ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2001年07月27日

「編笠十兵衛」表の顔を使い分ける村上弘明に注目。

(あみがさじゅうべい) 1997

掲載2001年07月27日

 表の顔はのんきな和菓子屋の亭主。実は、将軍家から「御意簡牘(ぎょいかんとく)」という天下御免の札を与えられた隠密の剣士・月森十兵衛。「生類憐れみの令」などとんでもない政策が罷り通り、赤穂浪士は密かに仇討ちを企むご時世に、正義の心を抱く十兵衛は、いかに働くのか?
 池波正太郎が、「忠臣蔵」を裏側から描いてみせた名作。十兵衛が、公儀の役人でありながら、赤穂浪士を密かに助ける活躍に、池波作品らしい男気が感じられる。
 主演は村上弘明。公儀の人間でありながら、悪法を批判する精神を待つまっすぐな剣士を、若々しく演じている。夫の裏の活躍を知ってか知らずか。おっとりと、また時には「ちゃんとうちのこともやってくださいよぉ」と十兵衛をやりこめる可愛い妻に藤真利子、哀しい宿命を持つ女密偵に大沢逸美、十兵衛と友情で結ばれる堀部安兵衛に三浦浩一など、配役はユニーク。
 初回、老中柳沢(西田健)の愛犬の行列の騒動に巻き込まれた十兵衛だが、帯に下げた葵のご紋入りの天下御免札で難を逃れる。人より犬を大切にする世の矛盾を身をもって体験した十兵衛。今週はいよいよ赤穂浪士の討ち入りも迫り、事態は緊迫。大石内蔵助はじめ、浪士たちをつけ狙う敵と、十兵衛との闇の死闘が続く。十兵衛は、志を守り抜けるか?お楽しみに。

掲載2001年07月20日

「編笠十兵衛」英樹主演の池波作品。大御所も続々登場。

(あみがさじゅうべい) 1974年-1975年

掲載2001年07月20日

近年、バラエティ番組などに多数出演している高橋英樹の正統派時代劇。
 表向きは浪人だが、実は二代将軍の密命を受けて、赤穂浪士を影で助けた男。それが月森十兵衛だ。柳生新陰流の使い手で、いつも浅目の編笠を被っているところから、人呼んで、編笠十兵衛。公儀のやり方に納得できず、討ち入ることになった赤穂浪士を、公儀の人間が助けるという斬新な展開。赤穂の敵、吉良方・小林平八の露口茂ほか、伊藤雄之助、成田三樹夫ら個性派が英樹のライバルとなる。
また、特別出演の片岡千恵蔵はじめ、大友柳太朗、中村竹弥と、大御所も続々登場。”忠臣蔵外伝”としての楽しみも多い。
 高橋英樹のテレビ俳優歴からみると、「一見浪人、実は剣の達人で身分もある武士」とのパターンはかなりある。
 代表的なのが、「桃太郎侍」で、長屋に住むのんきな桃太郎が、実は実力者の双子で、時には世の鬼退治に出る。また、「隼人が来る」では、旗本が浪人に扮して、各地の悪を成敗。刀に差した菊の花びらをパーッと散らし、見せる剣は、花吹雪抜刀流。とてつもなく派手な剣だ・・・これからの作品から比べると、同じ「一見浪人、実は」のパターンでも、この編笠十兵衛は、常に赤穂浪士の影に回り、地味に動くことが宿命。桃太郎的英樹とは、ひと味違う魅力を、発見できる。

掲載2001年07月06日

「鬼平犯科帳」待望の5シリーズ、6シリーズの特集

(おにへいはんかちょう」たいぼうの5シリーズ、6シリーズのとくしゅう) 1994〜1995

掲載2001年07月06日

「いつの世にも悪は絶えない」名人・中西龍のナレーションのひと声で、わくわくする人も多いはず。「映像で綴る池波正太郎の世界・第2章」でも、待望の鬼平の登場だ。
 凶悪犯罪を専門に扱う火付盗賊改方長官・長谷川平蔵。人呼んで「鬼平」は、部下や密偵らと江戸の闇に挑む。自らも方蕩無頼の生活を送った過去を持ち、弱者には温かく、悪には鬼となる人柄は、「理想の上司」としてOLにも人気なのはご存じの通り。
 今回は第5シリーズと第6シリーズを一挙放送。ストーリーの一部をご紹介するとー大女の上に腕っぷしが強すぎて嫁の貰い手のなかったおまゆ(長与千種)が、スリの男又吉(春風亭小朝)を改心させ、所帯を持つ。平蔵はもしまた又吉が悪い癖を出せば、今度は死罪を覚悟しなければならないと心配する。その心配が的中したと悟ったおまゆは、衝撃的な決着をつける。長与千種の熱演が光った「市松小僧始末」
 平蔵の前任者のやり方に嫌気がさして、盗賊の女と逃げた元火盗同心・高松(渡辺裕之)が、元上司で今は平蔵と仕事をする与力佐嶋(故・高橋悦史)と再開。平蔵の人柄を知った高松は、再び昔の情熱を取り戻そうとするが...男と女の悲しみや男気の潔さ。池波作品の真髄を味わえる「消えた男」などなど。
 何度でも見たい名作が続く。20日16時からはスペシャル企画もあり。
要チェック!

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。