ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2001年02月14日

江戸の渦潮

(えどのうず) 1978年

掲載2001年02月14日

 第一線は退いたが、剣の腕は衰えない元同心とその息子が江戸の悪と戦う。父に小林桂樹、息子が古谷一行というユニークな顔合わせ。八双飛びなど、小林桂樹が珍しく激しい立ち回りを見せるのも注目。さらに彼らを助ける渋い岡っ引きに露口茂。小野ヤスシ、左とん平、小松政夫と充実した喜劇陣もいい味を出している。下町の情緒と事件解決の爽快感を楽しめる、痛快捕物時代劇の秀作。
 本作は、当時(昭和50年代の最初の方ね)、加山雄三主演の「江戸の旋風」に始った、フジテレビ系の「江戸」シリーズの一遍。ほかにも「江戸の朝焼け」とかあったんだけど、覚えてる人いるかな? でもって、このシリーズでは、若手を積極的に起用し、古谷一行はじめ、沖雅也、村野武憲、柴俊夫、鹿賀丈史らが女性ファンを楽しませてくれた。
 ちなみに、フジテレビの時代劇プロデューサーの能村庸一氏の著作、「実録テレビ時代劇」(東京新聞出版局)によれば、「江戸」シリーズの脚本公募で二席に残った注目の新人が、後の売れっ子作家、赤川次郎その人だったとある。やっぱり、女の子が活躍するミステリー仕立ての時代劇だったのかしらん。

掲載2001年01月18日

鬼平犯科帳

(おにへいはんかちょう) 1992年

掲載2001年01月18日

 人を傷つけない完璧な盗みを信条とする伝説の盗賊のお頭が、凶賊たちに命がけの敵討ちを仕掛ける。互いの身分を明かさずに語り合うお頭と鬼平…。中村又五郎のお頭ぶりが心に残る「討ち入り市兵衛」。
 ほかにも、中村橋之助の「盗賊婚礼」、山田五十鈴の「正月四日の客」など、豪華ゲストの出演と充実した内容の中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳」の第四シリーズ、いよいよ本日より見参!
 人間のずるさ、情けなさの描写も素晴らしい池波正太郎。第四シリーズでは、気弱な同心(中村歌昇が好演!)が、堅い女房をもらったものの、浮気心が頭をもたげて…という「俄か雨」、大盗賊の女(光本幸子)が、盗賊の辞世の句を作る金をちょろまかす話「鬼坊主の女」、一度は手放そうとした隠し金に執着する浪人(中村忠雄)の「埋蔵金千両」など、味のある作品が続く。なお、「鬼坊主」に扮するのはガッツ石松。配役の妙もお楽しみに。

掲載2001年01月10日

浮世絵女ねずみ小僧

(うきよえおんなねずみこぞう) 1971年

掲載2001年01月10日

 昼は常磐津の師匠、夜は怪盗ねずみ小僧。ウワサの義賊が実は女、それもとびっきり色っぽい小川真由美だったから、さあ大変。相棒の男ねずみ、田中邦衛とコミカルなやりとりを繰り広げつつ、悪い大名をギャフンと言わせて大人気。天井裏での立回り、塀を飛び越えるシーンまでほとんど吹き替えなし。真由美ねずみの熱演に注目。田村正和ら共演陣、早坂暁らの脚本陣、工藤栄一らの監督陣も豪華。
 本作は、あの「木枯し紋次郎」と交互に放送された人気作品。なんと言っても誰にもマネのできない小川真由美の存在感がスゴイ!
 色っぽさを演出するために、片肌どころか、もろ肌脱ぐのもいとわない体当たりぶり。おかげで、体に巻くバスタオルが撮影のたびに必要になり、夏は日に3回取り替えてのべ30枚も必要だったとか。ちなみに魅惑の後れ毛は、真由美の自毛で撮影のために酷使したつけで、すっかり抜けてしまったらしい。
 ペリーのオススメは北川美佳のニセねずみとの対決シーン。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。