ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2009年04月24日

『舞台「座頭市」』
師匠勝新太郎に捧げた居あい抜き!
松平健芸能生活35周年に挑戦した舞台

(ぶたい ざとういち) 2009年

掲載2009年04月24日

芸能生活35周年を迎えた松平健が念願の「座頭市」の舞台に立った。十代のころ、石原裕次郎に憧れて上京。劇団で修行中に彼を見込んだのは、裕次郎の親友勝新太郎だった。「お前は目がいい。京都に来い」と言われて半年。ひたすら「座頭市」を演じる師匠の姿を見て勉強し、あるとき「お前のための話が出来た」と言われのが、テレビデビュー作「座頭市物語」。師匠は愛弟子のために大スター浅丘ルリ子の相手役という大役を用意。大雪の中の熱演に満足げだったという。
 今回の舞台では、師匠が創り上げた「座頭市」の世界の原点を大切にしようと心がけたという。さらに闇社会に生きながら、心に清潔感のある市のキャラクターを重視。ユーモアとほろりとさせる人情場面もきっちり盛り込む。物語は、かつて市が養母(中村玉緒)に育てられた故郷門毛村が舞台。御影石採掘の利権を巡り、悪徳商人やヤクザが暗躍する。そこに現れた謎めいた女渡世人おれい(若村麻由美)。どこか品格のあるおれいには大きな秘密が。さらに市は賭場の用心棒(山口馬木也)と親しくなるが、思わぬ悲劇が村を襲う。村の青年役で出演している勝の息子鴈龍太郎は「背中がオヤジにそっくり」と松平座頭市に感心したという。本当に目をつぶったままの居あい抜きはとにかく速い!!映像とは一味違う迫力を楽しめる。

掲載2009年04月03日

『弁慶』
松平健の当たり役!熱血弁慶と義経主従
愛する女性玉虫とのエピソードにも涙

(べんけい) 1997年

掲載2009年04月03日

幼名「鬼若」は、五歳のときから比叡山に入って勉学に励んできたが、生来体が大きく、怪力だったために次第に人々に恐れられる存在になっていく。さらに柳斉という老武者が、鬼若に叡山の山中で歩行術、棒術、忍びの技までも指導したため、いつのまにか暴れん坊山法師・弁慶(松平健)として知られる存在になった。彼はやがて有り余る力を京都・五条大橋で平家の侍たちから刀を奪うことで憂さ晴らしをしていた。その刀が千本になろうとしたとき、弁慶は、妖しいまでの力を持つ若者・牛若丸(西村和彦)と出会い、打倒平家の戦いに乗り出していく。暴れん坊といえば、松平健!弁慶の豪快な存在感をしっかり出している。後に大河ドラマでも同じ役を演じているが、この作品は当たり役との出会いといえる。また、平家方の娘・玉虫(有森也実)との出会いでは、男の純情ぶりを見せるが、このあたりも松平流といえる。ちなみに玉虫は小玉虫という弁慶のこどもを生むが、松平健にとって、本格的な父親役はこれが初めてとなった。愛する妻子との別れは涙を誘う静かなエピソード。頼朝のために命がけで働きながら、義経主従、追われることに。有名な“弁慶の立ち往生”は大迫力。彼らの運命を見定め、語り部的な存在の常陸坊(若林豪)のしみじみとした表情がいい。

掲載2009年02月06日

『陽はまた昇る』
明治に生き残った豪放な新撰組隊士の生き方。
村上弘明VS京本政樹のお宝作品。

(ひはまたのぼる) 1996年

掲載2009年02月06日

明治5年。東海道浜松宿では、新しい流れに乗ろうとする清水次郎長(中尾彬)と昔ながらの渡世人小政(桜金造)が一触即発状態で、町の人々は困っていた。そのとき、ひとりの大柄な男が喧嘩を中断させる。その男こそ、元新撰組隊士で、土方とともに函館で戦い、生き残った中島登(村上弘明)だった。浜松で偶然、戦友の大島(川野太郎)と再会した中島は、浜松の用心棒を頼まれる。
そこに江戸への旅の途中という元隊士(清水アキラ)も加わり、再び生きる道を見つけたかに見えた登だが、そこに「新撰組隊士連続暗殺」のうわさが届く。
 新撰組として生きた男が、新たな道を見つけられるのか。剣の腕を見物にするなど、明治初期の風俗も興味深い。村上弘明作品のレギュラーともいえる西田健の怪演技も見逃せない。墨田ユキのはかなげな女の姿、安永亜衣の芯の強い娘ぶりも見物。
 原作は、男の生き方を描く名手・津本陽。「ママはアイドル!」「もう誰も愛さない」で知られる脚本の吉本昌弘はじめ、スタッフは時代劇初挑戦のメンバーが揃い、現代の浜松の映像を交えるなど、エンタテイメント色の強い作品に仕上がっている。クライマックスでは、「必殺仕事人」の盟友ともいえる京本政樹が登場。必殺時代を思わせる濃厚なメークと衣装で、ファンを喜ばせる。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。