ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2011年01月21日

『風林火山(主演:三船敏郎)』
三船敏郎が山本勘助を熱演!信玄は錦之介。
謙信に裕次郎、由布姫に佐久間良子の豪華版

(ふうりんかざん) 1969年

掲載2011年01月21日

戦国時代。山本勘助(三船敏郎)は、武田家に仕官をと夢見るが、簡単にはいかない。そこで武田家の板垣信方に刺客を差し向け、信方を助けて恩を売る作戦を考える。この“暗殺劇”は成功し、勘助は武田晴信(後の信玄・萬屋錦之介)の家臣となった。やがて、武田は縁戚でもあった諏訪攻めを決行。一度は和議を結んだが、諏訪頼茂(平田昭彦)が武田家に来訪し、能を鑑賞しているときに暗殺してしまった。その冷徹な判断をしたのは、やはり勘助。晴信は、諏訪の由布姫(佐久間良子)を側室にする。姫から「そちが父を欺し討ちにした。人でなし!!」と憎まれる勘助もまた、彼女を思うようになる。晴信の子、勝頼を産んだ姫は、葛藤の中で世を去った。そして、いよいよ武田軍は、宿敵・上杉謙信(石原裕次郎)との川中島の決戦に向う。
三船プロが製作し、監督・稲垣浩、脚本・橋本忍、国弘威雄、東映の萬屋錦之介、佐久間良子、日活の石原裕次郎と映画界のスターを登場させた豪華版。殺陣は、三船作品には欠かせない久世竜。多くの騎馬を駆使した戦場シーンは迫力だが、武田家を巡る人間ドラマとしての面白さは、井上靖の原作ならではといえる。面白いのは、勘助を慕い、戦場を走り回る畑中武平(緒形拳)。泥臭く、人懐こい武平との本音の会話で、勘助の人間性が浮き出てくる。

掲載2010年11月26日

『八丁堀捕物ばなし』
民家の屋根に男の手首!?奇怪な事件の真相
役所広司が男気ある同心として活躍

(はっちょうぼりとりものばなし) 1993年

掲載2010年11月26日

民家の軒端に斬られた男の手首が引っかかっているという奇怪な事件が発生。しかし、誰の手首なのか、届出もなく、探索は手詰まりになっていた。そんな折、同心・狩谷新八郎(役所広司)は、あやしげな武士にからまれている美しい女お島(山本みどり)を助ける。なぜ、からまれたのか理由がわからないというお島だが、何かいわくありげな様子。そこに狩谷が捕らえた盗人(赤塚真人)が、手首の事件を目撃したと名乗り出た。
狩谷を中心に、リーダー格の古株(いかりや長介)や同僚たち(火野正平、渡辺哲、田中実など)が活躍する人情シリーズ。江戸の七不思議といわれる「女湯の刀掛け」の解説など、いかりやのナレーションで町の暮らしぶりがわかるのも面白い。特にこの回は、推理劇とともに情報を集めるキーマンとして、髪結いの藤吉(田中邦衛)が登場。たくみに武家屋敷に潜入して手かがりをつかみ、
「どーもこの辺がむずむずすらあ」
と、独特の邦衛節で事件に迫るのも見どころのひとつ。
スタッフは、「御家人斬九郎」シリーズなどをてがけた面々が集結。役所広司は、2010年公開の映画「十三人の刺客」で見せた豪快な殺陣と、「最後の忠臣蔵」で見せた男の哀愁を、すでにこの作品で披露していたことがよくわかる

掲載2010年08月27日

『必殺渡し人』
本物の水晶がキラリ!レントゲンもバッチリ!
高峰三枝子・中村雅俊・渡辺篤史が渡します。

(ひっさつわたしにん) 1983年

掲載2010年08月27日

晴らせぬ怨みを晴らす「渡し人」。鏡磨きの職人・惣太(中村雅俊)は、近所で評判の蘭方医鳴滝忍(高峰三枝子)が、鮮やかな技で男を葬る場面を目撃。「鏡」の異名を持つ渡し人である惣太は、やがて「カマイタチの姐さん」と呼ばれた忍、さらに強力で“必殺腸ねん転”の技を使う大吉(渡辺篤史)とともに、裏の仕事を始めることになった。
このシリーズのみどころは、まず、当時「フルムーン」CMなどで、変わらぬ美しさを見せる高峰の華麗な殺し技。右の小指にはめた水晶の指輪の先端で相手の頚動脈を斬るという早業だが、当初、水晶の部分をプラスチックで作ったところ、どうしても輝きと鋭さが足りず、急遽、本物の水晶を東京まで発注したという。忍が、裏の仕事に出るまえ、湯船で身を清める「入浴シーン」にも注目。
一方、青春ドラマ時代の若々しさそのままの惣太は、トレードマークの赤フンドシをちらつかせ、女性にもてる。愛妻お直(藤山直美)にやきもちを焼かれるのがお約束だ。当時、中村は東京で外科医の役をやっており、睡眠時間二時間程度で、京都と往復。その上、コンサートツアーも行うという超過密スケジュール。撮影所内の移動用に赤い折りたたみ自転車を愛用しているが、ファンが集まり、なかなかすいすいと走れなかったというエピソードも。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。