ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2001年03月29日

暁に斬る!

(あかつきにきる!) 1982年

掲載2001年03月29日

 愛する女を苦境から救うために、すべてを捨てた並木平四郎。町医者として慕われる彼のもうひとつの顔は、許せぬ悪を退治する閻魔だった。男気溢れる平四郎に北大路欣也、辛い過去を持つ妻に名取裕子、平四郎を助ける親友に山城新伍がそれぞれ扮している。
 北大路、山城の鍛えぬかれた見事な殺陣と、なぜか頻繁に登場するふたりの入浴シーン、五月みどり姐さんの艶っぽさも楽しめるエンターテインメント時代劇。
 悪が許せぬ性格で、悩みつつ捨てたはずの刀をとる平四郎。その度にいちいち押入れから刀を出して手渡し、閻魔の夫を送り出す妻。この番組は、ふたりのメロドラマでもあった。世俗に長けた道場主の山城新伍は、利益にもならない閻魔の活動をあまり歓迎していない風だが、いざとなると必ず助けにやってくる。また、平四郎に惚れつつも妻との強い絆に入り込めない五月みどり。北大路、名取、山城、五月。この四角関係はあまりに濃い、アダルトな味。

掲載2001年03月06日

江戸の波涛

(えどのはとう) 1979年

掲載2001年03月06日

 江戸市中有数の花街、深川で殺人事件がおきる。探索に乗り出した若い与力は、聞き込んだ町人たちの証言が微妙に食い違っていることに気づく。やがてたどり着いた真相は…。
 原作は大衆文学として人気の高い山本周五郎の「しじみ河岸」。主演は沖雅也。共演はいしだあゆみ、田村高廣、奈良岡朋子、早乙女愛などクセ者揃い。「座頭市」「木枯し紋次郎」を手がけた森一生監督が、周
五郎の世界を描きこんだ佳作。
 当時の沖雅也は、日本テレビ系で放送された探偵ドラマ、「俺たちは天使だ!」(主題歌とサブタイトルが揮っていたよね)にも主演していて絶好調。 時代劇では「必殺仕置人」の棺桶の錠、「必殺仕置屋稼業」の市松などの印象が強いが、本作や、若い岡っ引きに扮したNHKの「ふりむくな鶴吉」(74年)など、味のある作品にも出演している。監督の森一生は市川雷蔵主演の「薄桜記」、勝新太郎が本物のスターになるきっかけとなった「不知火検校」(60年)などを手がけた時代劇の名匠。かのデニス・ホッパーも高く評価しているほどなのだ。

掲載2001年02月21日

大江戸捜査網

(おおえどそうさもう) 1972年

掲載2001年02月21日

隠密同心心得の状
“死して屍拾う者なし!”
のナレーションでお馴染み。
 同心たちが潜入、変装、囮とスパイ的作戦で悪に挑む。主演は十文字小弥太こと杉良太郎。ほかに通に人気のニヒルな剣客、井坂十蔵に瑳川哲朗。美人芸者小波に梶芽衣子、女スリ山猫のお七に岡田可愛らシリーズ創設メンバーが大暴れする。寺田農、三浦布美子、辰巳柳太郎、
ジュディ・オングら、多彩なゲストもお楽しみ。
 本作と自動車メーカー、日産のCMをセットで記憶している人も多いはず。なにしろ、当時の日産の社長が大の時代劇ファンで、
“土曜の夜に時代劇が欲しい”(だって自分が見たいからさぁ)
との発言から始ったという説があるくらい。ペリーは番組関係者からもそういう証言を得ているのだ。
 番組の人気が上がるにつれて、日産幹部も鼻高々だったという。放送初期は、ロマンポルノ路線に入る前の日活が制作していたため、時代劇映画に勝るとも劣らないセットと内容で、目の肥えた映画ファンをもうならせた。日活伝統の派手なアクションは、今も画面から溢れている。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。