ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2000年10月09日

鬼姫競艶録

(おにひめきょうえんろく) 1956年

掲載2000年10月09日

 美空ひばりが、ある時は可憐なお姫様、ある時は腕の立つ若衆姿で大活躍。お互いライバル心旺盛な将軍吉宗と尾張藩主宗春。とうとう双方所有の名犬で対決することに。宗春の娘綾姫(ひばり)は、名犬を求めて、狼が出る山中へ…。謎の陰謀集団と二枚目隠密との淡い恋。怒る猛犬を歌でおとなしくさせるなど、ひばり姫の勇姿をお楽しみに。
この話、前述のとおり殿様同志の犬自慢が発端なのだが、そのやりとりが笑えるのだ。
吉宗に名犬、日本丸を見せびらかされてムッとした宗春は、犬を飼ってもないのに、
“当家の名犬、鯱太郎の方があんたの犬よりずっとスゴイもんね〜”
と言ってしまう。
吉宗が、
“ウチの日本丸は暴れ馬を制したぞよ”
と、自慢すれば、宗春は、
“なんのなんの、鯱太郎は巨象を倒してござりまする〜”
なんてことを言う始末。
まるで子どものケンカだ。ケンカに駆り出された家臣はたまったものではないが、そこに登場したひばり姫。智恵と度胸で見事騒動を裁いていく。原作は「遠山の金さん」の陣出達朗。共演の丹波哲郎もいい味だしてます。

掲載2000年09月22日

嵐寿の鞍馬天狗祭り

(あらかんのくらまてんぐまつり) 

掲載2000年09月22日

戦前から戦後にかけて国民的ヒーロー・鞍馬天狗。黒の着流しの懐に短筒をしのばせ、幕末の京都に神出鬼没。演ずるはご存じ、嵐寛寿郎。40作品ものシリーズ中から貴重な無声版、松島トモ子扮する杉作の歌が愛らしい最終作など傑作7作品を一挙放送。宿命のライバル、近藤勇との決着はつくのか!?チャンバラの面白さを存分に堪能できる一日だ。
前にも記したが、天狗シリーズは全部で40作品にもなる。かなりの時代劇マニアでも、全作品を見ている人はそうはいないだろうから、今回はチャンス。放送する7作品はとくにテンポのよい作品がおおいし、バリエーションにも富んでいるので、初めての人には新鮮に、オールドファンには懐かしく天狗シリーズの魅力を味わう格好の機会なのだ。
作品のなかには、相手の眼を見つめて妖術にかける怪僧に
“よっぽどにらめっこが好きと見える”
と言ったりするモノもあれば、
誘拐事件の身代金受け渡しに使うダミーの千両箱に、石と“粗品 鞍馬天狗”と書いた、のし紙を入れたりするモノもある。
けっこう、お茶目な一面もあるヒーローだ。
 嵐寛は56年の「疾風!鞍馬天狗」を最後に天狗役を引退。
“天狗も歳をとりました”
の名セリフを残した。当時、53歳、今年没後20年を迎える永遠のチャンバラスターである。

掲載2000年09月14日

鬼平犯科帳

(おにへいはんかちょう) 1992年

掲載2000年09月14日

 ご存じ中村吉右衛門の鬼平第3シリーズも佳境に。今週は盗賊女と深い仲になった元同心の激情を描いた「おしま金三郎」、ひょうきん者の同心と無垢な盗賊の娘の悲恋、鬼平が娘をあきらめろと諭す場面が胸にしみる「忠吾なみだ雨」、なかでも鬼平配下の密偵が全員集合、悪人にひと泡ふかせる「密偵たちの宴」の面白さは抜群。今週もお見逃しなく!
 このほか、ペリー的にオススメなのが15日放送の「おみよは見た」。殺し屋小平次役の近藤正臣がいいのだ。小平次の殺しの現場を目撃したはずの少女は、なぜか口をつぐむ。一方、目撃者は消すのが掟の殺し屋が、妹の面影をおみよに見て手を下せない。再び出会う小平次とおみよ。ほとんどセリフがないのに、その心情が伝わるのは、近藤正臣とおみよ役の吉沢秋絵の熱演あってこそ。前述の鬼平マニアの間で評価の高い「密偵たちの宴」と併せて必見!

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。