたり良好!」など青春ドラマで活躍していたアイドル伊藤さやかも可憐な和服姿を披露。こちらもちょっとしたお宝影像ですな。

掲載2002年03月29日

「江戸中町奉行所」近藤正臣と丹波哲郎。ゴーイングマイウェイ俳優の激突と田中健のアクションにも注目。

(えどなかまちぶぎょうしょ) 

掲載2002年03月29日

 町奉行所といえば、北町か南町、と思っていたら、なんと「中町」ってのもあったのだ。しかも、その責任者が丹波哲郎...こりゃ、タダの奉行所ではないのである。
 元長崎奉行所の丹波遠江守(哲郎)は、新しい町奉行として江戸に呼ばれる。しかし、その奉行所は、正義のためでもなんでもなく、御用商人からの上納金目当てに作られた、腐敗政治の象徴のようなものだった。
「わざわざ長崎から呼んでおいて、腐敗政治の片棒を担がせるとはなにごとか!!」というつもの調子で怒った丹波奉行。こうなったら、密かに正義の裁きをしてやると決心。まずは信頼できる部下が欲しいと、暴れん坊の魚屋(清水健太郎)と、南町同心(近藤正臣)、北町同心(田中健)を対決させて実力を試す。南町、北町ではどちらもうだつの上がらないふたりだったが、実は健は凄腕。見事、丹波奉行のお眼鏡にかなったふたりは中町奉行所にスカウトされた...。
 哲郎と正臣の共通点は、役に成りきるというよりは「自分そのものを前面に出す」ゴーイングマイウェイな演技法というところ。どんなにキザでもカッコつけても許される不思議な魅力があるふたりである。
 正臣の相棒、田中健も珍しくアクションで活躍。密偵役の神埼愛と浜圭介のデュエットというムード歌謡調の主題歌も耳に残る個性派大集合のシリーズ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。