ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2008年01月25日

『ぶらり信兵衛−道場破り−』
高橋英樹の人情時代劇決定版!
脚本には「北の国から」の倉本聰も参加

(ぶらりしんべえ どうじょうやぶり) 1973年

掲載2008年01月25日

江戸の裏長屋に住む、松村信兵衛(高橋英樹)は、腰に竹光を差し、こどもらに読み書きなどを教えて、のんびり暮らす浪人。しかし、実際は神道無念流の剣の達人で、何かあるとこっそり「商いに」などと言いながら、道場破りをして金を工面して人助けをするのである。
 彼の行き着けの居酒屋「丸源」には、気のいい連中が集まり、いつも町のうわさ話に花が咲く。長屋に帰れば、近所のおかみさんやら娘たちが「先生」と頼りにする。そんな長屋にも騒動はつきもの。けんかしながらも仲のいい駕籠かきコンビの金太(柳沢真一)と銀太(渡辺篤史)は走り回り、信兵衛に寄り添う芸者の小舟(浜木綿子)もひと肌脱ぐ。毎回、なぜか「妄想シーン」があり、信兵衛は婿になったり、お殿様になったり、不思議な展開が楽しめるのもお楽しみ。また、信兵衛に挑戦される道場主も毎回ユニークな顔が登場。いかにも強そうな西村晃、調子はいいが剣はからっきしで信兵衛が「礼金のためとはいえ、こりゃ、わざと負けるのも大変だ」と呆れる芦屋雁之助など、そのやりとりも可笑しい。高橋英樹のとぼけた演技が弾ける。
 原作は山本周五郎の「人情裏長屋」。脚本には倉本聦も参加。♪信兵衛さんの長屋は十六軒〜と、陽気に長屋の連中を紹介する主題歌にも心が和む。気持ちいい人情時代劇。

掲載2007年11月29日

『風雲ライオン丸』幌馬車が走れば、シェーンも駆ける!
全編ウエスタン調の斬新な特撮シリーズ

(ふううんらいおんまる) 1973年

掲載2007年11月29日

戦国時代。相模の国で武士の子として生まれた弾獅子丸(潮哲也)は、西日本一帯に地下帝国を築き、日本制服を狙うマントル一族に兄(有川博)を殺され、復讐の旅に出る。途中、父を探す娘・志乃と三吉の兄弟と道連れになるが、マントル一族は彼らを抹殺するために次々と地中忍者やマントル怪人たちを差し向ける。獅子丸は、「ライオンロケット変身」でライオン丸に変身し、悪と戦うのだ。
 前作「怪傑ライオン丸」の好評を受けて登場した第二弾。なんといっても、本作の特徴は、志乃と三吉の移動が幌馬車だったり、獅子丸の愛馬の名前がシェーンだったりと全体にウエスタン調なこと。そして、ライオン丸がたてがみを兜におさめていたことだった。
ただし、途中で怪人に兜を割られたライオン丸は再びたてがみを風になびかせるスタイルに。今月からは前作で人気を博した「タイガージョー」の弟も登場し、ファンにはうれしい展開に。
 今月出てくるマントル怪人も、毒ハエを操る「キツネバ」、怪力でゴリラを思わせる「ゾリラ」、敵を石に固める「ヤゴ」など、動物と時代劇と特撮技術が融合したライオン丸シリーズらしいラインナップ。中でも、18話の鎖鎌と毒ガスでライオン丸を苦しめる怪人は、全身を毛に包まれながら、甲冑もつけている。その名は「ズカング」!ネーミングもナイス。

掲載2007年11月08日

『花の生涯』豪華出演陣による元祖NHK大河ドラマ
映画スター佐田啓二テレビ初出演も話題に。

(はなのしょうがい) 1963年

掲載2007年11月08日

昭和38年(1963)スタートしたNHK大河ドラマ第一弾。放送期間はこの作品のみ、4月から年末までであった。尾上松緑はじめ豪華キャスト、若い女性に大人気の佐田啓二がテレビ初出演ということでも注目を集め、最高視聴率32.3パーセントを記録した作品。現存するのは、この一話のみ。
 黒船来航により、国論が開国か攘夷かと、騒然となった安政元年(1854)。後に大老となる彦根藩の井伊直弼(尾上松緑)は、政治の前線に立つどころか、藩主の14番目の庶子として捨扶持を与えられ、「一生埋もれ木」と称し、世捨て人のような暮らしをしていた。口癖は「わしは政治は大嫌い」そんな直弼宅に、国学を学ぶ浪人・長野主馬(佐田啓二)が訪ねてくる。直弼と主馬を引き合わせたのは、医師・三浦北庵(下条正巳)だった。
 しかし、主馬には頭から離れない約束が。実は直弼宅に来る途中、不逞の者を厳しく取り締まる常備隊に目をつけられたのを、三味線の師匠・村山たか(淡島千景)の機転で助けられたのだ。遊女に三味線を教えるたかとの再会の約束を果たした主馬は、心を通わせる。しかし、そこにも常備隊が押し寄せ、たかは身を呈して彼を隠すが…。「芸を売って身を立てておりますが、身も心も売ったりはいたしませぬ」たかのきっぱりしたセリフが凛々しい。小沢栄太郎の語りも重厚に響く。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。