ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年02月21日

「江戸特捜指令」敦夫太鼓の乱れうちに、山城新伍、竜雷太、五十嵐淳子ら、隠し目付が大集合!

(えどとくそうしれい) 

掲載2002年02月21日

 黒船は来るわ、幕閣のお偉いさんたちは政治より賄賂の集金に忙しいわ、なにやら不穏な世の中。その闇にズバッと正義の白羽を射るのは、六人の隠し目付たちなのである!
 「隠し目付」であるからには、みんな表の家業を持っており、それぞれの得意技を駆使した捜査が行われるのだ。
 リーダー中村敦夫は戯作者で全体の筋書き担当。山城新伍は時計職人でからくり人形を操作して敵を攬乱、原田大二郎は手先を活かして錠前破り、五十嵐淳子はなんと「理系の芸者」で科学や爆弾担当、竜雷太の大工は建物全部にからくりを作ってしまう、秋野暢子は町飛脚で忍びの術もあり、である。
 事件を察知し、「これは出番だ」と考えた敦夫は、隠し目付に招集をかける。その合図は自宅二階で自ら打つ太鼓の音だ。ドンドコドンドコドンドコドンドコ...。ふつう、こんなことをしたら、「隠し」どころではないのだが、近所の人は「あら!また一斎先生(敦夫)が芝居が書かけなくて暴れてるよ」と気にもしないのだ。しかも、先生、毎回、変装して捜査しているのに、「どう見ても敦夫だよ!!」とバレバレで心配になってくる。
 こんなユニークなリーダーと、わざわざからくりまで仕込んで敵をやっつける隠し目付。その「わざわざ感」が一度見るとハマってしまう。ペリーも含め「隠しファン」が多いシリーズなのだ。

掲載2002年01月25日

「暴れん坊将軍Ⅱ」若き松平健がいよいよ波に乗ってきた第二シリーズ。青春上様に春は来るか?

(あばれんぼうしょうぐん) 

掲載2002年01月25日

ご存じ、「暴れん坊将軍」(通の間では、『アバショ~』と言われている)、待望の第二シリーズ。第一シリーズでは、まだまだ動きに緊張感が見られた松平健が、この辺りから波に乗り、殺陣にセリフも若さいっぱい。まさに「青春上様」である。
青春てことは、当然、甘酸っぱい話も出てくる。江戸城の中では、大奥の美女集団が手ぐすねを引き、徳田新之助として町へ出ても「新さーん」と町娘が放っておかない。特にこのシリーズはモテモテで、上様が風呂場で「むっ、曲者?」と振り向くと、「お背中を流しましょう」とお手つき志願の娘が潜入しているという有り様。油断もスキもない。
こういう場面で気づくのは、松平健は「女に迫られて困惑した顔をしたら日本一」の俳優ということだ。私は長年松平健ウォッチャーとして陰密活動を続けているが、この人が「女好き」の役をしているところを見たことがない。現代ドラマで推理好きの和尚様をやっていた時も、死体を見ても驚かないのに、寺回り好きの女性観光客にはおおいに困惑していた。
もともと照れ屋で困惑しやすかったのか、それともアバショーで芸を確立したのか。それは定かではないが、「成敗!」と悪人を退治する時と、女子に追いかけられて困惑する時のギャップが、この番組の隠れた人気の秘密だと私はにらんでいる。

掲載2002年01月18日

『お助け同心が行く!』気弱同心の裏の顔は、庶民の味方のスーパー同心。小林稔侍の早変わりに注目!

(おたすけどうしんがゆく!』〜) 1993年

掲載2002年01月18日

 尾形左門次(小林稔侍)は、北町奉行所高積見廻り同心という下級役人。地味な役割をひたすらコツコツこなし、存在感も希薄で、周囲からはまったく相手にされない。が、実は左門次には、弱い者を陰ながら救う“お助け同心”というもうひとつの顔があるのであった・・・。
 原作は、『木枯し紋次郎』でもおなじみの笹沢左保の『お助け同心巡回録』。
 現代劇では冴えない中年サラリーマンをコミカルに演じる小林稔侍が、時代劇でも本領発揮。大柄な体をちぢめて「ハイハイハイハ」と上司に気をつかいながら役目をこなす小役人の表の顔と、本来の大柄に戻って、悪人と戦う早変わりはこの人ならでは。
 共演は、エリートの定廻同心で左門次の友人でもある辺見勇助に田中健、左門次の母に中村玉緒。息子の裏の顔を知らない母は、冴えない息子にいい嫁が来るよういつも奮闘するが、成果はさっぱり。玉緒と稔侍のかけあいはベテラン同士の味と笑いがある。
 ふたつの顔をもつヒーローというのはよくあるが、左門次の場合、報酬を要求するでもなく、名誉を欲するでもなく、衣装が派手でもない異色の“ふたつ顔ヒーロー”。そのちょっと地味な感じが、また小林稔侍の雰囲気にぴったりするのが面白い。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。