ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2012年07月20日

「白虎隊」
前篇「京都動乱」後篇「落城の賦」に涙
1986年浮かれ日本に命の尊さを訴えた名作

(びゃっこたい) 出演者:里見浩太朗/森繁久彌/風間杜夫/近藤正臣/丹波哲郎/竹脇無我/露口茂 ほか 1986年

掲載2012年07月20日

 幕末、名君と言われた会津藩主・松平容保(風間杜夫)は、京都守護職を拝命。京都では、尊王攘夷派の動きが活発化し、会津藩は幕府方の先頭にたって、治安維持に努める。その助けとなろうと名乗りを上げたのが、新撰組だった。容保の側近、野村左兵衛(竹脇無我)は、土方歳三(近藤正臣)ら新撰組に不逞浪士取り締まりを期待する。やがて起った池田屋騒動。しかし、時代は大政奉還へと大きく動く。幕府が崩壊した後も、会津では薩長と徹底抗戦を決意。慶応四年、15歳から17歳の少年たちで結成された会津の白虎隊や女たちも戦いに参加すべく動きだすが…。

里見浩太朗主演で製作された日本テレビの年末大型時代劇第二弾「白虎隊」は、生真面目な藩主のもとで、最後まで幕府方として、薩長の大群と戦うことになる会津の人々。里見は会津で当初は反戦の立場だった国家老西郷頼母役。飯盛山で孤立し、情報がない中で、鶴ケ城が燃えたと誤解した少年たちが「また、会津で会おう」と悲壮な決意をする過程、彼らを思う家族の姿は、胸を打つ。

宮川一朗太、坂上忍ら白虎隊役の面々は実際に会津で白虎隊の生き方を学び、集団で殺陣の稽古にも励んだという。放送されたのは日本がバブルに突入する1986年年末。「新人類」「おニャン子」などが大流行したころ。浮かれた日本に命の尊さを訴えた名作。 

掲載2012年06月08日

「びいどろで候~長崎屋夢日記~」
早坂暁の伝説の人気作「天下御免」の後日談
ナポレオンに平賀源内、女の写楽も登場!?

(びいどろでそろ~ながさきやゆめにっき~) 出演者:原田知世/八千草薫/山口崇/中川安奈/萩原流行/財津一郎/保阪尚輝/阿木燿子 ほか 語り:島倉千代子 1990

掲載2012年06月08日

 1971年にNHKで放送された「天下御免」は、平賀源内(山口崇)を主人公に、現代の縦割り行政やごみ問題、受験戦争などを皮肉って、当時の都知事・美濃部さんまで出演させて大人気となった伝説のドラマ。(あまりの過激さに某有名脚本家が執筆拒否したというウワサも。結果的に名脚本家早坂暁が腕をふるい、後世のシナリオライターに大きな影響を与えた)それから約20年後の1990年、「天下御免」の後日談として、再び早坂が筆をとったのが、本作「びいどろで候~長崎屋夢日記~」。
 なんたってうれしいのが、死んだはずの平賀源内が生きて(しかも、かつての配役と同じ山口崇)いたこと。確か「天下御免」では、気球に乗ってフランスに旅立ったはずでは…。その源内が「自由の国」と憧れたフランスからは、逆に皇帝ナポレオンが亡命してきた!? 「吾輩の辞書に不可能はない!」となぜか日本語で叫んでいるナポレオンは、よく見ると細川俊之。その近くでふふふと微笑む美女(阿木耀子)の正体が実は写楽で、ほいほいと町歩きをしているイケメンが遠山の金さん(保阪尚輝)。舞台となる長崎屋は、出島のオランダ商人たちが年一回、江戸の将軍家にあいさつするために上京する際の宿となる。いわば国際サロン。女主人かおる(八千草薫)と娘のお蘭(原田知世)と不思議ピープルの交流。やっばり早坂脚本に不可能はない! 注目シリーズ。
 

掲載2012年05月11日

「101回目のプロポーズ」
「僕は死にませ~ん」大ヒット作が時代劇に!
歴史好きも納得の設定に一同SAY YES!!

(ぶたい「じだいげきばん 101かいめのぷろぽーず ひゃくいっつうめのこいぶみ」 ) 出演者:武田鉄矢/浅野温子/山崎銀之丞/北川弘美/相島一之/篠田光亮/江波杏子 ほか 2012

掲載2012年05月11日

「101回目のプロポーズ」は、1991年フジテレビ系「月9ドラマ」。最終回に視聴率36.7パーセントを記録した大ヒット作だ。モテない建設会社社員星野達郎(武田鉄矢)が、深い悲しみを抱えたチェロ奏者薫(浅野温子)に猛アタック。クライマックスでは、走るトラックの前に飛び出し「僕は死にませ~ん。あなたが好きだから!!」と絶叫。このシーンは伝説となった。ちなみに演出陣のひとりが浅野ゆう子版「大奥」の監督林徹。当時から凝り性で武田鉄矢は「重い鉄材担いで走るシーンとか、林演出は大変だった」と振り返る。

その時代劇版となる本作は、2012年3月福岡博多座で上演。舞台は江戸初期の肥後熊本藩。出世とは無縁でレンコン作りが得意な下級武士・星野達郎左衛門(武田)が、謎めいた薫(浅野温子)を助ける。薫はなんと宮本武蔵を仇と狙う。彼女のため、レンコン片手に武蔵に挑む達郎は、あの名セリフを…しかし!!実は武蔵は武田の二役。舞台で二役が斬りあうって一体どうやって?それは観てのお楽しみ。BGMはドラマと同じチャゲ&飛鳥の「SAY YES」。ペリーは博多座で観劇したが、この曲が流れた瞬間、観客の盛り上がりはMAXに!! さすがお客さんもわかってらっしゃる。輪切りレンコンが熊本藩細川家の家紋に似ていることや武蔵が晩年滞在した土地であることなど、歴史好きも納得の設定にも注目したい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。